パンの研究所「パンラボ」。
誌面では紹介しきれなかったパンのあれこれをご紹介します。
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
マルイチベーグル
第5軒目
ヴィンテージ感あふれる
ビルにホワイトキューブが突き刺さっている。
パンといっしょにセンスを食べる店なのだと心した。

これはきっとニューヨークなのだろう、とニューヨークに行ったことのない私は思う。
しかし、ニューヨークに行っても、このような店は微妙にないのだろうとも思う。
リノリウムの白い床、白い家具、白い壁、クラシックな冷蔵ケース(ガラスで外から見えるタイプ)の中にジュース。
外国特有のほったらかし感、殺風景感のかっこよさが表現されているのだが、一方で、それとは反対の実に細やかな感覚が細部にまで行き届いていることもわかる。
客に親切にするほうへ神経を使うことは比較的できやすいことだが、つきはなす方向へ心をくだくことは、かなりのセンスを持っていないとできることではない。

ベーグルもつきはなしている。
ややでこぼこで、いい加減に作って、放り出した風情の雑な形。
アメリカ的な雑さ、アバウトさ。
それを繊細に表現するという離れ業。
本当はもっとなめらかな形にできる。
日本人なら、そういうものを作るほうが自然だし、簡単だ。
サイズも日本人の胃袋を超えている。
日本的な感性を封印し、自分の信じるかっこいいものを作りだそうという衝動に貫かれている。

プレーン(180円)。
生(き)のままの白い小麦の味。
少しもふわふわとしない、目の詰まった生地。
ただの弾力ではなく、とてもむっちりして、押込んだ部分が沈みこんでいく感触を歯に感じる。
押さえきれない、いくつもの弾力が一口の中にもあって、噛み締め、噛み締め、それらを鎮圧していくことに、いつのまにか夢中になっていた。
アメリカの感触。
映画なのか、実際に見た風景かわからないが、これを食べていると、アメリカの記憶が再生される。

セブングレインハニー(220円)。
7種類の穀物とはちみつ入り。
シリアルのもたつき感、カントリー感をスパイスのようにあえて楽しむ。
アメリカにはそういう感性が存在しているのだろうと、これを食べて思った。
はちみつのやさしい甘さと穀類の強い風味が、はまりそうなほど好相性。


ソルトベーグル(200円)+パンプキンサラダ+トウフ(具材2種類500円)。
この店の本領はサンドイッチであり、ぜひ食べて帰らなければならない。
自分でベーグルを選び、具材を選び、カスタマイズする。
具材は1〜3種類の間で選べる。
半分にカットする仕方は、具材を分けるように切るのでも、写真のように2種類が半分半分は入るように切るのでもよい。
この切り方のほうが、2種類の具材がミックスした味も楽しめるとのこと。
どの具材とどのベーグルが合うか、順列組み合わせが多すぎて、予想不可。
すべては食べる人のセンスと偶然にまかされている。

トウフ…
豆腐にラムレーズン。
レーズンとクリームチーズという定番組み合わせの和バージョンにして、それを凌駕している。
言葉も理屈もいらない。
なにも考えられないほど夢中で食べた。
甘い豆腐のおいしさ。
さっぱりとしてコクがある不思議さ。
ラムレーズンと相性抜群。
ソルトは極大粒の岩塩を表面に振りかけたベーグル。
ときどき舌に触れては容赦ないしょっぱさで強烈なアクセントを加え、具材に浸透しては、コクを奮い立たせ爆発させる。

パンプキンサラダ…
かぼちゃ、じゃがいも、豆というほっこり系の甘さの組み合わせだけれど、日本的感性に安住したいところを、これでもかこれでもかと粗挽きのスパイスをふりかけ、アメリカンな世界に持っていっている。

この巨大さでレギュラーサイズ。
一回で食べきれず、翌朝まで持ち越した。
生成りの紙袋の口を握って電車に乗り、仕事場で食べた。
風景は東京だが、まるで自分がニューヨーカーであるかのように思って気分が高揚し、幸福になった。(ぷ)

マルイチベーグル
港区白金1-15-22
8:00〜18:00
月火休

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マイ・フェイバリット・ベーグルです。会社へ休日出勤するときの常用食です。必ずレギュラーで2個買います。食べるとき皆に注目されます。また以前、スマイル店長に「大丈夫ですよ!」と言われピーナッツバター+ハニー(レギュラー)を買って食後見事に昏睡状態に陥りました。でもまた食べたいです!ガッツリ系ですがフィリングの量は少なめも可能になりました。
from. 鉄吉 | 2011/01/23 11:30 |
鉄吉様
渡邊政子さんより、鉄吉さんが1年に何回この店に行ったか、
その驚くべき回数をうかがったのですが、
気持ちがわかりました。
from. ぷ | 2011/01/26 04:00 |
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