パンの研究所「パンラボ」。
誌面では紹介しきれなかったパンのあれこれをご紹介します。
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
パン魔法教室vol.1

食パンをもっとおいしくする99の魔法

 

『パン魔法教室』vol.1
in WINESHOP & DINER FUJIMARU(浅草橋)
木邨 有希さんとともに
 

池田がパン屋3軒をまわりパンを買い集める。

そのパンに合う料理を木邨有希さんが作る。
食後にはパンの食べ方の魔法を木村さんに聞く。

 

楽しく食べて、パンの魔法をお持ち帰りするイベント「パン魔法教室」の第1回が浅草橋ワインショップフジマルで行われた。

 

ボネダンヌ、コメット、ブーランジェリーレカン。
パンを買い集める池田にテレビカメラが密着した。

 

ブリオッシュナンテール × パンコントマテ

 

食パンのように型で焼いたブリオッシュナンテールは、中身の白い部分が大きくて、皮目の香ばしさに浸食されないピュアなバター感を味わえる。
パンコントマテは、スペインの代表的なパンの食べ方。
スライスしたブリオッシュを炙って、トマトのマリネ、さらにブレザオラ(牛のももを赤ワインに漬け、乾燥させたもの)。
有機ニンジンの葉っぱのサラダといっしょに。


「お肉はなくてもかまいません。
ポイントはブリオッシュを香ばしく香りが立つぐらいに焼いて、和えたての冷たいトマトをのせる、そのコントラスト。
トマトはイタリアンパセリのみじん切りとエシャロット、にんにく、お酢とオイルと塩と胡椒だけでシンプルに和えています。
トマトは身がしっかりして、噛んだとき歯ごたえがあるものを。
そうすると、上だけ食べ終わっちゃってずっとパンだけ食べてる、ということがなくなります」

 

シトロンチャバタ(レカン) × ポムブーランジェール

 

日本のパン屋には特に多い甘めのパンをどうやって食事と組み合わせるか?
というテーマから考えだされた一品。
ポムブーランジェールは、捨て窯(パンを焼いたあとの余熱)で作る「パン屋さんのジャガイモ料理」。
鶏のダシに浸したじゃがいもをオーブンで煮焼きする。
今回はフレッシュなタイムで香り付け。

 

「ブーランジェリーレカンのトロンチャバタは個人的にも好きでよく買います。
このパンを食べたとき、頭に浮かんだのが鶏のスープ。
それと、私の修行したコートダジュールでは、レモンにタイムを合わせるのは定番の組み合わせなんです」

 

レカンのシェフ割田健一さんによると、シトロンチャバタは、ドライのレモンに加え、風味のしっかりしたレモン入りのオリーブオイルを使うのが味の肝。

 

バゲット(コメット、ボネダンヌ) × 菜の花とほたるいかのマリネ

 

2種類のバゲットはどちらもフランス産小麦。
その特徴は甘さよりも風味やコクを感じること。
なので、菜の花やほたるいかのような個性の強い食材と合いやすい。
料理のほうは、ほたるいかの肝の味わいが、菜の花との出会いでさわやかさと旨味にかわる、春らしい組み合わせ。

 

「ほたるいかの旨味に負けないように、菜の花を使いました。
にんにくとエシャロット西洋ネギで炒め、あと少しだけゴマを混ぜました。
茹で具合、炒め具合、刻みぐあいでバランスをとっています。
ほたるいかはまるのまま食べるのが一般的だと思いますが、味が詰まっているので刻むとより濃厚さを感じられます。
目と口をとると口に当たらずおいしく食べられます」

 

カンパーニュ(レカン) × チャンジャのポテトサラダ
            × 放牧豚の生ハム オレンジ風味

 

酸味にこだわったカンパーニュ。
4種類の種を使用、さらに隠し味にバルサミコ。
まろやかないい酸味が変化しつつ持続する。
あたためると香りが立ち、食感は軽く、口溶けよくなる。
チャンジャのポテトサラダは癖になるおいしさ。
パクチーの香りが後味をさわやかに。
「シンプルなポテトサラダに、パクチーの根っこをあたためたオイルをかけてます。
『この調味料意外と余っちゃうんだよね』っていうものを使ってもパンに意外と合ったり。
特に割田さんのカンパーニュは、チャンジャのような味が強いものでも負けないですね」

カンパーニュと生ハムは、野獣の風味同士がもつれあうマリアージュ。

 

「北海道の十勝で放牧で育てられたすごく元気な野生に近い豚の生ハム。
オレンジの皮を張り付けています。
脂の味がすごく強い。
そこに割田さんの酸味があるパンが加わると豊かな味わいになる。
ここにウドの酢漬けを添えて春の香りを添えています」

 

コメット(コメット) × バターと生わさび、いわし節
           × 巻ぶりとチーズ

 

コメットはこめぬかを入れた大型パン。
最近増えているお米のパンをおいしく食べる方法を知りたくてあえて提案。
いわし節(かつお節のいわしバージョン)と生わさびとの組み合わせはごはんを食べるようにむしゃむしゃ食べられた。
パンと和食って合わせにくいように思われがちだが、木邨さんに率先してやってもらって背中を押された思いだ。
「コメットいい米ぬかの香りがして、どっしりとしているので、締めごはんの感覚でお出ししました。
ボルディエ社のバターをのせて、削りたての生わさびといわし節と、きちんと発酵・熟成された醤油をかけたもの。
もともとプライベートでごはんをこんなふうに食べていました。
本当にすばらしいもの同士ってどんなシチュエーションで出会ってもけんかせず、おもしろい化学反応が起こることしかないんです」

 

巻ぶりは能登の伝統食で、塩漬けしたぶりを藁で巻き、軒先に吊るして乾燥させたもの。
干物と発酵食品の中間のニュアンスで食べやすい。

 

「チーズと巻ぶりをのせました。
巻ぶりは凝縮したお魚の味。
アンチョビのイメージですね。
これがあると急な来客でも重宝します」

 

パン・ド・ミ(ボネダンヌ) × 麹のアイス

 

フレンチでは決して出てこない食パンをあえて入れた。
いまの流行りである、やわらかで甘めの口溶けいいタイプ。
麹のアイスはさわやかで甘酒の香り。


「バニラアイスだとつまらないかなと思いました。
この食パンもそうなんですが、おいしいパンに卵のリッチさってもうあまり必要じゃない(バニラアイスは卵黄が入っている)。
卵が入ってないので、パンといっしょにしゅっと白雪のように消えていく感じがうつくしいかなと。
酒粕とごく少量の砂糖と牛乳を混ぜて、アイスマシーンにかけるだけ。
ちょっと胡椒をかけて、食べ飽きないよう、変化を入れて。
そこにヤマブドウの酸味を加えています」

 

ブーランジェリーレカンの割田健一シェフが飛び入りでトークに参加。

 

今回のテーマは「発酵」だったと木村さん。
「今回、池田さんのセレクトしたパンは、それぞれにきちんと発酵をとったパン。
日本の食卓にあるのは発酵調味料だったり、熟成させたもの。
その共通項でいったらおもしろいかなと思って」

 

魔法教室の生徒たちに金言をいただいた。

 

「パンが好きだからパンを切ったときにくんくんしちゃいますよね。
そのとき連想した食べ物を合わせると意外と合うんです」

 

感じたことを受け止め、自由に想像を広げること。
それが木村さんの料理のすばらしさだと思った。
また、すりごまではなく、きちんとごまを炒って、すりばちですったり。
そんな基本をおろそかにしないところにも、パンをおいしくするヒントはあった。

 

協力:GüDE(LEAF & MOON)

http://shop.leafandmoon.com/

 

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素晴らしい会でした!!
またぜひ参加したいです。
from. aml | 2017/05/10 01:13 |
楽しんでいただけてよかったです。
またよろしくお願いします!
from. 池田浩明 | 2017/05/10 01:46 |
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