パンの研究所「パンラボ」。
誌面では紹介しきれなかったパンのあれこれをご紹介します。
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
ベッカライ ブロート ツァイト
第3軒目
浦和の町外れの西浦和というところに、すごいパン職人がいた。
麻凛堂の宮林シェフが、「東京近辺でなかなか感心するパン屋には出会わないけど、ベッカライ ブロート ツァイトだけはうまい」といっていたのが、あながち嘘ではないのだ。

オーブンとレジがこんなに近い店をはじめて見た。
このシェフは店の運営をすべてひとりで行っているので、ピールでバゲットをひっくり返したかと思うと、お会計をするめまぐるしさである。

目新しいパンが並んでいるわけではない。
オーソドックスなものばかりである。
ところが、ブロートツァイトの手にかかると、そのよく知っているはずのパンの、まったく新しい本質が開示される。
王道をいって、ゴールテープを切ったのに、まだ走りつづけているような、突き抜けぶりなのである。

パン・オ・クランベリー(350円)。
シェフが得意だという、ハード系のパン。
100%全粒粉の生地がここまでしっとりしていていいのだろうか。
硬い皮に守られた麦ゼリーといっていい。
全粒粉の食べづらさはまったくなくて、それはすべて濃密さであり、コクなのである。
あさっての喩えのように響くかもしれないが、このなめらかさ、このコクは、カステラを食べているかのようだ。
クランベリーの酸味がアクセントとなってかえって濃密さが際立ち、また箸休め的存在になっている。

レモンベーグル(180円)。
口に入れたときは、レモンピールがちょっと強すぎるのではないかと思った。
それが次の瞬間、レモンのほろ甘さと生地自体の甘さが渾然一体となった、あまりにもキラキラした甘みの逆襲にあい、衝撃を受けた。
そして、なにか液体がほとばしっているのではないかと錯覚するほどにしっとりして、フレッシュで、やさしいむちむち感のある生地。
張りつめた皮の薄さもいい。

パン・オ・ショコラ(130円)。
空中を浮遊するほどに、ぎりぎりまで薄く、ぱりぱりに焼き上げられた皮。
齧りついた歯が、ぱりぱりの上皮を通過し、かすかにむっちりした白い中身に達した瞬間、バターと、甘さ、そして信じられないほどの小麦味がほとばしる。
と、そこへチョコレートが襲う。
外皮・中身・チョコのトライアングルの絶妙さ、三位一体は官能的でさえある。
最後に「これもおまけ」とばかりに、チョコレートが苦みの後味を届けてくれる。(ぷ)

ベッカライ ブロート ツァイト
048-706-3030
さいたま市南区四谷1-2-2
10:00〜19:00
月休

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200(JR武蔵野線) comments(1) trackbacks(0)
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残念ながら閉店されましたね。
あのお兄さんは、また何処かでパンを作っているのでは?
また食べたい、といつも思ってしまいます。
ご存知の方はいらっしゃらないでしょうか?
from. きよ | 2014/07/11 18:23 |
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