パンの研究所「パンラボ」。
誌面では紹介しきれなかったパンのあれこれをご紹介します。
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
ブーランジェリー ラ・セゾン(参宮橋)
第31軒目

石畳の階段を下ったところにブーランジュリーは現れる。

だが気取りはない。
この店のパンにはいい意味での「隙」があるように思える。
それは軽さであったり、付け加えすぎないことであったり、普通っぽさを残して食べ手に緊張感を与えないことだったりする。

西條シェフはいう。
「シンプルなものを心がけています。
パンの本来の役割は料理と合わせて食べること」

パンはパン屋で手渡した時点で終わるのではなく、食卓にのぼって、料理といっしょに人の口に入り、胃の腑に収まるところで終わる。
パン屋がパンを完成させすぎるのは一種のおこがましさであるとシェフは考えているようだ。

例えば、ピッツァ・ビアンカ(180円)。
パン屋でピザパンが売られていることはよくあるが、生地だけが売られることは少ない。
自分でピザが簡単に作れる、というところにテンションが上がって購入した。
朝食のテーブルでケチャップを塗り、とろけるチーズをのせてオーブントースターで焼いた。
パン屋で買ったピザパンとちがって、できたて。
ケチャップの量も自分好みにできるし、なにより自分の手でピザを作るうれしさがある。
いつものトースターからでてくる、チーズのとろけた本物っぽいピザに、子供がよろこんだ。
完成しすぎていないゆえの幸福感もあるのだとわかった。

ラ・セゾンでは誰もがパンを作り、誰もが販売する。
オーブンは売り場のすぐ近くに置かれ、客がくればオーブンの前にいた職人が笑顔を見せて対応してくれる。
すべて対面販売。
「食べる人を見ないとパンは作れない。
食べる人に直接会って、顔を見て、どんなパンにしようかと考えていかないといけないと思います」

バゲット・ラ・セゾン(280円)。
自分の焼くバゲットのイメージについてシェフは、
「軽い。大味な感じのバゲットが多いけど、うちのはぎゅっとした感じ」
本当に軽い。
中まで火を通して水分を飛ばし気味にし、さくさく感、食べやすさ、噛みやすさであとを引かせる。
軽さの表面を刷毛ではいたように、嫌みなくフランス産小麦の風味が顔をのぞかせる。

ポテトとローズマリーのフォカッチャ(180円)。
ぱりぱりの食感。
特に、外周の高くなったところが音を立てて、噛むのがここちいい。
薄焼きのフォカッチャ。
その上にのせられた極薄のじゃがいももしゃきしゃきとして、ふりかけられたローズマリーが鼻を刺激する。
味わいのある塩気(天塩)が、小麦の味を増幅させ、ゆらめかせる。
薄く切ったじゃがいももローズマリーも、それだけで味があるものではない。
にもかかわらず、ここには完成しすぎない、やや物足りないというおいしさがあって、そのためにどんどん食べ進んでしまうのだ。(池田浩明)

小田急線 参宮橋駅
03-3320-3363
7:00〜20:00
月休(祝日の場合は営業)

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