パンの研究所「パンラボ」。
誌面では紹介しきれなかったパンのあれこれをご紹介します。
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
麻凛堂
第4軒目
「麻凛堂」の中には「凛」という文字がある。
パン屋にとって凛としているとはどういうことなのか?
お客の気づかないところで、手間をかけ、丁寧な仕事をして、誇るでも、謳うでもなく、そうしてできあがったまっとうなパンを、澄まして並べている。
宮林シェフの話を聞いていると、そう思う。

中浦和という地味な住宅地で、東京の有名店と同じレベルのパンを、客層におもねることなく提供している。
麻凛堂の陳列には胸が躍る。
ありとあらゆる種類のパンが、わずか4、5個、一列ずつ並んでいる。
ハード系のフランスパンも、デニッシュも、あんぱんも、天然酵母のパンもある。
しかも、フィリングの多くが自家製。
もっとも手間のかかりそうな、多品種少量生産。
「方向性を絞ったほうがいいという人もいるけど、ぜんぶ手を抜かずに作ればいいだけなんですから」

私は何度かこの店を訪れているが、外れがないので、安心して買える。
なぜかくもオールラウンダーなのか。
「僕にとって、バゲットはデッサン。デッサンがちゃんとできれば、油絵でも水彩でも描ける。それと同じで、バゲットがきちんと焼ければ、他のパンもできるはずなんです」

バゲット小(200円)。
やたら強い香りでも、甘い香りでもなく、折り目正しい香り。
がりっとした皮は、しかるべき厚さで、「こうでなくては」と思わせる強さがある。
やがて、風味の中心が、皮から、中身の小麦味へ移り変わっていくと、じんわりした塩味によってかすかな甘みを滲みださせて、皮の風味と中身の風味が50:50で混じりあう。
皮も、中身のしっとり感も味わえる、バランスに富んだバゲット。

パン・ド・カンパーニュ(320円)。
中央から2つに割った瞬間に、中に閉じ込められていた香りが勢いよく飛び出してきた。
酸味がすばらしい。
軽く、透き通るようで、噛み締めているうちに複雑なほろ甘さへと変化していく。
褐色の生地は見た目にもぷりっとして、かつ透明感がある。
この気泡ひとつひとつのぷりぷり感を、口の中で押し潰していくのが、心地いい。
ほのかなライ麦の香り、皮のやさしい崩れ方も秀逸。

アップルデニッシュ(210円、季節限定)。
キャラメルで煮た、リンゴのコンポートは、えもいわれぬ甘さを滲みださせ、舌の上でとろけていく。
この甘さ、バターの香り、生地のさっくり感。
三者が出会い、かき混ざり、飲み下されていくまで、頭が真っ白になるような感覚に襲われる。(ぷ)


パン処 麻凛堂
048-866-0876
さいたま市南区鹿手袋1-3-30
9:00〜19:00
日・第1・3・5月休

#004

にほんブログ村 グルメブログ パン(グルメ)へ panlaboをフォローしましょう
(ありがとうございます)


JUGEMテーマ:美味しいパン
200(JR埼京線) comments(0) trackbacks(0)
Comment








Trackback
この記事のトラックバックURL: http://panlabo.jugem.jp/trackback/707
<< NEW | TOP | OLD>>