パンの研究所「パンラボ」。
painlabo.com
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
パネテリア ピグロ(白楽)
100軒目(東京の200軒を巡る冒険)

外から見ても、中に入っても、何の変哲もない住宅街のパン屋が、実は特命を帯びている。
私も話を聞くまでわからなかったし、常連客でさえ、気づいている人は少ないだろう。

足立総次郎シェフはいう。
「この店は研修センターなんです。
パン屋さんやりたい人を受け入れる。
脱サラしたい人、リストラされた人が、インターネットで調べて、最終的にうちにくる。
理想は若いうちから本格的な店で修行して、自分で覚えることだけど、年とると雇ってもらえないから。
職人の秘訣をマンツーマンで教える。
1日1万2千円で60日間。
レシピは20万円で買ってもらう。
ここは普通の町にある普通のお店のように作ってある。
同じ機械をそのまんま新しい店に入れれば、ここで作っているのとまったく同じように作ることができる」

会社を退職したあと、第二の人生としてパン屋を選ぶのは、どのような動機によるのか。
「最初はラーメン屋だ、そば屋だって思うんだけど、たいていは家族みんなで商売やることになるので、『ラーメン屋はいやだ』って反対されて、『それじゃパン屋』ってなることが多い。
簡単そうに見えるんだけど、やりはじめると『うわーっ』と思う。
パン屋ってのんびりやれるように思っているんだけど、こんなに忙しい仕事なのかってはじめて気がつく。
手際よく仕事をこなさないとおいしいパンはできないから。
パン職人は、パン生地との競争をやる。
発酵のスピードとの競争。
ダメな人には『もう辞めたほうがいい』ってはっきりいうよ。
ここを出て、店が潰れちゃった人はいない」

パン屋に向いている人、向いていない人とは、どういうタイプなのか。
「料理をやるかやらないかは大きいんじゃないかな。
まったく無頓着な人っているじゃん。
自分で作らないで、『ビール!』『ごはん!』って、奥さんにいってるだけの人。
パン屋の仕事って、奥さんの側に自分の生活感をもっていかないといけないですから。
なんでも自分でやって、なんでもさくさく用意する人でないと」

「マンツーマンだから、できてないことをポイントポイント教えられる。
学校ではいろんなことを教わるので、その中から自分で選ばなきゃならない。
ここではその人自身に教えられる。
生地の見方、丸めの仕方…。
パンを作るのは手の仕事だから、手から教えなきゃならない。
レシピ通りにやるとしても、作るのは手だから。
手が動かないとしたらどうにもならない。
数字だったら机上で計算すればいいけど、パン作りは、手先のことがいちばん大事になる。
丸めの仕方でも、こうなると、こういう上がりになるって、はじめての人はわからない。
毎日繰り返すうちに、体が覚えこむ」

足立さんはとても明るく、やさしい人だった。
厳しく指導するタイプには到底見えない。
「僕は一切怒らない。
『自分でやるんだよ』っていっても、失敗した人は『すいません、ごめんなさい』っていう。
『誰に謝ってる?』って訊くんだけど。
失敗の原因にさかのぼって、自分で直せるようになればいい。
やり方がわかればいいだけ。
でも、失敗を繰り返すと、心にずしんとくる。
謝ったら済むわけではないから。
『あなたがやってることなんだから考えましょう』っていうんだけど。
けっこうきついよ。
裏口から出てって泣いてる人がいた。
自分が情けないんだろうね」

潰れない店とは、どんなパンを売る店なのか。
「同じ町に2軒の店があるとするでしょ。
1軒はハード系のパンを売る店、もう1軒は甘いパン、やわらかいパンを売る店。
本格的なフランスパンはおいしいけど、毎日は買えない。
『あそこのパン、噛めない』ってなって、年配の人とか、甘いパンの店に流れてくる。
そういう店がうまくお客さんをとれる。
ちっちゃい子供が100円握って買いにこれるような店」

ピグロのことを「何の変哲もない店」だと思ったのは、当然だった。
変哲があってはならない。
ピグロで出すパンは、研修を終えた人がそのまま自分の店で出すパンだ。
その人の生活を必ず支えなくてはならない。
だから、あえて普通に作られる。
誰もがおいしいと思える味に。

食パン(230円)。
ふんわりして、やわらかで、しっとり、そしてさっくり、軽い。
ちょっとした引きともちもち感。
心地よい食パンを表す形容詞がすべてくっつく。
個性的であるより、すべての中庸をいき、すべてのバランスを取っている。
だから毎日飽きずに食べられるはずだ。
ほんのわずかな塩気と、やがて気持ちのいい甘さが広がる。

食パンの甘さの不思議な心地よさが印象に残った。
生理的にしっくりくる甘さ。
「できるだけ、できるだけ、むずかしいパンにしないようにしています。
僕は脱脂粉乳が嫌い。
コンデンスミルクの甘さにこだわっている。
どっかちがう甘さと味が出て、なんかわからないけど、ほっとするような感じがする。
糖分は砂糖ではなく、甘さがすっきりしたグラニュー糖を使う。
コンデンスミルクを使うのは、お客さんをつかむためのひとつの方法。
この甘さなんだろうと思うんだけど、インパクトがある。
これにはまった人は他の店にいかなくなる」

くるみの田舎パン(100円)。
生地を成形せずに焼いた、単にそれだけの正直なパン。
むちっとした噛みごたえと同時に、自然なやわらかさがある。
ほんのりした小麦の甘さの広がり方がやさしい。
くるみの香ばしさが、全体の印象をさらにあたたかいものにしていく。
子供からお年寄りまでみんなに好かれるパンだと思う。
給食に出てもいいし、シチューやハンバーグといった洋食のディナーに添えられてもいいじ、ひじきのような和食にも合うだろう。

「上食パンの生地を使って、発酵をとらないで焼いたパン。
昔はフランスパンとか、げんこつパンとか呼ばれた。
製粉会社の人に教わったパン。
製粉機械のダイヤルを調整する職人さんが粉をテストするときこんなパンを焼いた。
粉を挽いてすぐ水に漬けて焼く。
それを食べると粉の挽き方とか味とかわかる」

ピグロで出すパンは、足立さんの考える、もっとも堅実に売れるパンである。
一言でいえば、どれも食べやすく、どれもあたたかい。
いつかどこかで食べたような味わい。
それが、どんな町でも、どんな人にも必要とされるパンなのだ(池田浩明)。

パネテリア ピグロ
東急東横線 白楽駅
045-413-1412
7:00〜18:00(土曜は〜17:00)
日曜祝日休み

#100


にほんブログ村 グルメブログ パン(グルメ)へ panlaboをフォローしましょう
(応援ありがとうございます)


JUGEMテーマ:美味しいパン

#100
200(東急東横線) comments(2) -
オリミネベーカーズ(築地)
99軒目(東京の200軒を巡る冒険)

築地のパン屋。
その期待に違わない品揃えと雰囲気がある。
新鮮な魚を使ったサンドイッチなど、意欲的なメニュー。
調理場にある楽しそうな活気。
クラシカルな趣き。
築地市場と似通た空気が満ちているのだった。

2011年3月にオープンしたばかりの、この新しい店はシェフを置かない。
田中真一チーフはいう。
「スタッフみんなでアイデアを出し合い、自分たちの食べたいと思うパンを作っています。
シニフィアン・シニフィエにいた堀田さん(開発専門の外部スタッフ)は、志賀勝栄シェフの流れを汲んだ、高加水、イーストの添加量少ないレシピを提供してくださっています。
僕は、調理系が得意で。
以前、築地場内のまぐろ屋で働いて、そのあとは寿司屋にいたこともあります。
そのあとパン職人になり、務めていたパン屋に、たまたま折峰の社員が研修にきて、それから折峰でパン屋を開くことになり、僕が、いわば引き抜かれることになりました」

折峰とは築地場外にある包装材料の専門店である。
築地では誰もが上下関係や店と店を隔てる壁などないように、大声で言葉を交わしあい、ネットワークが生まれる。
誰もがアイデアを出す水平統合的つながりも、サンドイッチのために良質な魚を毎日仕入れることができるのも、築地ならではの強み。
加えて、鮮魚の調理とパン作り両方の経験を持つ田中さんが参加するとはなんという偶然だろう。

さばサンド(480円)。
ソテーしたサバの鮮やかな味わいの広がり。
フレッシュなタマネギのしゃきしゃき感やレモンのさっぱりした酸味との間で、快いバランスを生み出す。
「旅好きのスタッフがアイデアを出しました。
トルコに行ったときサバをフランスパンにはさんで屋台で売っていた」
具材をソフトにくるみ、盛り上げているのは、国産小麦を使ったリュスティック。
中身は見た目にも透き通り、食感はぷるんとして、みずみずしい。
小麦の甘さは白く、透明であり、かつ小麦と酵母の香ばしい味わいも充実している。
たくさん加えられた水分と、焦がさない巧みな焼き加減が寄与しているのだろう。

田中シェフは自分の作るパンがどういうものなのか、このように表現する。
「添加物を使わず、素材の味を活かしたシンプルなパン。
時間に追われず、あくせくせず、手を抜かず丁寧に作る。
時間を使って作るとパンはおいしくなる。
自分の納得したパンを作れているのが、仕事のモチベーションになっています」

ジェラートサンド(390円)。
夏にこれを食べておいしくないはずがない。
ジェラートの冷たさ、みずみずしさに圧倒される。
素材の濃さとすっきりした清涼感が共存して、ジェラート単独でも秀逸。
ピーチはむせぶほど桃風味が濃厚、バジルはさわやかな風が吹き抜けるようで、暑さを忘れさせる。
クオリティの高いブリオッシュは、したたるミルクを受け止め、滲みこませ、パン自体のおいしさに変えていく。
タマゴとミルクの風味が充実して、しかも落ち着いた味わいがあり、食感はねっちりと心地よい。

「ジェラートはフランスから最近輸入されるようになったばかりの、あまり知られていないもの。
フルーツのペーストが60〜70%占めているので濃厚です。
ブリオッシュはタマゴ臭を抜くために一晩熟成させます。
口溶けよく、引きがでないような、ミキシングをこころがけています」

ピーナッツ(180円)。
なつかしいピーナッツコッペと思わせて、実はべーグルという心憎さ。
ピーナッツから挽き潰して作られた自家製のピーナッツバターは、唾液を吸い取るようなアメリカンなもので、甘さを抑えて、酸味さえ感じられるほど素材を感じさせ、コクが前面に出ている。
皮に香ばしさと噛みごたえがあって、中身はむちむちしすぎず、歯がやわらかくめりこんでいく感触が楽しい。
皮の香ばしさ、中身の甘すぎない小麦の味わいが、ピーナッツと最高の相性。

この店のパンに総じていえること。
クラシカルかと思えば新しく、斬新かと思えば基本が押さえられて、クオリティが高い。
食パンのような基本の食事パンも秀で、デニッシュのようなパンも特別なアイデアが盛られ、パティシエ的な完成で作られている。
たったひとりのシェフがすべてを創造するのではない、チームプレーがオールマイティを可能にしている。(池田浩明)

東京メトロ日比谷線 築地駅
03-6228-4555
7:00〜19:00
日曜祝日休み

#099

にほんブログ村 グルメブログ パン(グルメ)へ panlaboをフォローしましょう
(応援ありがとうございます)


JUGEMテーマ:美味しいパン

#099
200(東京メトロ日比谷線) comments(0) trackbacks(0)
散歩のとちゅう何か食べたくなって
池袋から江戸川橋方面へ歩く。

寄り道をしながらだらだら歩いていたら小腹が空いて、
ああ、ベーカリーパンプキンは通り過ぎたし赤丸ベーカリーはもう少し戻らないといけないし
関口フランスパンまではまだある、どうしようかな我慢できるかなできないよね、うんうん、
意外とコンビニなんかも無いし休日だからかお店が閉まっているし、ああ。

と木陰で暑さをしのぎつつ思考回路を自主停止しかけたとき、わたくしは見つけた。















ママタルトという名のお店を。





全てのパンが顔を動かさずに把握できるような大きさのお店だった。
ガラスケースにはタルトやケーキがたくさん並んでいる。
こんなお店あったっけ? と不思議な気持ちになりながらメロンパンとチョコのパンを1つずつ買い
お店のひとに訊いてみた。


≪わかったこと≫
・パンは今年の初夏に始めた
・以前はタルトやケーキのみの喫茶店だった
・今はパンが主力


1枚目がメロンパン
小さくて、中の生地がしっとりしているタイプ。上の感じが目新しくてつい。

2枚目がチョコパン
マカダミアナッツがボコボコといくつも入っていて食べ応えのある。


夏にパンを食べるということは夏にぬいぐるみを抱きしめるようなもの by かしわで
というのは良いたとえでお気に入り。
夏はパンを喉あたりでモコモコさせながら飲み込むことになるということですネ。
でも食べてみると"モコモコ"は想像上の感触で、実際はズイズイと溶けていく。
江戸川橋に着くころには、すっかり平らげて「夕食は遅くていいかナー」なんて気持ちになった。


ママタルト 目白台店
住所:東京都文京区目白台1-24-7
TEL 03-3947-4463
営業時間 10:00〜19:00(月休、祝日の場合営業し翌日休み)
ブログ http://kategraphix.blogspot.com/ 

【D】



にほんブログ村 グルメブログ パン(グルメ)へ panlaboをフォローしましょう
(829…)

パンラボ comments(0) trackbacks(0)
ワルン・ロティ(洗足)
98軒目(東京の200軒を巡る冒険)

原点を持つ人の強さ。
情熱の流れてくる源を迷いなく見つめているからだと思う。
パンは小麦から作られる。
しかし、畑に実る黄金色の小麦を原点にするパン職人は、実はあまり多くない。

ワルンロティの店主、大和田聡子さんの父は、小麦の研究者として、岩手県の農業試験場に勤務していた。
父が開発者として名を連ねる小麦にこゆきという品種がある。
南部小麦のふるさとである岩手県に、パン用の小麦を実らせようという情熱から生まれた。

「手に入ったとき、それを自分で焼くようになるとは思っていませんでした」
と、大和田さんはいう。
父の作ったこゆきは一体どんな味がするのか。
小麦粉はあっても、それをパンにする人がいなかった。
「16年前、国産小麦を焼いてる人はいませんでした。
ルヴァン、スピカ、ノヴァぐらい。
国産小麦と天然酵母ではやわらかいパンを焼けないとみんな思っていました。
それで自分で天然酵母で焼いてみたら、評判がよくて」
当時、ワインの勉強をしていた縁から、ワインの勉強会や、ワインバーなどから引き合いがあって、パン屋を開業するきっかけになった。

国内産小麦の持つ味わいをどれだけ伝えられるかを、明確にテーマとして掲げる。
「外麦だとつまらないかなと思います。
さらっとして味気なく感じてしまう。
内麦のほうが味があります。
外麦の好きな人からいえば、野暮ったく感じてしまうのかもしれませんが。
小麦の味わいのちがいを、ぜひ知ってほしい。
パンは奥深い。
作り手によっても、小麦の品種によっても、味はちがう」

「このパンを食べてみてください」
と食パンの一片を私にすすめた。

こゆき食パン(450円)。
こゆき100%、塩、水、自家製酵母だけで作られる。
「甘いでしょ」
砂糖や乳製品が入っていないのが不思議なぐらい甘かった。
その甘さすべてが小麦の持つ力だった。
ひとつひとつの気泡は噛むとぷりぷりと反応し、溶けるほどに豆乳に似た甘さを発揮しはじめる。
おとなしく、おだやかだった甘さは、だんだん強まり、いつのまにか驚くほどの広がりを持つ。
耳の香ばしさは静かで、さわやか。
中身の甘さを邪魔することなく、両者が入り混じることで、さらに味わい深くなっていく。
この食パンに小麦と塩以外になにも加えないこと、焼きこまず白っぽい焼き色にとどめていること。
それらの配慮は小麦の純粋な甘さに捧げられている。

こゆき小麦の甘さの魅力。
ワインアドバイザー資格を持つ大和田さんは、それをパンで語ることができるし、言葉でも語ることができる。
「バターのフレーバー、乳酸発酵の香ばしさ。
乳製品が入っていないのに出てくる、小麦自体の味。
噛んでるうちにじゅわじゅわとでてくる。
そうなるように心がけています。
うまくいくときと、いかないときがあります。
大きいお店にあるような、ホイロとかドゥーコンディショナーとか使わず、常温でやってるから。
温度と戦うしかない。
ミキサーもないので、数字ではかれない。
その日その日で生地の状態が変わってくるので、(生地に使う水の)水温を下げたり、発酵時間を長くしたり。
でも、私はそれをおもしろがっていて。
パンを作っているという感じがある」

数年前、唯一取り扱いのあった製粉会社でも、商品のラインナップからこゆきが消えた。
岩手県で作られる他の品種、南部小麦のようにポピュラーではなかったし、「外麦に近い」というユキチカラ(これも大和田さんの父のいた研究室から生まれてきた)ほどタンパク量が多くなく、パンにしにくい。
独特の甘さを持つこゆきを途絶えさせたくなかった大和田さんは自ら行動した。
こゆきを作ってくれる農家を探し、その農家のために農水省や県に掛け合って補助金がおりるよう計らい、小ロッドでも製粉してくれる製粉所を探し、小麦を輸送し、製粉した小麦粉を低温倉庫で管理している。

復活したこゆきは土地に根づきはじめている。
岩手県平泉にある姉妹店、きんいろぱん屋は、平泉町が施設を作り、農家が共同経営し、大和田さんがレシピをアドバイスし、大和田さんの友人がパンを作っている。
こゆきを使った「きんいろあんぱん」は、世界遺産登録という追い風もあって、町の名物になりつつある。

外麦のおいしさがあり、内麦のおいしさがある。
あるいは、小麦の質など特に問わなくてもパンは食べることができる。
だが、私たちがなにをおいしいと思うか、その選択は地域の未来を変えることすらある。
ある場所に生まれ育った作物の味を知り、それを支持することで、お金の流れと気持ちの流れが流れこみ、地域は活性化する。
すべては小麦に憑かれた大和田さんの情熱によってはじまり、こゆきの独特の甘みは失われることなく残され、岩手の大地にこゆきは実りつづける。

しぇりー・れーずん(300円)。
ラムではなくシェリー酒に漬けられた2種類のレーズン。
レーズン、シェリー、レーズンから起こした自家製酵母…すべてブドウの産物。
「ブドウ同士なので合うと思いました」
とワインアドバイザーらしい発想から生まれたパン。
シェリーのきりりとしたさわやかな甘さによって、レーズンがよりいっそうパン生地の持つ発酵の香りと馴染みあい、自然な調和を見せている。
一口噛むごとに、たっぷりのレーズンが潰れ、アルコール分とブドウの果汁がほとばしっては、生地に滲み、こゆきの味わいを甘く、深く、強く押し広げていく。
食パンとは一転して、強い皮の深い香ばしさも、シェリーの香りと通じあっている。

岩手のずんだあん(250円)。
ブリオッシュ生地のしっとり感、ぷりっとした噛みごたえが秀逸で、しかも皮の香ばしさによって気品をも加えている。
岩手県の一関から取り寄せられたずんだあんは、豆の野性味が躍りまわって、制御不能なほど。
ブリオッシュの卵とバターの濃厚さと争いあう。
やがて、両者はより純粋な甘さへと昇華して、喉のあたりでひとつに合流するとき、愉悦が訪れる。

大和田聡子さんがコユキを使ってパンを焼いてきた歩みは、『ソロモン流』(テレビ東京系)で紹介され、大和田さん自身が2冊の本でも著している。
『麦畑からお届けするパン屋です』(自然食通信社)
『ないないづくしの起業術』 (中公新書ラクレ) 
また、パンのテイスティングの方法を確立しようとして意欲的な著書もある。
『ワイン&チーズとテイスティング術 おいしいパンのみつけかた』(技術評論社)

(池田浩明)

東急目黒線 洗足駅
03-5704-2105
10:00〜18:00(売切れ閉店)
月〜木休み

#098


にほんブログ村 グルメブログ パン(グルメ)へ panlaboをフォローしましょう
(応援ありがとうございます)


JUGEMテーマ:美味しいパン

#098
200(東急目黒線) comments(0) trackbacks(0)
ティグレ(学芸大学)
97軒目(東京の200軒を巡る冒険)

うつくしいパンを焼く店は食べてもおいしい。
高い技術と繊細な気遣いがともに備わった職人が焼くからこそ、パンはうつくしく、おいしくなる。

華やかである。
ティグレに並んでいるパンは、たとえ焦げ茶色一色のシンプルなハード系でさえ、そのような印象を受ける。
繊細なクープはまるでカンパーニュをバラのツタが這い上がっていくかのようだ。
華やかな印象は望月哲二シェフの美的な感性によるとともに、斬新なアイデアのきらめきでもある。

「人と同じことしたくないですから。
新しさを前面に出したい。
人が作ったものを見て『おーっ』と思ったものは、原型がないぐらいにしないとおもしろくない」

味覚に揺さぶりをかける新しい味わい。
その多くは、誰も想像しなかったような、甘さと酸味のカップリングから生まれている。

例えば、梅しそ巻き(180円)。
バゲット生地の中にはちみつ漬けの南高梅と紫蘇の葉。
梅干しの酸味のとがった部分をはちみつの甘さがおだやかに包み込み、同時に梅干しの酸味はまた、はちみつの甘さをなんともまろやかにしている。
この甘さは小麦の甘さと響きあう。
「ごはんに合うものは、パンにも合うのではないか。
白飯も、シンプルなパンも、和のものが合ったりする。
梅干しの中では、はちみつ漬けがいちばんパンには合います」
そこへチーズのクリーミーな甘さも重なって、さらに不思議な官能へと連れ去られる。
シーソーが揺れるように、酸味と甘さは一瞬ごとに味の重心へとめまぐるしく入れ替わり、揺れ動くので、いままで体験したことのないような微妙な味わいだと感じられる。

単にアイデアとして秀逸なだけではない。
甘さと酸味の巧みな配置、そして繊細なバランスがなくては、この官能は生まれえない。
「1口目で口に入ってくるもの、2口目で入ってくるものと、後口」
とシェフは計算し、フィリングの配置を決定する。
あるいは、
「バランスは手探りです。
計量して作るわけではない。
手探りで自分で入れてます。
ここだけは人にまかせるわけにはいかない」

優れた作り手であっても、フィリングを練り込んだパンにおいて、狙いが的確に反映されうるのは、2種類、3種類までのように感じられていた。
ティグレではそうではない。
パン+5種類の具材が、きちんとマリアージュするよう構成され、ポリフォニーを響かせるのを聴くことができる。

マンゴー(1g/2.3円)。
はちみつとマッシュポテトを練り込んだ生地。
そして、ドライマンゴーとピスタチオ、チョコチップ。
デビッド・ホックニーの抽象絵画のようなうつくしさを持つ断面。
味わえば味わうほど、このパンは快く、また難解である。
ドライフルーツやチョコの甘さと酸味が溶けだして、カンパーニュのような重たい自家製酵母生地をブリオッシュと錯覚する。
この甘さは直接的ではなく、おだやかにたゆたい、息長く、変化に富んでいる。
単に複雑なだけでなく、具材と具材のどの組み合わせにも、鍵と鍵穴があった瞬間のような、出会うべきものが出会ったときの快感がある。
じゃがいもによる生地のむちむち感と複雑な甘さの共感覚も、斬新さを加速する。

アートコーヒーに勤務しているとき、志賀勝栄シェフに見いだされ、代官山アルトファゴスのオープニングスタッフになった。
その後、志賀シェフがペルティエに移ったあとは、アルトファゴスのシェフを務めた。
2007年より独立し、ティグレをオープン。

ときどき志賀シェフもティグレを訪れ、アドバイスを送る。
「自分の教えたこと以外にももっと出せるんじゃないか。
いまやってることは延長線じゃないか?」
これだけのクオリティを維持するティグレに、さらなる高みを求める。
その言葉は、志賀シェフが望月さんに期待するものの大きさと、パンの探求に終着点がないことを教えてくれる。

望月シェフがパンに求めるイメージ、それは普通に求められるレベルのはるか上をいく。
クリームパン(180円)は、膜のように薄い皮に、クリームがたっぷり入っている。
「理想の生地とクリームの量がある。
量が多くて、クリームがゆるいと包みにくいんですけど、限界のところでカスタードを炊いています。
コーンスターチと薄力粉の量で調整して、ゆるくてもこぼれないようなクリームを作っています」

クリエーションの起点はイメージだ。
実現不可能なほどのイメージを抱けば抱くほど、誰も食べたことのない新しいおいしさは生まれる。
既存のレシピがイメージに届かないとき、そのギャップを埋めるのは、技術と試行錯誤とブレイクスルーのためのアイデアにほかならない。
ティグレはそうした努力と才能を併せ持った特権的な1軒である。



東急東横線 学芸大学駅
03-3414-5269
9:00〜20:00
火曜・第3水曜休み

#097

にほんブログ村 グルメブログ パン(グルメ)へ panlaboをフォローしましょう
(応援ありがとうございます)


JUGEMテーマ:美味しいパン
#097
200(東急東横線) comments(2) trackbacks(0)
パンの漫画19 『タイミング』







パンの漫画1 『パンと金持ち』
パンの漫画2 『クロワッサン』
パンの漫画3 『朝にパン』
パンの漫画4 『こがす』
パンの漫画5 『ガレット』
パンの漫画6 『罪悪感』
パンの漫画7 『ながら食べ』
パンの漫画8 『買いすぎる』
パンの漫画9 『先祖とフォカッチャ』
パンの漫画10 『VIRONで朝食1』
パンの漫画11 『VIRONで朝食2』
パンの漫画12 『こんがり』
パンの漫画13 『緊張』
パンの漫画14 『花巻』
パンの漫画15 『禁止令』
パンの漫画16 『シベリア』
パンの漫画17 『風紀』
パンの漫画18 『張り込み』



漫画:堀道広



にほんブログ村 グルメブログ パン(グルメ)へ panlaboをフォローしましょう
パンの漫画 comments(0) trackbacks(0)
パンラボ取材を受けるの巻

なんと、パンラボが取材を受けた!! (やっぴーやっぴーやっぴっぴー♪)←浮かれ

"ぱんとたまねぎ"という、
パンにまつわるフリーペーパーや小冊子を作っている林舞さんという方
から依頼があったのです。
次号に向けての取材ということで、はるばる福岡から弊社までお越しくださいました。
普段は取材をお願いする側ですから、
なんとなくそわそわしたような照れくさいような気持ちになりましたね。


林さんは「ぱんとたまねぎ」だけでなく、様々な冊子の編集・デザインを手がけている。
ブログもとても可愛いです。

もともとパンの漫画でお馴染みの堀道広さんのファンということで、
そこからパンラボを知ることになったそうです。
連載ページを読むために、わざわざ以前のパニック7ゴールド誌をAmazonで購入してくださった
と聞いて胸が熱くなりました。
(パニック7シリーズって書店ではなかなか見当たらないですからね…)


パンラボがパチスロ攻略漫画誌に連載されている理由、
パンラボする人びとはどのように集められたのか、
パンラボとは何か、などブログをはじめ今まで語られてこなかった部分を問われたので、
この3年の出来事を様々に思い出しました。

そのほかに好きなパンの種類や粉の話、いちおしのパンなどなど
自分も知らなかった『東京ピクニッケ』時代のことまで遡って池田さんの話も聞くことができて
とても面白かった!
詳細は次号「ぱんとたまねぎ」(今秋発酵予定)に掲載されると思いますので、
また追ってお知らせしますネ。
※↑発行ではなく発酵なのです

関西を中心に、全国で入手できるようですのでどうかお楽しみに…。


最後に写真撮影。

いろいろなポーズをする池田さん。
手にはパニック7ゴールド誌。


いろいろな角度から撮影をする林さん。


福岡のお土産までいただいてしまった…!
(ありがとうございました!!)


博多通りもん
ねっとりした白あんがオイシス。


林さんの胸元にはたまねぎのブローチがありました。

"ぱんとたまねぎ"とはスペインのことわざに由来する。
調べたら「お前とならばパンとたまねぎだけの貧乏暮らしでかまわない」という意味。
なんてすてきな名前なんだろう。

【D】



にほんブログ村 グルメブログ パン(グルメ)へ panlaboをフォローしましょう
(こんな日がこようとは!)

お知らせ comments(4) trackbacks(0)
ブーランジュリー コシュカ(等々力)
96軒目(東京の200軒を巡る冒険)

地元に馴染んだ小さなブーランジュリー。
パンひとつひとつもどこにでもある普通のものに見えながら、どこかうつくしいたたずまいをしている。
食べると、レベルの高さに驚く。
普通でありながら、特別である。
普通のパンを突き詰めて、特別なおいしさに達した、とも思われるし、普通さと特別さが矛盾なく接合されている、とも思われる。

チャバタ(270円)。
極めて例外的な、明るい甘さを響かせる。
口に入れた瞬間からすでに甘いのに、噛むごとに果てしなく甘くなっていく。
低温長時間発酵、そしてオリーブオイルが気づくか気づかないか程度、少しだけ含まれていることがこの甘さを実現している。
リュスティックをほうふつとさせる、しっとりとした、ぷるぷるの生地。
そしてリュスティック同様に、焼き切らない小麦の生(き)の味わいがある。

長時間発酵の甘さと、小麦の生々しい味わいの両方がいっぺんに味わえるパンには出会ったことがなかったし、それが可能だとも思わなかった。
「セモリナ粉を使っているから」だと秋元英樹シェフはいう。
チャバタとしては特別なリュスティックのようなぷるぷる感は、長時間発酵の副産物だというが、
「もっちりしすぎると、食事と合わせたときスープを吸わないし、食べたとき重い」
と、シェフは納得していない。
おいしいというだけでは十分ではないというように。
普通の生活と馴染ませてこそ、自分の作るパンは役割を果たすと考えているのだろう。

志賀勝栄シェフの片腕として、アルトファゴスからペルティエへと付き従った。
低温長時間発酵の発見という伝説も間近で見た。
師のことを、親しみをこめて「志賀ちゃん」と呼ぶ。
近寄りがたいイメージを払拭しようと、あえて気さくな人物として描き出すのだった。

「ぶっとんだことはします。
こうやっちゃいけないという常識をぜんぶ取っ払って。
自分がいいと思ったらいいし、枠は作らない。
普通の人が見たら『ばっかじゃねーの』というぐらい、イーストをとんでもなく減らすことをおっぱじめた。
以前から長時間発酵はありましたが、それ以上に長時間にした。
思いつきもすごいけど、ベースの技術があるからできる。
今のパンしか知らない人は、そんなパン(長時間発酵)しかできないけど、志賀さんは普通のパンもできる」

志賀勝栄流の低温長時間のパンをそろえるが、すべてではない。
「低温でやると味は濃くなるが、ボリュームもダウンして、値段も高くなる。
志賀さんは自分のやりたいパンをやっている人で、それでいいと思いますけど、僕らのようなちっちゃい店は、町に根づいてやっていきたい。
ハード系もあるし、チョココロネもあるし、というような店を」

クリームパン(140円)。
豊潤であり、かつ、すっきりとしたクリーム。
甘すぎず、舌に残らない。
バニラの香りが香水のようにうるわしく感じられるのはなぜなのか。
パンの発酵の香りと、二重映しになっているからだった。
ふるふると震えるほどふわふわなパン生地は、食感においてもクリームと響きあう。
パンとクリームという1+1が3にも4にもなっている。
食べるたびにしみじみおいしいと思う。

ハード系からチョココロネ、クリームパンのような普通のパンまで高いレベルでカバーする店といって真っ先に思いつくのは、ベッカライ・ブロートハイム。
秋元さんのもうひとりの師は、ブロートハイムの明石克彦シェフだ。
「ブロートハイムは、あの場所でもう20年以上やってる。
町に根づいたパン屋がいちばんだと明石さん見て思った。
明石さんにはたくさん教えてもらった。
小僧の頃からお世話になってます」

どこにもないようなおいしいパンを作る志賀勝栄と、どこにでもありそうなおいしいパンを作る明石克彦。
コシュカは、両者のいいところがあわさってできている。

明石シェフに秋元さんがいわれたのは次のようなことだった。
「地道にやれ。
みんなはじめからすごい店じゃなかった。
1人2人からはじめて、大きくしていった。
若いときからそんなに求めないほうがいい。
勉強しながらよくしていけばいいんだから」

明石シェフは盛んに講習会を開き、あらゆるパン屋がレシピを参考にする。
にもかかわらず、ブロートハイムに行かなければあの味は決して食べられないのは、どうしてなのだろう。
「教えてもらっても、明石さんのパンはできない。
ブロートハイムのロデヴが好きなんですが、明石さんが作ると、明石さんのロデヴになる。
配合には差がないのに、なんか明石さんのパン。
香りだったりとか。
(完成に)持っていく段階で、明石さんの考えが入っているんでしょうね。
リスドオルも、ロッドによって(品質に)アップダウンがある。
それでも持っていきたい方向に持っていける。
講習会をいっしょにやらせてもらってるんですが、どこの粉を使っても、明石さんの味になる」

秋元さんが明石シェフにいつもいわれる言葉がある。
「普通のものを普通に作る。それがむずかしいことだよ」

「それができるようになりたい。
(具体的にはどういう意味か?)言葉でいい表せない。
なんか重いような、軽いような。
明石さんが毎日そう思って作っている。
特別なものにする必要は、俺もないと思う。
志賀さんのは特別なものになっちゃってますから」

「普通のものを普通に作る」という言葉は謎めいていた。
しかし、秋元さんが、つづいて語りだしたことは、その意味をほんの少し照らしだすようだった。

「震災のとき、うちもそうだけど、パン屋さんには、すごくたくさんお客さんきてくれた。
そうなったとき、俺ら、なにかしらできる。
パン屋さんが根づいているからだと思う」

さまざまなパンをさまざまな製法で焼き分ける技術を持ちながら、秋元シェフはいう。
「自分のパンは作れるようになりたい。
すごいっていわれてる人たちはすごい。
どうしても追っかけてる感じがある。
自分はまだ固まっていない。
自分はこうだ、というのできていない」
だが、思う。
志賀勝栄と明石克彦という2人の偉大なパン職人からたくさんのものを吸収し、なお普通であろうとすることは、極めて非凡ではないかと。

カンパーニュのパストラミビーフサンド(280円)。
ビーフジャーキーのような濃い肉の風味を立ち上らせるパストラミビーフ。
さわやかにアクセントをきかせるオニオンマリネ、トマトのジューシーな酸味、マヨネーズとの組み合わせが至福。
それらを包み込むのは、染み入るように味わい深い酸味とうまみが印象的なカンパーニュ。
濃いだけではなく、癖がなく、すっきりとした部分もあって、それが肉の味わいをうまく引き出す。
食事パンを作るときいつも料理との相性に配慮している秋元シェフの考えが、このサンドイッチを食べてわかった。

ブーランジュリー コシュカ (Koshuka)
東急大井町線 等々力駅
03-3703-5771
10:00〜19:00
日曜休み

#096

にほんブログ村 グルメブログ パン(グルメ)へ panlaboをフォローしましょう
(応援ありがとうございます)


JUGEMテーマ:美味しいパン

#096
200(東急大井町線) comments(0) trackbacks(0)
シナモンロール探訪6
FACTORYのコーヒーシナモンロール


シナモンとコーヒークリームが合わさったコーヒーシナモンロールを発見!
昨日のかしわでさんの日記を読んだあとだったので、驚いた。
あくまでも偶然。セレンディピティ。(違)


 パンが溶けてしまったのだった。

あまりの暑さで、上部を美しくコーティングしていた淡い茶色のクリームがトロトロと溶けた。
ちぎって、クリームを付けながら食べる。
コーヒーの香ばしい匂いをさせながら、舌にはシナモンの味。

初めて訪れたのは昨秋なので、ちょうど一年
リュスティックの衝撃が強すぎて、
それを留めておきたいがために訪れる機会を作らないようにしていた感があったけれど
カフェスペースでの朝食もたのしいという話を聞くのでまた行ってみようかな。

にほんブログ村 グルメブログ パン(グルメ)へ panlaboをフォローしましょう
(パンが溶けた日)
パンラボ comments(4) trackbacks(0)
シナモンパンを追う。
 



小滝橋にある食パンCAFEについに立ち寄った。

ついに!(写真はコイデェーのを拝借。シシシ…)

馬場から早稲田通りを15分ほど早めに歩くと、そこに食パンCafeなる活かしたキャフェがあることは
コイデェーの日記で読んで知っていた。

実際、店の前を何度も何度も通りすぎていたので、いつかは自分も、そう思っていたけど、
自分の生活帯とCafeの生活帯がどうも合わず、
今日(先週土曜日)まで縁がなかった。



ボイーーーーン!

食そと


シナモン食パン。


食パンとフォカッチャ食パンとシナモン食パンの3種類があって、
迷わずシナモン食パンを購乳。ボイーン。

写真撮影失敗! ふた山の食パンを買ったのでそれを伝えたかったのに肝心のふた山感が伝わらない! だから字でボインボイン!



しょくなか


シナモンの香りとシナモンの舌触りとシナモンの湿りがいい塩梅にバランスされていて、
食べていて後をひく。

香る部分があれば、ザラっと味わえる部分があって、それを追うように食べるんだけど、
ときどきシナモンの湿り気が凝縮された部分にあたって、それがヤバイ。

もちろん湿った部分を追いかけて、追いかけて、
気がつけばふた山消失。ボインボイン。

追わせるなぁ〜。追わせるパンぜよ。


シナモン系は無条件に「あたためたい」自分だけど、
店員いわく「焼いても焼かなくてもおいしいです。焼く場合は焦げないように注意してくだされ。ちなみにあたくしは常温派どすえ」などというものだから、

じゃあってんで、半分常温で、半分あたためようと決意し、
自転車に乗りながらパク! パク! と追いかけていたら、
お察しのとおり、自転車を降りるときにはぜ〜んぶ消失。ボイ〜〜〜ン。



さすがにふた山食べるとお腹いっぱい。

写真は、こんなこともあろうかと2本買っておいた、もう一本で。


土曜日に編集部に行っても誰もいないと思いきや、
喫煙室に5Fの食いしん坊と3Fの食いしん坊がいたから、

「シナモン食パン食べるぅ〜?」つって、
「ちょっと追わせちゃうよぉ〜」なんつって、
おすそ分け。
好評でございました。


高田馬場駅から競歩で15分くらい。
サイトはただいま工事中のようです。



そういえば二日前にコイデェーがシナモンロールについてアップしてたけど、
ぜんぶ偶然どすえ。



写真は久しぶりにスーパーでジャケ買いしてしまった牛乳パン・コーヒー(フジパン)。

こーぱけ


こちらは乳が3山。

こーそと


中に牛乳コーヒークリームがサンドされている。

味はライオネス・コーヒー・キャンディー!(みたいな味)(ちょっと苦味とちょっと酸味のある、だけど甘い味)

こーなか


ライオネス・コーヒー・キャンディーは坊ちゃん、お嬢ちゃんには伝わりにくいかもしれないけど、
コーヒーキャンディーの老舗、王様で、昔はしょっちゅうCMが流れてたんだよね。






かしわで
パン・トリップ comments(3) trackbacks(0)
| 1/4 | >>