パンの研究所「パンラボ」。
誌面では紹介しきれなかったパンのあれこれをご紹介します。
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
グーチョキパン店
店に入って商品を一瞥しただけで、「背骨」がわかる。
そうした品揃えのパン屋が好きである。
ありとあらゆるパンが用意されている場合、それはきっとお客さんのためを思ってなのだとは思うけれど、なにを買っていいのかいたずらに迷ってしまうばかりである。
商品が多すぎると、贅肉がつきすぎていて「背骨」が見えない。
私が背骨と呼ぶのは、その店のもっとも元になるような原点のパンのことである。
そこから派生して、その生地を別の形にしたり、別の素材を加えたりして、他の商品も作られていく、そうした過程が品揃えの中に見えていると、お店の人の考えも自ずからわかって、買いやすい。

そうした意味で、グーチョキパン店の品揃えは私にとって理想なのである。
販売方法は対面式で、すべて店の人とお客が会話をしながらパンを選ぶ。
棚は、天上から床まである背の高いものが、わずか2列。
その前に店員さんがいて、その手前にガラスケース(その上にレジスター)がある。
この棚の二段目と三段目、もっとも多くのスペースを占めて置かれているのが、大きなカンパーニュであり、これがこの店の背骨である。
上の段左側に山型食パン、右側にはバタール。
いちばん目立つところに置かれた山型食パンは、一日に何度も焼き上げられ、そのたびに奥の厨房から運ばれてくるので、もっとも人気のある商品だと思われる。
また、バゲットを置かず、食べやすいバタールだけに絞っているのも、この店の考え方をよく示している。

木製のガラスケースには、二段に渡って菓子パンなどが入っている。
クリームパン、それからデニッシュ数種、小型の食事パンもここに入っていて、どのパンもきつね色のいい焼き色をしている。
このクリームパンが私の執着の的であって、食べてみたなら、きっとほっとするような、やさしい甘さがするだろう。

グーチョキパン店はおそらく自家製天然酵母を使用している。
というのも、いまだに薪窯を守り抜いているぐらいなので、イーストを使っているとは思われないからだ。
店主は大柄の、筋骨隆々とした人物で、たいへんに無口な、しかし好人物である。
私はこの店のパンを食べたことがなく、味は人柄から類推するしかない。
おそらく皮はがっしりとして、食べ応えもかなりあるだろう。
けれど、食べづらいほどでは決してなく、硬いというよりも、しなやかといったほうがいいような、やさしい食感のように思われる。
そして、バターや生クリームのような副素材は極力控えられ、小麦の味がまっすぐに表れているような生地である、とも想像される。

販売を担当するのは、店主の奥さんで、とても明るい気さくな人である。
お客さんとはいつも会話があり、ある常連さんの赤ちゃんがおしゃぶりがないと眠れなくなる、というようなことまで知っている。
だから、丘の上のかなり高いところに建つ、この木造の古めかしい西洋館(外観はベッカライ・ブロートハイムに似ている)まで、ベビーカーを押してまで訪れようという客が絶えない。
パン屋が、地域のコミュニティにおける情報交換の場所としての機能も担っていることは、注目すべきことだと思った。

なお、ショーウインドウに、空を飛ぶ魔女をかたどった飾りパンがあるのは、この店にキキという名の13歳の少女が居候していて、ほうきで飛行する特技を活かし、宅配業を営んでいるからだ。(ぷ)


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