パンの研究所「パンラボ」。
誌面では紹介しきれなかったパンのあれこれをご紹介します。
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
第4回日本全国ご当地パン祭り
10月21日(土)、秋晴れの下、ご当地パン祭りが今年も開催された。
人、人、人、人。
パン、パン、パン、パン。
第4回目ともなると、今年も来たかという、なつかしい気分になる。
パン屋さんの中に去年も見た顔が見え、毎年1度出会うパンにまた会ったり。
そして楽しみなのは多くの新作パン、地方に埋もれていたまだ見ぬ伝統パンに会えること。

ご当地パン祭りの優勝は客の投票で決まる。
買ったパンには投票シールがついており、おいしいと思ったら、投票ボードにシールを貼る。
その数がもっとも多かったパンが優勝となる。

第4回日本全国ご当地パン祭り 結果 
優勝  みしまフルーティキャロット  静岡県   グルッペ
第2位 みかぱん           和歌山県  鳴門屋製パン
第3位 かりかりメロンパン      群馬県   グンイチパン
第4位 三田牛すきやきパン      兵庫県   パンプキン
第5位 高知のやっこねぎ鰹      高知県   ベークショップ ヒジリ

優勝のみしまフルーティキャロットは、フルーツのように甘い三島人参をダイス型のゼリーにしてクリームの中に混ぜ込んだもの。
人参型のパンとパッケージのインパクトも貢献。
グルッペは、去年の三島コロッケパンにつづいて2連覇を果たした。

みかぱんは和歌山名産の有田みかんを使用したジャムとヨーグルトクリームが中に入ったジャムパン。
昨年5位から2位へ躍進。

かりかりメロンパンは、第2回でまゆっこを擁して準優勝を果たした群馬県のグンイチパン作。
袋を開けるとマーガリンの香りがこれでもかと漂い、いきなりなつかしい気分に引きずり込まれる。
ふわふわの菓子パン生地をはるかに凌駕するビスケット生地のインパクト。
上面のみならず底面まですっぽりとコーティングし、かりかり感と派手な甘さで圧倒する。
きらきらと輝く、砂糖のトッピングも、かりかりをより増している。
メロンパンの魅力をビス生地の増強に求めたマーケティングと、お客様のニーズに応えようという情熱の勝利だと思った。

その他、私の気になったパン。

とろ生コッペ(東京・マルジュー)
コッペパン史上最高ふわふわ感。
というより、かなりリッチなので、むしろコッペ型のブリオッシュではないかとも思える。
通常のコッペパンのようにカットしてクリームをはさんでいるのではなく、おそらく後からの注入。
やわやわとした生地から垂れ落ちそうなほどたっぷりとクリーム。
後入れのため、焼成のダメージがなく、とろとろ感がすばらしい。
目の前が黄色く染まるほど大量のクリームが怒濤のごとく押し寄せて、生地を圧倒。
とにかくクリームという、私のようなとろとろ好きにはたまらない世界が展開される。
やわらかくふわふわの生地は、クリームといっしょの速度ですばやく溶けていくため、口溶けの快楽はさらに高まる。

富士の恵み(静岡・富士物産)
ほろ苦くもすがすがしい緑茶が練りこまれたパン。
みかん味の白あんは、あんこに柑橘系のさわやかな酸味が加わって、甘さがマイルドになっている。
さらに、お茶とあんこだって当然合う。
みかん+お茶。
静岡名物同士が組み合わさると、本当に味の相性もよかったのである。
橙色と緑色という東海道線の急行電車のカラーリングみたいな、和のマリアージュ。

ハムねぎ丸(岐阜 グルマン・ヴィタル)
全粒粉を使い、しっかりと香りのある重めのパンは、他のご当地パンと一線を画す。
熟成によるうまみもあって、ネギ炒めから香ってくるごま油やオイスターソースの濃厚なコクに負けず、響きあっている。
ハムが厚切りで豪快に肉味を感じさせてくれることも好バランス。
お酒にも合うような料理的なパン。

ピーナツバター(兵庫・ニシカワ食品)
毎回、秀逸なパンを出品する、ご当地パン祭り「無冠の帝王」。
つるっとした表面、詰まり気味の中身は、噛みごたえが十分で、かつくにゅっとクリーミーに溶ける。
あまりにも濃厚すぎるピーナッツの香り。
薄くのばすのではなく、中央にホイップしたピーナッツクリームの塊をまとめてどかん。
パン生地を掻き分けて、中心部に達すれば、ほぼピーナッツクリームばかり口に入り、パン祭りというよりピーナッツ祭り。
ふわっときて、にゅるっと溶けて、ぐわーっと猛烈な甘さ、ピーナッツ感があふれ、押し寄せ、がぶり寄られる。

かすてらぱん(静岡・ヤタロー)
パンでカステラを巻くという掟破り。
黄色が内側、外側が白という逆伊達巻きカラーリング。
外側のパンはかなりねっちりして古めかしいテクスチュア。
カステラがいちご&リンゴジャムによってしっとりとそぼ濡れている。
香料のものなのか香りがお酒っぽく、ババのような雰囲気もある。
そのしっとり感と甘さを頼りにパンを食べ進むという異色のパン。

ことぶきのぶどうぱん(兵庫・寿屋)
誕生から50年、姫路で有名なご当地パンであるそうな。
レトロなパッケージ。
パンもレトロだった。
これ、普通のレーズン食パンじゃね? と思いきや、中にマーガリンがサンド、以上。
その単純さは、50年前の古き良きパン製作環境を想起させる。
単純ゆえに飽きられず、長く愛され、生き残ったのでもあろう。
私にとっては新鮮だった。
レーズン食パンにマーガリンを塗って食べたらおいしい。
あれこれ付け加えなくても、その事実だけで十分なのだから。
もちろん、パンが実にふわふわで、厚切りで食べていよいよおいしいという仕事ぶりも、おいしさに貢献しているということも忘れてはいけない。

私の好きな福島県郡山のご当地パン「クリームボックス」も参戦していたが、残念なことに到着したときはすでに500個が売切れていた。
優勝するためには1000個売らなければならない。
それぐらいの数を持ってきていれば、優勝戦線に食い込めたのではないだろうか。
そんなこんなの理由もあるから、入賞作だけがおいしいパンなどとは、決して言い切れないのである。
だから、自分だけの推しパンを発見するよろこびが、ご当地パン祭りの醍醐味なのである。

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