パンの研究所「パンラボ」。
誌面では紹介しきれなかったパンのあれこれをご紹介します。
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
食パンをもっとおいしくする99の魔法 課外系講義のお知らせ
2月19日に「食パンをもっとおいしくする99の魔法」が発売されます。

パンラボ・池田浩明が出会ってきた食パンのおいしい食べ方を99の魔法としてまとめた一冊です。

その発売を記念して、イベントやフェアがいくつか開催されます。

ちょっとした魔法の課外授業というわけです。


2月29日(月) 渋谷 HMV&BOOKS TOKYO 
        PM:19:00〜
        トークショー 池田浩明×CAMELBACK sandwich&espressoの成瀬隼人
        元すし職人の成瀬さんが本書に提供してくれた至極のオリジナルレシピを堪能できるイベントです。
        詳細はこちらで。
        http://www.hmv.co.jp/st/event/23568/


IMG_20160205_111806.jpgDSC_0499.JPG

        

2月24日〜29日 新宿伊勢丹・本館6F催事場「世界を旅するワイン展」にて本書販売
        本書購入で「パンとワインのスペシャル小冊子」の特典付き
        堀道広画伯の顔出しパネル展示

IMG_20160213_121208.jpg




3月5日(土)  ある場所にて池田浩明×堀道広のお描き魔法学校開催

IMG_20160213_121833.jpg
DSC_0541~2.jpg



出演 2月26日 J-WAVE ハローワールド 食パンをおいしくする魔法の実戦講義

まだまだフェアやイベントを企画してます。今後も決まり次第告知していきます。



 
- comments(0) trackbacks(0)
「チャリティー製パン講習会 in仙台」レポート

2015年10月15日、宮城県仙台市のサトー商会で、「東日本大震災復興支援 チャリティー製パン講習会 in仙台」が行われた。


第13回チャリティ製パン講習会のお知らせ


12回目となるこの講習会は、ジェラール・ミュロやブルディガラのシェフを歴任した山崎豊シェフ、ZOPFの伊原靖友シェフ、ブーランジュリーオーヴェルニュの井上克哉シェフの3人が、東日本大震災発生後よりつづけてきたもの。

足かけ4年以上、ついに津波で甚大な被害に遭った仙台での開催となった。


(講習会のはじめに配られた、山崎シェフによる焼菓子。)

 

3人に加え、毎回新進気鋭のシェフを講師として迎えている。

今回は、地元・仙台のブーランジェリージラフ、高橋司シェフが登壇。

米粉を使ったパン、パン・オ・リを披露した。

「お米は、米粉と玄米と玄米粉の3種類を使っています。

志賀シェフの米粉のカンパーニュを派生させて、自分の店に落としこんだものです」

 

まず、生地の仕込み。

「米粉をたくさん入れるとパンにするのがむずかしくなります。

米粉を30%入れるレシピでも成り立つのは、ゆめちからの豊富なタンパク値のおかげです。

玄米粉とくるみを入れることで甘みを出しています。

でも、なんといっても、甘さのいちばんの原因は、長時間発酵。

低温長時間発酵(18℃で18時間)なのでイーストを少なくしています(0.04%)。

コントレックス(5%)を入れています。

コントレックスに含まれるマグネシウムの影響で生地が締まって、発酵を助けてくれる。

吸水が多い場合、生地ができにくいので、コントレックスを入れないと、生地が締まらず、発酵のぴったりのタイミングが狭くなってしまいます」

 

ゆるい生地の成型には技が要求される。

「95%吸水を入れた、かなりゆるい生地です。

手粉もその分使います。

手で持つと、生地が崩れる。

こんなふうに、手粉とスケッパーを下に入れてください。

指先ではなく、手の平で持つ感覚です」


窯入れのとき、スリップピールにのせるのも慎重さを要する作業。

「ホイロは必ず1時間以内で。

それを超えるとすごくやりにくくなります。

ここで型が決まるので、1個ずつ丁寧に置いてください。

カードを生地の底に差し込み、生地を左手で裏返してカードの上にのせます。

それを裏返してスリップピール上にのせる。

手粉をつけながら行ってください。

生地がピールにくっつくと商品になりません」


参加者にパン・オ・リが配られた。

表面だけがぱりぱりして、中身はもちもち。

そこから砂糖が入らないことが信じられないほどの甘く、それがすっきりとしている。

噛んでいると米さながらのフレーバーがしてきて、本当にパンと餅のいいとこどりという感じだった。


昨年ドイツで行われたIBAカップで監督として日本チームを率い、金メダルを獲得する快挙を成し遂げた井上克哉シェフ。

チャリティ講習会では、毎回、ヨーロッパ各地の伝統パンを紹介。

今回はブリオッシュ生地を使った、イタリアのパン「ジェノヴァ」を教えてくれた。

 

「中種を作って冷蔵でひと晩発酵をとります。

中種は全体の70%にもなります。

イーストもぜんぶ入ってる種。

常温で4、5時間置いて、すぐ使うこともできますが、冷蔵でオーバーナイトしたほうが安定します。

室温で1時間置いてから冷蔵。

種を長い間、寝かすので、乳酸発酵を期待しています。

手間のかかる製法ですが、香りがよくなります。

ブリオッシュぱさぱさのイメージですが、中種にすることで、しっとりさせることができる。

日本人はしっとりのほうが好きですから。

うちでは、朝に本捏ねして、常温で発酵をとります。

中種で熟成させているので、1時間で分割にいけます。

種で力もついているし、寝かせなくても熟成のきいたパンになる」

 

仕込みを実演しながら、注意点を解説。

「砂糖を先に入れると、砂糖の水分で生地がゆるむので、バターといっしょに入れる。

バターが硬いと、生地にうまくなじんでいかないので、あらかじめ常温で戻します。

指を入れて入るぐらい、少し形が残るぐらいがいちばんいい状態です。

ミキシングに時間をかけたくないので、混ざったら入れる、混ざったら入れるというふうに何度かに分けて入れていってください」


メープルクリームを包餡し、ヘーゼルキャチャ(メレンゲにヘーゼルナッツパウダーを加えたもの)を上から絞れば、ジェノヴァに。

溶かしバターを塗って、あられ糖をトッピングすると、ベルギーのクリスマス菓子「クラックラン」になった。


伊原靖友シェフは「国産小麦のドーナッツ」を披露。

甘く、油脂も入るドーナッツに、あえて灰分の高い石臼挽きの国産小麦を使う新しい趣向。

 

「アグリシステムの臼夢T85を使っています。

粉を見ると、だいぶ黄色いでしょ。

石臼挽きのキタノカオリです。

キタノカオリは硬質小麦なので、糖化する力が高い。

これを使うとすごく甘みがのります。

アッシュも高いので、モルトのような使い方をしています」


「臼夢には石臼挽き特有のざらつきがあります。

粉の食感というのは一概に言えなくて、同じ配合でも製法がちがうとまったく変わってくる。

中種はソフトになるし、低温長時間だとさくいです。

そういうちがいはあるにしても、食感でいちばんの特徴は、もち感。

北海道の小麦は低アミロース。

ベーグルを揚げたようなドーナツになります」

 

アグリシステムの十勝産小麦に加えて、熊本県産の熊本製粉「南のめぐみ」(品種名ミナミノカオリ)もブレンドしている。

伊原シェフは仕込みを行いながら、国産小麦への対応にも役立つミキシングの考え方を教えてくれた。

 

「ミナミノカオリは高速ミキシングに対する耐性がないので、ゆっくりつなげていきます。

とはいえ、ローでずっと引っ張ると、練りすぎてしまう。

そういうときは、オートリーズを入れて、時間を稼ぎます。

ボリュームをしっかりだすのに、オートリーズは有効です。

わずか10分でも変わります。

薄膜化してくる」


「グルテンのことを繊維と同じイメージで考えてみてください。

ミキシングの回数が多いと、編込みが多くなって緻密になり、布に穴がなくなる。

ミキシング時間を長くしたり、高速にするとボリュームが出やすいのはそういうことです。

もうひとつ、高速にできないときは、オートリーズをとるのも有効です。

なにもしなくても、置いておくだけでグルテン(繊維)が細かく(多く)なり、繊維と繊維が引っかかりやすいので、これもボリュームは出ます。

回転を速くしなくてもオートリーズの時間を作れば、ローでもボリュームが出ます。

オートリーズを入れるだけでボリュームが2割も3割も変わります。

練るからグルテンができるという考え方を一度外して、考えてみてください。

練らなくても、グルテンは粉が水和した時点で8割できると言われます」


伊原シェフは参加者をミキサーの周囲に呼んで、生地状態を示した。

「オートリーズ前の状態だと粒があったのが、オートリーズを入れるとなめらかになっているでしょ。

特に(臼夢が入っているので)アッシュが高いと、ぱさぱさのパンになりやすいので、しっかり水を吸わせましょう」

 

ドーナツの成型はツオップ(ドイツの編みパン)のように編み込む。

「まず棒状にします。

ぎゅっとやりすぎると切れちゃうので力加減を気にしながら。

もち感をさらに出すために、編みます。

8の字にします、

ツイストは転がって揚げにくい。

むずかしい人はただの片結びでもいいです。

ひっかけて結ぶだけです。

足を組んだみたいに上に引っ掛けて穴に入れる。

いまはyoutubeという便利なものがあります。

『Zopf knot』で検索してみてください。

www.youtube.com/watch?v=N_xXcsMrwBE(9分40秒ごろより)」

 

山崎豊シェフはサブレ・ノルマンドを作った。

「ノルマンドという名前は、バターの産地であるノルマンディからとられています。

普通は生の卵黄を使いますが、今日はゆでたまごを使って、もっと卵の香りをさせます。

裏ごしします。

混ざれば、ゆでたまごでもまったく問題ありません」


「あまりホイップしないでください。

混ざれば大丈夫です。

ホイップしすぎると浮いて軽くなり、壊れやすくなります。

すり混ぜる程度にしておくと、生地が硬くなるので、壊れなくなり、ロスになりません。

バターが残ってたら、穴が空いてしまう。

必ずやってもらいたいのが、練らないで押すようにしてバターを潰していくことです」

 

(チャリティ講習会ではいつも楽しみなのが昼食。

伊原さんの作った豆カレーなどが供された。)

 

会場には、普段の回よりももっと熱気を感じた。

東北各地から講習会にやってきた人たちは、みんな被災地のことを自分ごととして考えているのだろう。

中には、三陸沿岸の被災地でパン屋やパン教室を開き、復興に向けてがんばっている人たちもきていた。

トップシェフが作業する姿を間近で見たことは、その人たちのパン作りに少なくない影響を与えたはずだ。

12回目にして、チャリティ講習会が直接復興に役立つときがきたことが、とてもうれしい。(池田浩明)


次は神戸で。

第13回チャリティ製パン講習会のお知らせ


- comments(0) trackbacks(0)
ピザトーストをピッツァトーストにする魔法
IMG_20160205_120518.jpg

食パンをもっとおいしくする99の魔法

2月19日発売


ピッツァ・ボスカイオラ

IMG_20160205_120101.jpg

パッと見では、食パンにチーズやトマトソースを敷き詰めたよくあるピザトースト。
でも、
ちょっとした魔法を施すことで、ピザがピッツァみたいなに思えてくるから不思議。

もちろん、基本の手順は3手までだから、カンタンだ。

そう。魔法といっても長〜〜い呪文はいっさいない。
ハリーポッターというより、奥様は魔女のサマンサって感じだ。
お口をちょこちょこ、はい、完成!

たとえば、この写真のレシピには、
伸ばす魔法とポモドーロの魔法のコラボ、マリアージュが施されている。
そのうえでのピッツァ。

皮(生地)が旨いのが美味しいピッツァ。
トマトソースがおいしければ、チーズはなくてもいい。

とも言われている。

生地もトマトもいわば土台だ。
少しでもそこに近づけるように魔法をかける。
だから、おいしい。


こんな魔法がいっぱいです。

食パンをもっとおいしくする99の魔法 

2月19日発売 定価900円+税
どうぞよろしく。



発売に合わせて、今回もイベント(魔法講義、課外授業)をしていく予定です。
まだちゃんと書けなくて申し訳ございませんが、楽しいものになるはずです。


決まってるフェア。
2月24日〜29日 新宿伊勢丹「世界を旅するワイン展」の一角にて、パンラボコーナー併設。
そこで本書を購入すると、パンラボ×伊勢丹コラボによる「パンとワインの特別小冊子」がもらえる予定。
パンラボコーナーには堀道広さん作りおろしによる「パンラボ特製・顔出しパネル」も登場する予定。


食パンの魔法特捜班




本書を取り扱ってくれる地方の本屋さんやパン屋さん他、ございましたらぜひお知らせください。
ガイドワークス営業部 03−6311−7777
メール パンラボ編集部(keitoku@guideworks.co.jp


 
- comments(0) trackbacks(0)
第13回チャリティー製パン講習会のお知らせ
ジェラール・ミュロやブルディガラのシェフを歴任した山崎豊シェフ、ZOPFの伊原靖友シェフ、ブーランジュリーオーヴェルニュの井上克哉シェフの3人が、東日本大震災発生後より、4年以上にわたってつづけてきたチャリティ講習会。
13回目は、阪神・淡路大震災で未曾有の被害のあった神戸での開催となる。

3人が期待する若手を講師として招請することが通例となっており、今回はケルンの壷井豪シェフが登壇する。

トップシェフの技を間近で見て、楽しいお話を聞くチャンス。
特に関西にお住まいの方はぜひ足をお運びください。

1 実行委員及び講師                   主な実演内容
壷井  豪  氏(ケルン 代表取締役社長)    ブリオッシュ、パンオルヴァン
井上  克哉 氏(Auvergneオーナーシェフ )   チャバタ生地のヴァリエーション
伊原  靖友 氏(ZOPF オーナーシェフ  )   ヨーグルトライ各種・ランチ
山�・  豊  氏(元 Gerard Mulotシェフ  )   全粒粉ブレッド、ランチのパン

2 日時・場所
平成28年3月16日(水)10時〜16時30(9時30分受付開始)
   日本製粉株式会社 西部技術センター
   住所    兵庫県神戸市東灘区深江浜町41番地
   ※お車でのご来場はご遠慮ください。鉄道など公共交通機関のご利用をお願い申し上げます。
   ※JR芦屋駅まで送迎のバスをご用意いたします(時間は後日ご連絡します)。

3 会費
受講の方   7,000円(お一人当たり)  
メディアの方 2,000円         
   ※会費は義援金として「あしなが育英会」に寄付いたします。
   ※昼食付です

4 定員
  50名  ※定員となり次第締切らせて頂きます。

5 お申込方法 
下記の所定事項をご記入の上、FAXにてお申込下さい。
   ※申込頂きました後、詳細(会場案内図等)をご連絡致します。

6 お申込締切
  平成28年2月28日(日)

---------------------------------------------------------------------------------

チャリティー製パン講習会 申込書

日本製粉株式会社 チャリティー製パン講習会 窓口行
FAX: 06−6448−4619
お申込締切:平成28年2月28日(日)

・フリガナ

・ご参加者名

・貴社名

・お役職(所属部署)

・貴社ご住所

・電話番号

・FAX番号

・シェフへのご質問など


後日、会場案内やバスの送迎時間など詳細をご連絡致しますので、上記事項にはもれなくご記入願います。


お問合せ先
日本製粉株式会社 大阪支店 平田 TEL:06−6448−5745



- comments(1) trackbacks(0)
食パンをおいしくする『喫茶店』で使える魔法
「食パンをもっとおいしくする99の魔法」の編集作業も佳境に入っている。

そのせいか、最近はとにかく何を食べても食パンにのせたり、挟んだり、巻いたり、ぶっ込んだりしたくなる。

おっと、ぶっ込むは少々乱暴な書き方でございました。
突っ込…いや詰め込むかな。
詰め込んでみたくなってしょうがない。



たとえば、
DSC_0624~2.jpg


スパゲッティ・ミートソースとトースト。
純喫茶巡りの達人・難波里奈さんに強く薦められた東中野喫茶店・ルーブルの「ミートソース」。
純喫茶のスパゲッティとしては最高レベルの美味しさと聞いて、もちろん飛びついた。

ただ前述したように今は食パンの魔法に取り憑かれているので、トーストも同時に注文した。

にしてもミートソースが旨い!
コクがあるとは聞いていたけど、想像よりコクがあっておいしい。
お箸が進む的にフォークのグルグルが高速で進む。

イタリアンではなく日本の純喫茶で育まれたおいしさだ。
つまり、それは日本の食パンにも合う美味しさのはず。パンに合わせる定番はナポリタンだけど、ミートソースだって絶対に美味しいはずだ!

喫茶店の分厚いトースト(4枚切り)に切り込みを入れて、
そこにミートソースをぶっ込…いや詰め込んだ。


DSC_0626~2.jpg


厚い食パンは、切り込みを入れると簡単に即席サンドイッチ、即席ラン◯パックになる。
食パンの魔法「6」の応用だ。

トーストに付いてきたバターを薄く切って、パンの切り込みに入れて、そこにミートソースを投入。

うむ、思ったとおりの美味しさだ。バターがおいしさをいっそう引立てている気がするぞ。

純喫茶だからこそできる食パンの魔法だ。







食パンをもっとおいしくする99の魔法
2月19日発売






 
- comments(2) trackbacks(0)
明日から銀座三越 カネルブレッド×カフェファソン ペアリングの魔法
 1月20日(水)〜25日(月)まで銀座三越7F 催物会場で行われる「ぎんざでパンとコーヒー」。
新麦コレクションの冬企画として、小麦が主役のベーカリー&カフェをオープンします。

題して、「春を待ちわびて、パンとコーヒー。」
小麦の個性を活かすパンを得意とする新進気鋭の若手「カネルブレッド」と、コーヒー豆の個性を焙煎で研ぎ澄ませる「カフェ・ファソン」がコラボレーション。
オーブンやミキサーを持ち込み、焼きたてのパンを提供。
一方、挽きたての豆から丁寧に淹れたコーヒーもその場で楽しむことができます(豆も販売)。
まさに、期間限定で誕生する最強のベーカリー&カフェです。

いまは冬。
小麦も静かに春を待っています。
あたたかいコーヒーと麦の香り高いパンで元気を出して、新麦の時期を待ちましょう__というコンセプトです。

この催事ではパンとコーヒーのペアリングを楽しむことができます。
カネルブレッドで買ったパンをカフェ・ファソンのカウンターに持ち込んで食べていただけるのです。
(カネルブレッドのパンとコーヒー豆を両方購入していただいた方には、コーヒー一杯を無料でプレゼントします!)

先日、カフェ・ファソンにカネルブレッドのパンを持ち込み、どのパンとどのコーヒーを合わせたらマリーアジュするか、ファソンの岡内賢治さんとラボを行いました。
岡内さんに導かれつつ行うペアリングはあまりに刺激的な体験でした。
ここにないはずの味が頭の中だけに幻灯のように浮び上がる。
私たちは興奮しながら3時間もの時を過ごしました。
そのとき、すごかったおすすめの組み合わせを紹介します。

新麦ブレンド × ブリオッシュ
新麦ブレンドは、岡内さんが新麦コレクションに賛同して作ってくれた、パンによく合うブレンド。
あえてシンプルに研ぎ澄まされて、麦の香ばしさに寄り添ってくれます。
カネルブレッドのブリオッシュは卵を入れないきれいな味わい。
ミルク感とコーヒーが合わさって、カフェオレのような広がり方をします。

ケニア カイナムファクトリーAA × シナモンプッレ
ニカラグア ギジェルモ・モンテネグロ × シナモンプッレ
コーヒーの酸味はよりまろやかになる一方、シナモンのスパイス感がかって感じたことのなかったような新たな展開をみせます。
同じシナモンプッレをニカラグアを合わせたときは、はちみつのような心地よい甘さと黒胡椒のような鋭いスパイス感を同時に感じます。

ケニア カイナムファクトリーAA × 林檎といちじくのジャムパン
ケニアの持つ酸味は、今度は凝縮されて、ぶどうっぽいフルーティさに変貌していきます。

エチオピア・イルガチェフェ ウォテ G1 × あんバターサンド
果実味を豊かに持つイルガチェフェにあんバターサンドを合わせてみると、まるでいちご大福さながらに!
まろやかな甘さの世界が果てしなく広がります。

ファソンブレンド × オリーブのフォカッチャ
塩気と酸味がせめぎ合いおもしろい変化を繰り広げます。

アンブレンド × フィナンシエ
深煎りのアンブレンドのやわらかい苦みがアーモンドの甘さを浮び上がらせてくれます。
それにしても、このフィナンシエ。
滋賀県・廣瀬さんのディンケル小麦がうつくしくお菓子に昇華しています。

アンブレンド × クリームパン
ニカラグア ギジェルモ・モンテネグロ × クリームパン
同じクリームパンが、アンブレンドの場合はチョコレートを感じさせ、苦みと甘さが争い合う一方、ギジェルモ・モンテネグロだとおいしいあんこみたいにやさしい甘さとなります。

ケニア カイナムファクトリーAA × 山葡萄とオレンジ
夏みかんみたいな馴染み深い柑橘感が鼻の奥でふくらみます。

グァテマラ サンタカタリーナ農園 × カンパーニュ
小麦の香ばしさを広げ、甘さを生き生きとさせてくれるのは、この組み合わせでした。

銀座三越でお待ちしております。(池田浩明)



- comments(0) trackbacks(0)
障がい者によるパン・菓子コンテスト「チャレンジドカップ2015」レポート
障がいをもつ方がパンやお菓子作りに取り組むの施設は全国に多い。
そんな人たちを応援する全国大会「チャレンジドカップ」が、2015年11月28日、横浜の国際フード専門学校で開かれた。
菓子は8チーム、パンは10チームが全国から集結した。

パン部門の大賞に輝いた岩手県一関市の障害者福祉サービス事業所 室蓬館(しっぽうかん)。
審査員の箕輪喜彦さん(ブーランジェリーボヌール/レ・サンクサンス)はこのように評価する。

「今大会はレベルが高くて、味だけで見ると、他にも点数の高いチームはたくさんありました。
でも、チームワークや素材へのこだわりは室蓬館がトップでした。
製パン技術的に高いチームもありましたが、技術のある人がひとりでやっていたり。
室蓬館はみんなで関わってやってました。
チャレンジドカップはチームみんなでやるもの。
肉まんの具まですべて手作りなのもすごかった」

中国の包子(肉まんもその一種)というパンに挑戦。
地元一ノ関特産のかぼちゃ「南部一郎」をペースト状にして生地に練り込み、たけのこやしいたけといった具までその場で調理。
蒸し器から出る湯気が食欲を誘い、心まであたたかくしてくれるようだった。

銀賞は神奈川県 開く会・共働舎の濃厚チーズブレッド、銅賞は神奈川県 麦の丘・にんにくガリコのペペロンベーグルが受賞した。

つづいて菓子部門。
審査にあたったラ・テール洋菓子店の中村逸平グランシェフに、大賞・銀賞・金賞に輝いた3チームの講評をもらった。

大賞は石川県の南陽園 兎夢創家(トムソーヤ)。
なめらかな味のチョコレートチョコレートケーキ が高い評価を受けた。

「ショートケーキというむずかしいお菓子にチャレンジしていたのは、利用者さんに自信をつけさせたいという職員さんの気持ちからでしょう。
このチームには、重度の障がいを持つ人が多い。
ダウン症で足も悪く、聾唖(ろうあ)の方に、職員さんが手話でコミュニケーションをとっていました。
他のチームが早く終わるのを横目に1チームだけ辛抱強く作業をする姿に、感動しました。
チョコレートのスポンジ、デコレーション、ガナッシュも持ち込むのではなく、ぜんぶその場で作っていました」

銀賞は、神奈川のワークステーション amam kitchenのミックスケーキ。
「審査員がみんな絶賛していたのは、それぞれの生徒に合わせて道具やマニュアルを作っていたこと。
このチームがいちばん生徒との距離を近くしてやってる。
絆が感じられました。
片付け、仕事の進め方、すごくきちんとやっていました」

銅賞は沖縄のひまわりファクトリー Bon・Bon ボンボンスマイル、サラダセンス。
「トマトやブロッコリーなど、ひとつひとつ丁寧に下処理して、仕込みをしていました。
アレルギーのお子さんでも食べられる卵や乳製品を使わないお菓子。
沖縄の素材を活かしていて、地産地消の取り組みを行っています」

中村シェフは総評をこのように語る。
「今大会はレベルが高く、特に大賞、銀賞、銅賞、は入れ替わってもいいぐらいでした。
ただ、南陽園は重度の障がい者を職員が粘り強く支えている。
『障がい者の社会参加』というチャレンジドカップの趣旨にいちばん合っていたので、大賞になりました」

「全体的にいえるのは、利用者さんを社会復帰させようという、職員さんの熱意を強く感じたことです。
利用者さんの特長を伸ばすため、職員さんがプライベートの時間を使って、道具を作ったり、こんなふうに指示したらいいんじゃないかと考えたり。
次回からはチームごとの表彰だけでなく、職員さんの努力に対しても表彰をしたほうがいいんじゃないでしょうか」

毎回、障がい者の人たちが、みんなそれぞれの速度で、それぞれの課題を持ちながら、一生懸命パンとお菓子作りに取り組む姿に深い感銘を受ける。
そしてすばらしいのは、職員さんの支える姿勢、さらにはそれをあたたかい目線で見つめるギャラリーや審査員、そしてチャレンジドカップの関係者やボランティアの方々がいるということ。
みんながパンやお菓子作りという絆を通じて結ばれていると思った。
この輪がもっと社会に広がることを祈らずにいられない。(池田浩明)

予約受付中! パンラボの新刊

- comments(0) trackbacks(0)
1月20〜25日 「カネルブレッド」銀座三越催事に登場!
1月20日(水)〜25日(月)まで銀座三越7F 催物会場
「春を待ちわびて、パンとコーヒー。」
カネルブレッド×カフェ・ファソン
新麦コレクションがプロデュースするベーカリー&カフェ。
栃木県那須黒磯からカネルブレッドが登場、オーブンなど製パン機材が持ち込まれ、その場でパンが焼きだされる。

あの那須SHOZO CAFEで、のちにカネルブレッドのオーナーとなる岡崎哲也さん、シェフとなる平山翔さんは出会った。
当時パティシエをしていた平山さんは、パンへの情熱を抑えきれず、試作をつづけていた。

「そのパンがもうすごくおいしかった」
と岡崎さんは当時のことを思いだす。
平山翔という才能を見いだした岡崎さんは、東北本線・黒磯駅前にカネルブレッドを開店することを思いつく。
焼きたてのパンのぬくもりを提供し、地元の人びとをよろこばせるために。

カネルプッレ
この癖になる食感はなんだろう?
菓子パンのやわらかさを想像しながら噛む。
しなやかにふにっとしつつさくっと痛快な歯切れ。
そこからゆっくりと溶けてくる。
子供の頃、食べ終わるのが惜しくて、ビスケットをしゃぶったことを思いだす。
シナモン,カルダモン。
エッジの効いた香りなのにどこかやさしく。
北欧の伝統を踏襲しながら、日本のなつかしさを潜ませる。

28歳の平山さんが新世代のパン職人である所以。
それは、素材からのインスピレーションを受けてパンを作っていくことにある。
とりわけ国産小麦をごく自然なものとして使いこなす。
そもそものきっかけは、十勝の前田茂雄さんの畑を訪ねたことだった。

「国産小麦でしかできないパンがある。
国産小麦で日本のパンを作りたい。
外国のパンを国産小麦で作るのではなく。
日本人が自分たちのパンを作る時代。
もち食感は日本人に合っていますし。
吸水を多くし、国産小麦を使ったフォカッチャは、特に年配の方ほど好まれます」

ディンケルメロンパン
香ばしいビスケット生地の心に食い込んでくるフレーバーは、滋賀県大地堂のディンケル小麦(スペルト小麦。小麦の原生種)のもの。
噛む快楽があり、しかもぱさつきもないパン生地は甘さがほのかで、口の中で一気に溶けて小さくなり、ビス生地の甘さをうまく中和して、さわやかさへ導く。

食べるのが好きな平山さんが、おいしいものを求めて東京を巡っていたとき。
一軒の店に出会ったことが、パン職人への転身を決定づけた。
吉祥寺、ダンディゾン。
木村昌之さん(ダンディゾン元シェフ)は素質を見抜いてか、店を訪ねた平山さんに、仕事の手を休めて長い間パンの話をした。

「木村さんの話しを聞くだけで学びになる。
聞いたことを、あとから自分で噛み砕いて、参考にしました。
尊敬する方々の背中を追いかけている。
でも、同じことはやっていません」

弱冠28歳。
少しの間、パン屋で働いていた経験はあるが、ほぼ独学というから驚く。
パンの常識に縛られないということがプラスに働いているのだろう。
平山さんのような新しい世代が登場してきたのは、素材中心・国産小麦の使用へと傾いていくパン業界の流れがある。

「木村さんや、片根さん(カタネベーカリー)が一気に、みんな変えてった。
東京の店を見てまわるとすごく刺激を受けました。
見たものを持って帰って、試作をする中で、レシピがシンプルになってった。
材料の点数が極端に減りました」

素材の素。
恐れずにそれと向き合ったとき、きっと素材は新しい魅力を放ち、澄んだ音色を奏ではじめたことだろう。
その作り手自身の感動を、カネルブレッドのパンからは食べ手も感じることができる。

林檎とイチジクのジャムパン
イチジクが放つブラウンの甘さ、フレーバー。
ブランデーの香気がそれを後押しする。
りんごの甘酸っぱさがそこに合わせられ詩的な次元へと昇華されている。
ぷるんとしたパンの食感のおもしろさ。
でも普通の菓子パン生地とはちがっていて、砂糖よりも香ばしさ、小麦の甘さが全面に出ている。
だからこそ、フィリングと合わさって実に味わい深く、一口運ぶたびに趣きを変えるので、パンの魅力にずぶずぶと引き込まれてしまう。
いちじくの種がぱちぱちとはぜることさえ食感のおもしろさとして味方に取り込む。

365日の杉窪章匡さんはもっとも影響を受けた一人だという。
キタノカオリに粉対比100%の水分を入れて作られる、365日「ソンプルサン」。
そのみずみずしくクリアなおいしさは、平山さんに国産小麦で主食になるパンを作ることへの可能性に目覚めさせた。
製法を予測し、油脂をオリーブオイルに変えて、何度も試作を繰り返し、「フォカッチャ」の形に落としこんだ。
もちもち感、ごはんのような食べやすさ。
それはイタリアのパンではなく、日本の麦で作る日本人のためのパンだ。

最後に、以前平山さん自身から送られてきたメッセージを載せたい。
「麦や作物を育てる方へ敬意を表し、食材を扱うこと。
それらを食べる方々を気遣い、寄り添うこと。
日本の四季を感じ、食材の旬を楽しみ、味わうこと。
安心安全という安堵感、驚きや興奮、そして美しさなど。
私たちは『美味しい』の、その先にあるものを大切にし、一つ一つ丁寧にパンを焼いています。
『LOCAL FOOD  & GOOD COMMUNICATION』」

カネルブレッド
JR東北本線 黒磯駅
栃木県那須塩原市本町5-2
0287-74-6825
7:00〜18:00(火休)

新麦コレクション comments(2) trackbacks(0)
1月30日 片根大輔×入江葵×池田浩明
 「わたしたちの大好きなパンについて語ろう」
カタネベーカリーが作った「日々のパン」。
そして入江葵さん+青山パン祭り by Bread Labの「CRAFT BAKERIES」。
おいしいパンを食べると作った人に話を聞きたくなるように、おもしろい本を読むと書いた人にもっともっと聞いてみたいことが出てくる。
2冊の本のページに書かれたその先を2人に聞いてみたい。

2016/01/30 Sat 19:00〜
片根大輔×入江葵×池田浩明

「わたしたちの大好きなパンについて語ろう」
 
『毎日のパン』(アダチプレス)
『CRAFT BAKERIES』(メディアサーフコミュニケーションズ)刊行記念



前売り券
2000円(ワンドリンク+カタネベーカリーのパン付き)

お申し込みはこちら



2015年末に刊行された2冊のパンの本。
カタネベーカリー『毎日のパン』は作る側から、Bread Lab『CRAFT BAKERIES』は食べる側から、どちらもこれまでにないパン本となりました。
このイベントでは著者のお二人を招き、「パンラボ」こと池田浩明さんを進行役として、パン愛にあふれたトークを展開します。



前半は、入江さんと池田さんが「私の好きなカタネのパン」について片根さんに質問し、カタネベーカリーの秘密に迫ります。


後半は『CRAFT BAKERIES』のサブタイトル「パンの探求 小麦の冒険 発酵の不思議」をめぐって語り合います。


2冊の本に秘められたテーマが明らかになるとともに、2016年の日本のパンを占う一夜となることでしょう。



ご参加の方はカタネベーカリーの長時間発酵のフランスパン、クロワッサン、パン(という名前のパン)をご試食いただけますので、実際に味わいながらお楽しみください。



『毎日のパン』


『CRAFT BAKERIES』

【出演者プロフィール】


片根大輔(かたね・だいすけ)
カタネベーカリー・シェフ。
2002年、代々木上原にオープン。
2007年からはカタネカフェも営業。
ブルーボトルコーヒーへのパンの提 供、ほぼ日の「こわくないくまのパンや」への参加など仕事の幅を広げつつ、朝2時半から生地を仕込む毎日。
2015年11月に『毎日のパ ン』(アダチプレス)を出版。

入江葵(いりえ・あおい)
Bread Labチーフ・ディレクター。
モデルやMCをしながら、青山パン祭りなどパンにまつわるさまざま仕事を行い、2015年12月に『CRAFT BAKERIES: THE STORY OF ARTISAN BREADーーパンの探求 小麦の冒険 発酵の不思議』(メディアサーフコミュニケーションズ)を出版。

池田浩明(いけだ・ひろあき)
ライター、エディター。
パンのことならどこへでも足を運び、何でも掘り下げる「パンラボ」を主宰。
著書『サッカロマイセスセレビシエ』、 編著『パンの雑誌』(ともにガイドワークス)など。
2015年にはカタネベーカリーも参加する「新麦コレクション」(NPO法人申請中)をスター ト。
新麦コレクション http://mugikore.net
- comments(0) trackbacks(0)
春を待ちわびてパンとコーヒー カネルブレッド+カフェ・ファソン
新麦コレクションの冬企画として、
1月20日(水)〜25日(月)まで銀座三越7F 催物会場で、
小麦が主役のベーカリー&カフェをオープンいたします!
題して、「春を待ちわびて、パンとコーヒー。」

 
カネルブレッド。
みなさん、この店名をぜひ覚えてください。
弱冠28歳の平山翔さんがシェフを務めるパン屋。
素材を重視したパン作りを行う新世代が台頭してきたのです。

フォカッチャや食パンはもとより、メロンパンやあんばたまで。
彼の作るパンからは小麦の声が聞こえてきます。
小麦のフレーバーや食感を、副素材やフィリングと合わせつつ、こんなにうまく引き出すことができる新星が現れたことは事件ではないでしょうか。

今回、栃木県那須黒磯からカネルブレッドが特別に銀座三越に出張。
オーブンやミキサーを入れて、その場で焼きたてのパンを提供。
東京の人たちに、最良の状態でカネルのパンをお披露目いたします。

そして、最高のパートナーに参加いただけることになりました。
中目黒のカフェ・ファソン。
ZOPF、365日、トラスパレンテなど並みいる名店に愛され、豆を提供している自家焙煎の雄。
オーナーの岡内賢治さんもまた、テロワールを表現することにすばらしく長けた方です。
小麦のフレーバーを重視したパンに圧倒的相性を見せる「新麦ブレンド」を引っさげて、登場します。
その場で一杯一杯丁寧にお淹れする他、シングルオリジンの豆も販売。
パンとコーヒーの驚くべきマリアージュをぜひ体験してください。(これについては後日詳報)

この企画は、銀座三越7階 催物会場で行われる「GINZAでパンとコーヒー」展の目玉として行われます。
会場には他にもいろいろなパン屋が出展。
池田も基本的にずっと会場におります。
青山パン祭りチームのパンアイドル・入江葵さんもカネル大ファンとしてサポートしていただきます。
ぜひ遊びにきてください!(池田浩明)
- comments(0) trackbacks(0)
| 1/174 | >>