パンの研究所「パンラボ」。
誌面では紹介しきれなかったパンのあれこれをご紹介します。
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
かめぱん(小村井)
104軒目(東京の200軒を巡る冒険)

下町の商店街にくると、レトロなパン屋に入るのが楽しみだ。
必ず買いたくなるのはコッペパン。
ジャムやピーナッツバター、あるいはお腹が減っていたらコロッケパン。
それを食べて、下町にきてよかったなと納得する。

かめぱんに入ると、食べたかったようなコロッケコッペ(178円)があった。
両端が細り、中が太い。
飛びだしたコロッケのボリューム感、ソースの垂れ具合。
下町のコッペのイメージとぴったり重なる。
生地は目が詰まってやや硬め。
ほのかな甘さと、ほのかな塩気を同時に感じ、そして味がありすぎない。
すべてが相まって、このはじめて食べるパンをなつかしいと感じるのだろう。
ややミルクっぽさを感じさせるコロッケのじゃがいもの味は、ソースの味、パンの味と違和感なく一体化する。

やっぱり下町では、コロッケパンがよく食べられると佐久間友樹店長はいう。
「この店は60年ぐらいつづいています。
コロッケパン、カレーパンはむかしからずっと人気がありますね。
甘食やシベリアのようななつかしいパンも、最近、復活させました。
製法は時代に合わせてだいぶ変わってきましたが、無添加というのはこだわりです」

昔からの商店街にあって、昔のまま立ち止まってはいない。
伝統の味のイメージを大事にしながら、新しい製法も取り入れている。

「酵母は、粉と水とイーストを1日、2日、やさしく混ぜつづけて仕込みます。
そうして作ったルヴァンを少量ずつ混ぜて生地を作ります」
イーストのいいところと、老麺の味わい深さをミックスした製法は、伝統を感じさせ、しかも手軽に手が届き、かつ日常にふさわしい軽さを併せ持つ。

自然酵母のぶどうロール(55円)
食べやすさと小麦の味わいの深さがきちんと両立した、誰でも楽しめるパン。
ほんのりした甘さと、すっきりとしたミルクの味わいが豊潤に滲みだす。
砂糖の甘さではなく、素材本来の味わい、質感を感じさせる。
甘さはだんだんと強まりながらすっきり感は変わらず、強い香ばしさや酵母の香りがしっかりありながら、生地はふわふわと軽い。
食べ流すこともできるし、深く味わおうと思えば、風味を深呼吸することもできる。

パン屋にとってなにがいい仕事なのか、ということは、場所によって、その町の持つ文化や歴史によってちがうのかもしれない。
この町にとても似合ったパンだと思った。
お客さんの元々ある嗜好を大事にしながら、新しい風も吹き込んでいる。

かめぱん(120円)
店の名にちなんだパンは、やさしいパンだった。
ミルクの甘い香りと発酵の香りが入り混じる。
軽く、ふわふわとした食べやすさ。
その中にも、生地の舌触りにあるちょっとした凹凸、素材感が、ナチュラルさとして感じられる。
クリームは甘すぎず、ミルクの勝った感じが、やはりやさしさというイメージへとつながっていく。
じょじょにクリームの甘さが弱まってくるにつれ、生地の味わいが浮かび上がってきて、クリームと一体になる瞬間がすばらしい。
このかわいさだけで、小さい子へのおみやげとして鉄板だろう。

(池田浩明)

東武亀戸線 小村井
03-3619-2223
墨田区立花2-1-11
7:00〜19:00
無休(年末年始除く)

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