パンの研究所「パンラボ」。
誌面では紹介しきれなかったパンのあれこれをご紹介します。
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
新麦パーティ報告
あけましておめでとうございます。

おいしくて、安全な小麦がもっと日本中にあふれる未来を目指し、新麦コレクションは今年もっと活動を加速させたいと思っております。
引き続き応援をよろしくお願いします。

たいへん遅くなりましたが、2015年10月17日に、ログロード代官山内「GARDENHOUSECRAFTS」で行われた「新麦パーティ」のご報告です。
新麦の収穫を祝い、小麦がやってきた大地や収穫した農家さんの仕事に思いを馳せ、感謝する収穫祭がこの「新麦パーティ」です。

10:30からスタートした新麦パーティ【販売会】。
朝まで降りつづけた強い雨は予報に反して奇跡的にあがり、なんとかイベントを開催することができました。
とはいえ冷たい風が吹く寒い天候の中、たくさんの方に足をお運びいただき、行列までできたことは、たいへんありがたいことです。

(ソーケシュ製パン+トモエコーヒー)

GARDENHOUSECRAFTS周辺のスペースに白いテントが立てられ、特設ブースにおいしそうなパンが並べられました。

(麦家)

全国各地の新麦の個性をパンとして表現したい。
各店のパンはそんな思いにあふれていました。

(リュミエール・ドゥ・ベー)

第1回10:30〜
カネルブレッド(栃木)、ブルージャム(福岡)、麦家(宮城)、
ソーケシュ製パン(北海道)、リュミエールドゥベー(神奈川)、テーラ・テール(愛知)、パンストック(福岡)


(川越ベーカリー楽楽)

第2回12:30〜 
パーネ・エ・オリオ(東京)、宗像堂(沖縄)、和むぎやろくじゅう(埼玉)、GURUGURUBAKERY(東京)、川越ベーカリー楽楽(埼玉)、TOLOPANTOKYO(東京)、チクテベーカリー(東京)

(和むぎや ろくじゅう)

第3回14:30〜
シェ・ジョルジュ(広島)、ヨシダベーカリー(東京)、komorebi(東京)、コウボパン小さじいち(鳥取)、セテュヌ・ボンニデー(神奈川)、禅ぱん(広島)、ムール・ア・ラ・ムール(神奈川)

販売にあたったのは、ボランティアの人たち。
笑顔で接客、みんなの力を合わせて、このイベントを支えてくれました。

13時からGARDEN HOUSE CRAFTS屋上で行われたのは新麦パーティEATLIVE!。
全国8つの小麦産地から生産者・製粉会社が来場。
8人の人気シェフとチームを組んで、今年の新麦を表現したパンを出展しました。
来場者は8つのブースを巡り、パンを受け取り、直接作り手と触れ合う。
またマイクでは作り手のインタビューを随時行います。
ミュージシャンのように、農家やパン職人が行う、食べるライブなのです。

■江別製粉(北海道) × ブーランジェリーレカン割田健一シェフ
ハルユタカ30周年を記念したバゲット「2015ハルユタカポーリッシュ」。
国産小麦でパンを作ることなどほとんど誰も想像していなかった時代から、地元の小麦をすくいあげ、ブランドとして確立したのは江別製粉でした。
それを記念するパンとして、はるゆたかの個性を最大限に活かすため、副材料の入らないバゲットを選択しました。

そして、ホットワインをイメージ、山梨のカベルネ・ソーヴィニョンとスパイス、銀座のはちみつ、みかんを入れた「春よ恋」。
廣瀬さんのスペルト小麦の粒、チーズ、たまねぎソテー、千葉の加瀬さんのピーナッツを混ぜたリゾットパン「キタノカオリ」。
割田シェフが大きく焼いたパンは来場者の歓声を誘っていました。


■前田農産・前田茂雄(北海道) × ブラフベーカリー 栄徳剛シェフ
自らの味わいを強く主張するより、食感のよさや製パン性で他の小麦や具材を活かすのが、はるきらり。
そのさっくり感や香ばしさを活かすために、栄徳シェフが弾き出した答え。
ブラフベーカリー名物のミルクフランスに仕立てることです。
引きのない不思議な食感は、小麦粉の30%だけ先にローストしてグルテンを死活させるテクニックで作られます。

前田さんはジーンズで作ったかっこいい作業服で来場。
高齢化が進む農業を若い人があこがれるような職業にするための試みです。

■素材舎(三重県) × カタネベーカリー 片根大輔シェフ 
もちもちの食感がおもしろい「桑名もち小麦」。
もちを思わせる和の食感がふさわしいパンはあんぱん。
智子さんがあんを炊き、片根シェフが包あんする。
このイベントのために夫婦で200個以上も作りました。

いま話題のオーブントースター「バルミューダ」がもちこまれあたためられたあんぱんは、表面ぱりっと、中もちっと、あんことろとろという最高の食感。
寒気も手伝って最高のおいしさとなりました。

■前田食品(埼玉) × タルイベーカリー 樽井勇人シェフ
埼玉で作られるハナマンテン。
かっては麺用しかなかった埼玉で、パン用小麦を作るのは年来の悲願でした。
ハナマンテンを作る農家、川越のとなり坂戸市の原さんも来場してくれました。

新麦の名にふさわしく、10日前に挽いた埼玉県産の小麦「国産ふらんす」。
それを使って、樽井勇人シェフが作ったのは伊予かんピールとマカダミアナッツ入りのパンです。


■ぼくらの小麦(山梨・神奈川) × 365日 杉窪章匡シェフ
おいしい空気、寒暖差があり乾燥した気候、きれいな水。
小麦をおいしくする要素がすべて揃ったような山梨県の高原地帯・北杜市で作られた小麦を石臼で挽いた「ぼくらの小麦」。

杉窪シェフは小麦のフレーバーを最大限に表現するため、あえて無発酵でパンを作りました。
数珠のように小さな玉がつながっているのを手でちぎって分けあう形。
生産者、製粉会社、流通業者、パン職人、消費者がつながりあうという新麦コレクションの理念を表現したパンです。
■湘南小麦(神奈川) × ル・ルソール 清水宣光シェフ
おいしさにこだわって作られた小麦を、風味をとばさないよう低速で石臼を挽いて作られる湘南小麦。

清水宣光さんが湘南小麦のパンにアンチョビバターをはさんだのは、湘南→しらす→いわし→アンチョビという連想から。
■大地堂・廣瀬敬一郎(滋賀) × パーラー江古田 原田浩次シェフ
個性の塊のような二人組。
原田浩次さんがディンケル小麦で作ったのは、粒のディンケル小麦を炊いて生地に混ぜ込んだパン。
また、原田さん自身が収穫してきたワイン用のぶどうを種のままちらしたスキャッチャータも販売。

イタリアで秋の風物詩となっているスキャッチャータは収穫祭にふさわしいパンです。
ワインも持ち込まれ、お祭りの雰囲気が漂いました。
■ろのわ・東博己(熊本) × パンデュース 米山雅彦シェフ

米山シェフが「ミナミノカオリ」の全粒粉で作った「 み な み ち ゃ ん の パ ン ケ ー キ 」 は、パンとパンケーキの中間。
全粒粉ならではの野性的な香りを発酵クリームやバターの甘さやミルキーさでバランスさせたもの。
自然の感動を、やわらかくソフィスティケートした形で伝えたいという米山さんの狙いがはまっていました。

千葉県産のピーナッツペーストがベーカリーの圧倒的支持を受けているボッチの加瀬宏行さんがブースを出したり。

世界各地の豆の個性を見事に表現して焙煎するカフェ・ファソンの岡内賢治さんもパンに合うコーヒーを供してくれました。

こんな一幕もありました。
観客として来場していた若い農家・小林祐さん(群馬県すみや農園)。
私は数年前、農業をはじめる前の小林さんに大地堂(滋賀県)の廣瀬敬一郎さんのところで出会ったことがあります。
自分もディンケルを育てたいと廣瀬さんに話を聞きにきていたのです。
あれから3年、小林さんは農園主となりいよいよディンケル小麦を植えることになり、このイベントの中でディンケルの種(つまり小麦の粒です)が手渡されたのです。
来場者みんなに祝福され。
農業は高齢化が進み、離農する人が後を絶ちません。
そんな中、おいしくて安全な小麦を育てる人にもっと出てきてほしい。
新麦コレクションの切なる願いです。

東博己さんも挨拶で言っていたように、イベントに参加した農家さんは、自分の丹誠込めた麦を食べる人を見て、本当によろこんでくれました。

観客のみなさんはどうだったでしょうか。
みなさんの笑顔が会の成功を物語っていたと言うのは、手前味噌でしょうか。

最後になりましたが、ご来場いただいたみなさま、そして運営を手伝ってくれたボランティアのみなさま、ご協力いただいたパン屋さん、その他の業種の方々。
みなさまに厚くお礼を述べたいと思います。

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