パンの研究所「パンラボ」。
誌面では紹介しきれなかったパンのあれこれをご紹介します。
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
1月20〜25日 「カネルブレッド」銀座三越催事に登場!
1月20日(水)〜25日(月)まで銀座三越7F 催物会場
「春を待ちわびて、パンとコーヒー。」
カネルブレッド×カフェ・ファソン
新麦コレクションがプロデュースするベーカリー&カフェ。
栃木県那須黒磯からカネルブレッドが登場、オーブンなど製パン機材が持ち込まれ、その場でパンが焼きだされる。

あの那須SHOZO CAFEで、のちにカネルブレッドのオーナーとなる岡崎哲也さん、シェフとなる平山翔さんは出会った。
当時パティシエをしていた平山さんは、パンへの情熱を抑えきれず、試作をつづけていた。

「そのパンがもうすごくおいしかった」
と岡崎さんは当時のことを思いだす。
平山翔という才能を見いだした岡崎さんは、東北本線・黒磯駅前にカネルブレッドを開店することを思いつく。
焼きたてのパンのぬくもりを提供し、地元の人びとをよろこばせるために。

カネルプッレ
この癖になる食感はなんだろう?
菓子パンのやわらかさを想像しながら噛む。
しなやかにふにっとしつつさくっと痛快な歯切れ。
そこからゆっくりと溶けてくる。
子供の頃、食べ終わるのが惜しくて、ビスケットをしゃぶったことを思いだす。
シナモン,カルダモン。
エッジの効いた香りなのにどこかやさしく。
北欧の伝統を踏襲しながら、日本のなつかしさを潜ませる。

28歳の平山さんが新世代のパン職人である所以。
それは、素材からのインスピレーションを受けてパンを作っていくことにある。
とりわけ国産小麦をごく自然なものとして使いこなす。
そもそものきっかけは、十勝の前田茂雄さんの畑を訪ねたことだった。

「国産小麦でしかできないパンがある。
国産小麦で日本のパンを作りたい。
外国のパンを国産小麦で作るのではなく。
日本人が自分たちのパンを作る時代。
もち食感は日本人に合っていますし。
吸水を多くし、国産小麦を使ったフォカッチャは、特に年配の方ほど好まれます」

ディンケルメロンパン
香ばしいビスケット生地の心に食い込んでくるフレーバーは、滋賀県大地堂のディンケル小麦(スペルト小麦。小麦の原生種)のもの。
噛む快楽があり、しかもぱさつきもないパン生地は甘さがほのかで、口の中で一気に溶けて小さくなり、ビス生地の甘さをうまく中和して、さわやかさへ導く。

食べるのが好きな平山さんが、おいしいものを求めて東京を巡っていたとき。
一軒の店に出会ったことが、パン職人への転身を決定づけた。
吉祥寺、ダンディゾン。
木村昌之さん(ダンディゾン元シェフ)は素質を見抜いてか、店を訪ねた平山さんに、仕事の手を休めて長い間パンの話をした。

「木村さんの話しを聞くだけで学びになる。
聞いたことを、あとから自分で噛み砕いて、参考にしました。
尊敬する方々の背中を追いかけている。
でも、同じことはやっていません」

弱冠28歳。
少しの間、パン屋で働いていた経験はあるが、ほぼ独学というから驚く。
パンの常識に縛られないということがプラスに働いているのだろう。
平山さんのような新しい世代が登場してきたのは、素材中心・国産小麦の使用へと傾いていくパン業界の流れがある。

「木村さんや、片根さん(カタネベーカリー)が一気に、みんな変えてった。
東京の店を見てまわるとすごく刺激を受けました。
見たものを持って帰って、試作をする中で、レシピがシンプルになってった。
材料の点数が極端に減りました」

素材の素。
恐れずにそれと向き合ったとき、きっと素材は新しい魅力を放ち、澄んだ音色を奏ではじめたことだろう。
その作り手自身の感動を、カネルブレッドのパンからは食べ手も感じることができる。

林檎とイチジクのジャムパン
イチジクが放つブラウンの甘さ、フレーバー。
ブランデーの香気がそれを後押しする。
りんごの甘酸っぱさがそこに合わせられ詩的な次元へと昇華されている。
ぷるんとしたパンの食感のおもしろさ。
でも普通の菓子パン生地とはちがっていて、砂糖よりも香ばしさ、小麦の甘さが全面に出ている。
だからこそ、フィリングと合わさって実に味わい深く、一口運ぶたびに趣きを変えるので、パンの魅力にずぶずぶと引き込まれてしまう。
いちじくの種がぱちぱちとはぜることさえ食感のおもしろさとして味方に取り込む。

365日の杉窪章匡さんはもっとも影響を受けた一人だという。
キタノカオリに粉対比100%の水分を入れて作られる、365日「ソンプルサン」。
そのみずみずしくクリアなおいしさは、平山さんに国産小麦で主食になるパンを作ることへの可能性に目覚めさせた。
製法を予測し、油脂をオリーブオイルに変えて、何度も試作を繰り返し、「フォカッチャ」の形に落としこんだ。
もちもち感、ごはんのような食べやすさ。
それはイタリアのパンではなく、日本の麦で作る日本人のためのパンだ。

最後に、以前平山さん自身から送られてきたメッセージを載せたい。
「麦や作物を育てる方へ敬意を表し、食材を扱うこと。
それらを食べる方々を気遣い、寄り添うこと。
日本の四季を感じ、食材の旬を楽しみ、味わうこと。
安心安全という安堵感、驚きや興奮、そして美しさなど。
私たちは『美味しい』の、その先にあるものを大切にし、一つ一つ丁寧にパンを焼いています。
『LOCAL FOOD  & GOOD COMMUNICATION』」

カネルブレッド
JR東北本線 黒磯駅
栃木県那須塩原市本町5-2
0287-74-6825
7:00〜18:00(火休)

新麦コレクション comments(3) trackbacks(0)
Comment








「パン屋がなかったこの町に」とありますが、カネルブレッドさんより前からやっているパン屋さん、ありますよ。ちょっと大げさだと思います。
from. 千里 | 2016/01/21 16:29 |
千里様
ご指摘ありがとうございます。
おっしゃる通りだと思います。
修正させていただきました。
これからも正確な情報の発信を心がけてまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。
from. 池田浩明 | 2016/02/03 10:56 |
管理者の承認待ちコメントです。
from. - | 2016/06/27 23:19 |
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