パンの研究所「パンラボ」。
誌面では紹介しきれなかったパンのあれこれをご紹介します。
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
ご当地パン祭りを食べまくる
パンラボブースに、たくさんの方にお越しいただきありがとうございました。
行き掛り上、パンを売らせていただいたが、心の端っこではこのようなことを考えていた。
こんなにたくさんのパンに囲まれているのに、売る一方で食べちゃいけないのは拷問ではないかと。
イベント終わりと同時に腹がぎゅーと鳴り、買い集めたパンを食欲の命じるままに食べまくったのである。

東大阪ラグカレー(大阪 鳴門屋製パン)
たしか第1回から参戦していると思うが、おそらくはバージョンアップも行って個性を尖らせ、3回目にして2位入賞を果たした。
酸味のきいた独特のルーはスパイシーかつコクも痛烈で、口の奥のほうへぎーんと響いてくる。
素材はすべてルーに溶け込ませて形がなく、ただ牛肉の塊だけがこくこくとした食感で存在感を主張している。
揚げていないのか、舌触りも食感もソフトなパンもユニーク。
香ばしさもきちんとあるので、フィリングのコクと拮抗する。
手を汚さずに食べられるカップ型のパッケージも優れている。

つづいて2つのカレーパンを食べて、カレーパンラボしてみる。
カレーパンは人気があるのか、ご当地パン祭りでもいろいろエントリーがあり、毎回上位入賞を果たしている。

よこすか海軍カレーパン(神奈川 カフェド・クルー)
第1回覇者。
かりかりに揚げた焼き色のいい衣は粒も大きめで、油がジューシーに滲みだす。
ダシのきいたフィリングと、オイル感があいまって、がっつりとした味わいに仕上がっている。
カレーパンのがっつり感は、Zopfのもそうだが、人気カレーパンの王道なのである。
生地が厚めでもおいしく食べられるのはパンが優秀だから。
ゆえに、食感も、甘さも存分に楽しめる。

牛すじ煮込みカレー(兵庫 イスズベーカリー)
フィリングが秀逸。
甘辛く煮込んだ牛すじのとろり感、こりこり感。
噛んでも噛んでも噛み切れないが、噛めば噛むほど、肉のエキスが出てくる。
牛すじ煮込みの甘辛感覚に、ドーナツ生地の甘さがぴたりと寄り添う。
牛すじカレーはカレーパンというすばらしいパートナーを見つけた。
甘さゆえに、刺激しすぎない、マイルドな後口もいい。

珈琲あんぱん(神奈川 ベーカリー&スィーツ エスプラン)
第3位。
コーヒーパンには目がない私だが、それを差し引いても秀逸だと思う。
コーヒーのあんとホイップクリームの組み合わせが、まるでフラペチーノにクリームを浮かべたようだ。
苦みがぐいぐいと押し寄せ、それをホイップクリームのじゅわっという口溶けがあっというまに包み込んでさわやかにする。
パンの口溶けよさがそれを加速させ、カフェオレを「飲む」感覚を彷佛とさせるのだ。

次の2つは和の味わいをパンに置き換えた惣菜パンである。
こういうパンが多く登場するのも、ご当地パン祭りならではのこと。

黒ねぎ丸(岐阜 グルマン・ヴィタル)
お焼きのような和のパン。
ゴマ油で炒めたネギと、ゴマの入った生地の相性。
大豆のつぶつぶ感、ねぎのぴりぴり感。
ゴハンがとてもすすみそうなフィリングをパンに合わせている。

みそぎパン(岐阜 日の丸製パン)
みそぎとは、羽島市の「みそぎ神事」で食べられる焼き団子とのこと。
パンの表面に味噌を塗り焼き上げていて、香ばしく味噌が香る。
パンはもちっとしてもちに似て、中にはあんこが入っていて、それが味噌の香りと相まって、味噌あんのようだった。

地元ならではの食材を使ったパンも毎年登場し、こんなおいしいものがあったんだということを教えてくれる。
以前食べた、福島夢あんぱんに使われる、未熟の桃などもそのひとつであった。

古代米クロワッサン(奈良 石窯パン工房キャパトル)
濃いめに焼かれた皮から香りも味も滲み出すような香ばしさがある。
つづいて広がるバターの甘さの中にうっすらとした甘さが混ざり込んでいる。
これは米の甘さで、奈良・明日香産の黒米とのこと。
黒蜜が付いていて、お好みでかけて食べるという新趣向。

あけの金時デニッシュ(山梨・丸十山梨製パン)
もさーっとした食感のスイートポテトが、じわーっとやさしい甘さを押し広げる。
それが、思いもかけぬほどの輝きにあふれているのだ。
このデニッシュは、「あけの金時」というさつまいものおいしさに尽きる。
デニッシュのバター感が、バターをさつまいもに落としたときのように好相性で、敷き詰められたカスタードも、さつまいもの明るい甘さを強調する。

今回のご当地パン祭りにも、日本中の新しいパンに出会う興奮があった。
だが、まだまだこんなものではないはずだ。
また来年、まだ見ぬご当地パンよ、いでよ!
おいしいご当地パンがあれば、全力で食らい、全力でサポートしたい。
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コーヒーパンに目がない!そんな池田さんにお試し頂きたいのは私の郷里青森は工藤パンの「イギリストースト コーヒークリーム」です。
コーヒー味が濃ゆくて、缶コーヒーに例えたら「微糖」。牛乳と一緒によく食べました…。
トーストという名前ながら、状態はトーストされる前のスライスパン(サンドしてある)という不思議なパンです。
from. Booksotama | 2012/11/26 22:44 |
Booksotama様
イギリストーストおいしそうですね!
名前だけは聞いていて、まだ食べられていません。
機会を見つけて食べてみます!
ご当地パンのことは地元の人がいちばん知っていると思うので、情報を教えていただくととてもありがたいです。
from. 池田浩明 | 2012/11/27 23:49 |
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