パンの研究所「パンラボ」。
誌面では紹介しきれなかったパンのあれこれをご紹介します。
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
タカセ(豊島区ご当地パンへの道のり2)
東京には空がない、と智恵子が言ったのと幾分か似通った意味ではあったが、東京にはご当地パンがない、と以前書いた(亀戸味噌パンの記事)。
その認識の浅さを、早くも撤回しなくてはならない。
サンシャイン60の上にだって青空はあり、この広い東京には数えきれぬほどの通りや路地がひしめいているのだから、その道筋にしか知られぬパンがあって何の不思議もないのだ。

池袋の東口にいったことのある多くの人の目にタカセの看板は触れているはずである。
なにしろ東口をでたすぐ目の前にあるのだ。
新宿のタカノフルーツパーラー前や銀座和光前といったおなじみの場所と並んで、国土交通省による路線価の測定地点に選ばれていたほどだから。
そうしたところには必ず、新宿中村屋や銀座木村屋といった誰もが知るパン屋の本店が鎮座しているわけだが、それの池袋バージョンがタカセなのである。
ピンクや青のレトロな飾りケイに彩られたファンシーな看板にも、そういえばご当地パンの匂いがぷんぷんしていたわけだが、私はデパ地下のドンクやメゾンカイザーなどといったメジャーに目を奪われて、ついぞこの老舗と真剣に向き合うことがなかった。

迂闊だった。
私はすばらしい数々のご当地パンの前をいつもいつも素通りして、サンシャインに行っていたのだから。

カステ…スポンジカステラを甘いパンの中にはさみました。
ファンタジー…ふわふわの生地にフルーツ入りクリームをサンドしました。
カジノ…フルーツクリームとカスタードの2種類をパンで包みました。

以上が、陳列棚に貼られたパンの名称と説明なのであるが、ネーミングセンスも、他では決して目にできないような新しさやインパクトもすごい。
統一コンセプトについて考察するなら、「洋菓子への永遠のあこがれ」ということに尽きるか。
「え、こんな昼間から、ケーキ食べちゃっていいの?」的お得感というか。
百数十円の投資で、潤いのない日常が、洋菓子のあるゴージャスライフへと変貌するのである。

上の写真、及びもうひとつ上の写真がカステ。
カステラがパンの中に入っている。
カステラをおかずにパンを食べる。
カステラの甘み、卵とミルクの香りを頼りに、ふわふわの甘いパンを食べ進む。
あんこやクリームではなく、カステラが具。
私はこの味を読者のみなさんにお伝えしようと、あらゆる表現を探したが、「カステラを具にしてパンを食べる感じ」としかいいえない。
ひとつの側面をいえば、カステラが新しい翼を得た、であり、もうひとつの側面についていうなら、カステラが荷物を背負った、である。
チョコクリームが塗られたのと、アイシングの二種類がストライプになっていて(写真はハーフでメインは4本入り)、甘みに豪快さのあるアイシングのほうが私は好きだ。


上のパンのネーミングとして、ファンタジーほどすばらしいものを想像できない。
これを食べる体験は、まさしくファンタジーそのものだからだ。
ホイップクリームの中にシロップ漬けフルーツ。
レーズンや、リンゴや、その他…。
しかも、ひとりでは食べきれないほどの大きさ。
直径が、女の人の中指の先から手首までぐらいある。
パンに期待するゴージャスさや、カロリー摂取量をはるかに凌駕している。
ファンタジックなパッケージも永久保存したいぐらいの愛おしい気持ちになる。

店の人によると、ファンタジーやカジノは、3、40年も前から存在しているそうである。
店の前の道を少し歩いていったところには豊島岡というお嬢様高校があって、そこの売店でも売られているこれらのパンを、なつかしいといって買っていく元女子高生が多いとも。
地元民に長年愛される真性ご当地パンが、池袋駅前にあって人に知られぬ、灯台下暗しぶりよ。
(ぷ)


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パンラボ comments(2) trackbacks(0)
Comment








昔からあるのが当たり前のような風情が良いですね。
ファンタジーを見て、しばらく食べていないのを思い出しましたが銚子にはこれの4倍拡大版(直径がヘルメットより大きい…)、藤村ベーカリーのその名も「家族パン」があります。こちらはバタークリームですが、旨いです。やはりこれも何十年と続いているそうで。

それをひとりで食べてしまう私もどうかと思いますがw)
from. trv | 2010/11/28 09:03 |
trv様
ご当地パン情報ありがとうございます。
家族パンすごいですね。
ヘルメットより大きいとは。
千葉にもご当地パンあったんですね。
from. ぷ | 2010/11/30 04:06 |
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