パンの研究所「パンラボ」。
painlabo.com
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
ZZC Bakery(ズーズーシー ベーカリー)開店のお知らせ
9月30日(日曜)、1日限りのパン屋を開店する。
場所は、代々木上原のカタネベーカリー。
売るものは、名だたるパン屋さんたちに、真心で作っていただいたパン。
ただで店を借り、ただでパンをもらってくる。
パンを作れない私たちが、ずうずうしく開くパン屋がZZC Bakery。

開店の経緯はこうだ。
春、私たちが陸前高田を訪ねたとき、米崎小学校仮設住宅の自治会長、佐藤一男さんに言われた言葉がずっと耳に残っている。
「もう1品のぜいたくがほしい。
食い物がうまいという感覚をほとんど忘れている」

「家を建て、仮設住宅を出て、引っ越ししなくちゃならない。
そのために、倹約に倹約を重ね、やっぱり食費を抑える。
米はいやでも買って食いますが、それ以外、食卓にのぼらなくなった。
果物や、魚、肉は食うことがなくなった。
保健所の調査でも、被災者のビタミンバランスが崩れているという結果が出ました。
食べなきゃいけないものを、食べていない」

地震から1年半。
道のりは遠いかもしれないが、東北は確実に復興への歩みをはじめている。
では、津波の被害に遭った人たちのことを忘れ去っていいのだろうか?
新しい関係を築きたい。
単に援助を与える−与えられるという関係を超えたい。
少しでも復興の役に立ちたい。
そのためにパンがきっと力になるはずだと、私たちは信じる。

そこでバーベキューを思い立った。
バーベキューの火でパンを焼き、おかずといっしょに食べていただく。
おいしいという感覚を思いだしてもらえたら。
みんなで野菜を切り、生地を成形し、米崎町特産の「希望のりんご」でお菓子を作る。
コミュニケーションの機会が生まれ、笑顔が生まれ、元気になってもらえたら。
野菜とりんごは現地で調達することで、わずかながらでも地元経済を潤すことができるかもしれない。
食材の他、コンロ・炭などを買うための費用を捻出するための活動が、ZZC Bakeryである。

バーベキューの会場では、パンを作っていただいたパン屋さんの名、そして名前はわからないけれど、来ていただいたたくさんのお客さんの思いをお伝えするつもりだ。
誰もが東北のことをまだ忘れていないと。

さて、ZZC Bakeryの内容について。

パンをご提供いただくパン屋さん(五十音順)
ヴィロン
オリミネベーカーズ
カタネベーカリー
グランド ハイアット 東京
シニフィアン・シニフィエ
Zopf(ツォップ)
テコナ ベーグルワークス
トラスパレンテ
ブレッド&タパス沢村
ブーランジェリー プー・ヴー
メゾン・イチ
みんなのぱんや
ユヌクレ
ル・プチメック東京
ル・ルソール
ルヴァン
ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション

小麦粉提供: 日本製粉株式会社
包材協力: つきじ折峰
ハンコ作成: はんこ黒猫屋 http://ameblo.jp/hanco-kuronekoya/

テーマは、プレイグラウンド=パンの遊園地。
「ジェットコースター」「観覧車」「メリーゴーランド」という3種類の紙袋(パン7個入り・2000円)を各30個販売。
袋の中には、上記パン屋さんが作った、パン・焼き菓子が入っている。その多くは、この日限り。
ジェットコースターは、どきどきびっくり。
メリーゴーランドは、ロマンティック。
観覧車は、上空から景色を眺めるような、ゆったり気分。
どのパン屋さんがどんなパンを作るかは当日までのお楽しみ。

日時:9月30日(日)15時より販売(14時より整理券配布)
場所:カタネベーカリー(渋谷区西原1−7−5、小田急線代々木上原駅下車)

お願い
当日は、たくさんの方が一度にご来店いただくことが予想されます。
カタネベーカリーは住宅地の中に位置しております。
近隣の方のご迷惑にならないよう、14時以前にはいらっしゃらないようお願いいたします。
また、なるべく多くの方にお買い上げいただけるよう、おひとりさま1セット限りとさせていただきます。
売り切れの場合はご容赦ください。
パンのセット内容は後日改めてお知らせいたします。
当日はできるだけおつりが出ないようご協力をお願いいたします。(1セットの価格¥2000)

みなさんのご支援なくしては成り立たない活動です。
どうかご理解をよろしくお願いいたします。

主催 池田浩明(パンラボ主宰)
こんがりパンだパンクラブ

*当日の状況はパンクラブのTwitterでお知らせします。

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食べる本屋 レポート
入ってすぐのフードブースの一角にパンラボも出展した。


いっぱい写真あるね(↑)。

撮る余裕が無くてごめん。

芸術関係の大学のキャンパスが会場だったこともあってか
アーティ中のアーティ みたいな人びとがたくさん詰めかけていて
ファッションを眺めているだけでも楽しい催しだった。


IMG_6110.JPG土曜日は晴れたので、長机3つ分のスペースにパンや本を広げて販売。

好きな本と好きなパンの組み合わせは
「へえ! おもしろーい(棒読み)」
「ハハハ」
「なるほどね〜」
「パンだけ買えないんですか?」
「本屋さんなんですか?」
「この本(=パンラボ)見たことあるー笑」
「パンラボ持ってますよ!」
「パン屋さんなんですか?」
「キーホルダー受けるーw」
「えー本は要らないなー」
「パンって…いいですよね……」
「キーホルダー買うために来ましたっ!」
「あ! 池田さんじゃーん笑」
「僕はカレーパンが好きなんですよ…」
「パンは好きなんだけど、自分に合うパン屋さんがなかなか見つからなくて…」
「(キャンパスメイトたちと遠くでこっち見ながら爆笑してる…うう…)」
「ブログ超読んでますよー えー かしわでさんとかファンですよー」
など色々な反応がありスーパーほっこり。
商品は買わずにただパンの話をしに来る方が多く、とても面白かったです。

2日目は代々木上原にあるサンカントサンクさんのパンやパンのおともとともに。
ご協力いただきありがとうございました。


IMG_6123.JPGパンラボを知る人も知らない人も色々で、新鮮な出会いが多かった2日間。

お店を覗いてくれた方から教わることも多かったです。
パンフェス帰りの方からパンフェスの様子を聞いたりもした。
1年ほど前に主催した"公開パンラボ"に参加してくださった方や、
大阪・京都などでの催しに来てくださった方、お世話になっている書店の方、などもいた。


IMG_6106.JPGJR信濃町駅から5分くらい歩いた場所が会場。

FBに写真をUPするのお馴染みになってきましたね。
だいたいFacebook→Twitter→Blogの順に更新することが多いので、
最新情報チェックにお役立てください。
ありがとうございました。【D】




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秋めいてきたね

パンラボ comments(2) trackbacks(0)
ラ ブランジュリ カロン(八王子)
158軒目(東京の200軒を巡る冒険)

カロンの厨房の奥には扉がある。
まるで部屋の入口のように見えるそれは巨大な冷凍庫である。
摂氏マイナス5度に保たれた空間で、カロンのパンは熟成を遂げる。

神林慎吾シェフは言う。
「凍るか凍らないかぎりぎりの温度です。
この温度だとまだイーストが動いてくれる。
解凍する時間も短くて済むので、作業効率も悪くならない。
(低温下で追いつめられた)酵母が不凍液(=酵素)を出す。
その中にアミノ酸(うま味の元)も含まれる」

低温長時間発酵はいまやポピュラーな製法であるが、低いとはいえ常温が一般的である。
0℃を越えたマイナス5℃はほとんど試みられていない領域だ。

「すごいことが隠されている。
プラス(常温)だと発酵してしまう。
熟成だけさせるという観点から、この温度がぴたっときた」

発酵と熟成という微生物によって起きるよく似た現象に区別をつける。
発酵は酵母がでんぷんを食べアルコールと二酸化炭素を吐き出す作用である。
これがなければ生地がふくらむことはないが、発酵が進みすぎると小麦のなかの味わいとなる部分まで酵母が食い尽くしてしまう。
一方、熟成は酵母や乳酸菌がアミノ酸などの有機酸を排出する課程をいう。
アミノ酸はうま味の元となる成分で、これが増えれば増えるほど味わいは増す。
常温では熟成を進めようとすると、発酵も同時進行してしまうので、求めるような味わいを作り出すことができない。
低温下では、発酵という酵母の生存活動をいわば「凍結」し、有機酸の生成だけを進めることができる。

「3日間72時間が最高。
バゲットは10時間。
寝かせれば寝かせるほどおいしいものもある。
リッチな生地のほうがうま味がでる。
バゲットのようなリーンなものは長くやるとぶれがち。
ストレート(基本製法)のほうが効率がいいとは思うけど、一度やるとぜんぜん味がちがうので、氷温をかけざるをえなくなる」

「魔法の部屋。
とりあえずかけときゃおいしくなる。
不思議なことがいっぱいある。
ここに入れとくと劣化が遅い。
生地だけではなく、材料も粉も劣化が遅い」

国分寺などに展開する有名店ブーランジェリー キィニョンの創立者。
だが、自ら退いて、人手に渡した。
マイナス5℃の実験室でパン作りに没頭するためだ。

「僕は経営者タイプではない。
人を使って、お金がどうこう。
僕の範疇じゃない。
八王子にいっぱいあるBASEL洋菓子店にパンを卸している。
あとは自分のやりたいことしかやってない。
思いついたら試作。
ここは自分の自由なことをやるアトリエ」

中でも、ライフワークと呼ぶべきは、バゲットの追求である。
「何百種類のバゲットを作りました。
粉、イースト量、時間。
いくらでも変えられる。
それぞれに特徴があって、このバゲットにはこれがあうという料理や食材が必ずある。
今日は魚だからこのバゲットが合うとか。
香りの強さ、粉の甘み、えぐみ。
皮のやわらかさ、堅さ。
同じ酵母、同じ粉でも、焼き込んだものと、焼き込まないものでは、あきらかにちがう」

他のファクターはすべて同じでも、焼き加減がちがうだけで個性を異にするほど、バゲットの世界は深い。
日本人とフランス人でも好みは異なるし、合わせる食事によっても、バゲットの評価の基準は変わる。

「日本人は焦げた味に対する弱さがあると思う。
ぎりぎり焼き込んだものは甘い。
ライ麦にあるような、ぼそぼそ感や酸味を、日本人はみんな嫌がる。
でも、魚や白系のソースに対しては、酸味のあるパンがすごくおいしい。
ヨーロッパの感覚にぜんぶ合わせるんじゃなくて、日本人にはこれとこれの組み合わせが合う、それを追求していけばいい。
パンだけ食べるのそんなに好きじゃない。
マリアージュのよろこびではじめてすげえなと思える。
名脇役でいいと思う」

試行錯誤の末、ついに完成したバゲットは、当初思ってもみなかったものになっていた。

「カロン・セギュールという、ボルドーの重たいワインがある。
それに合うバゲットをいつか作りたいと思って、店にカロンという名前を付けたんですけど、突き詰め得いくと、カロンには合わなくなった。
おいしいバゲットを作っていけば必ず合うはずだと思っていたが、そんなに甘くはなかった。
できあがったのは、白系の魚料理に合うバゲットだった。
そのときバゲットって奥が深いなと思いました」

氷温バゲット(250円)
分厚さと、おだやかさ。
前者はフランス産小麦特有の甘さ、後者は国産小麦のものであって、その両方を含む5種類の小麦粉をブレンドしたこのバゲットは、その両方を併せ持っている。
引きの強さが硬さではなく、しなやかな弾力になっている。
ぽわんぽわんの中身に、厚みのあるハードな皮がしっかりと巻きついていて、クープのところのかりかりが絶妙、焦げも中身にふりかかると、甘さに対するアクセントになる。

フランスのバゲットは、実はそんなにおいしくないのではないか。
フランスで実際に食べてみた者がいだくそうした疑問に、神林シェフは照明を当てる。
実はパンを作るときに使う水に含まれるミネラルの仕業であると。

「(ミネラル分をより多くするために)水にコントレックスを入れるようになりました。
日本のパンは単体で食べておいしい。
フランスのパンは単体だとそんなにおいしくない。
VIRONのレトロドールは単体でもおいしいけど料理といっしょだとなおおいしい。
料理に合わせるときは、パンにもミネラル感がほしい。
以前はフランスパン専用粉を使ってましたが、いまは国産小麦やフランス産小麦の灰分の高いものを使っています。
ミネラル感(=灰分)はえぐみをうまみに変えられる。
ミネラル感がある分だけがつんときて、食事といっしょだと「あれっ」というぐらい、おいしくなる。
日本人とフランス人の味覚のちがいというのは、テロワール(土壌)であり、水であり、そういう素材を食べて育った環境のちがい。
僕たちは軟水(ミネラルが少ない)で育っている」

日本の水は一般に硬度が低く(軟水)、フランスは高い。
私たちは軟水で育ったがゆえに、ミネラル感の強い硬水の味に対して、違和感を覚える。
パンに対しても同様である。
だが、その舌をもって、パン単体で食べて、おいしいまずいと評価を下すことができない。
たとえば、フランスから上陸したとあるパンチェーンのハードパンは、それだけを食べるとミネラルの風味を強く感じてしまうが、その店が売り物にしているタルティーヌを食べたときには、本当においしい。
ミネラル感、あるいはどんな料理と合わせたとき発揮するのか、というファクターはパンを評価するときに、あまり語られなかった基準である。
そこに切り込むことで、神林さんは新しいパン文化を提案しようとしている。

「日本人に合うバゲットも可能性があると思います。
バゲットって食べ慣れてないと口の中を切る。
夏でもすっと食べられるソフトなフランスパンがあってもいい。
うまさはキープしながら、ミネラル感を落とした、日本人向きのバゲット。
和食に合うパンを作っちゃうのがいちばんおもしろいのかなと思う。
日本には洋食文化も、いろいろな食材もある。
パンって、まだまだ広められる世界観だと思う。
かっこいい食事って、心が豊かになる。
男性をもっと引きずり込みたい。
マクドナルドで育った女子にも、バゲットがある食卓を意識させたい。
きょうはバゲット買って、いっしょになにを合わせて食べるか、って発想になったらおもしろい」

バゲットのようなシンプルなパンだけではない。
副材料の入ったリッチなパンにおいても冷温熟成は真価を発揮する

72時間熟成クランベリーブール(200円)
しっとりして、やわらかい中に、弾力がある。
多角的に甘い。
砂糖やミルクや卵の入ったリッチな配合のパンだが、しっかりと小麦の風味を感じさせる。
クランベリーや、トッピングの砂糖だけではなく、生地自体からさまざまな甘さがやってきて飽きさせない。
食べた瞬間は普通のパンに感じられるが、奥の深さがあって、味わいを追いかけてしまう。
そうしていつしかこのパンにはまりこんでいて、一口また一口と食べていた。

「このパンは子供にすごくうける。
子供に食べさせて(他のパンに)負けると思わない。
子供は正直な舌を持っている。
すっと胃の中に入る感じを大事にしている。
前は、ナチュラルな食べ物がすっと入ると思っていた。
添加物を入れないからすっと入るようになるわけでもない。
このパンには砂糖も卵も乳製品も入っています。
氷温の不思議さ。
熟成を行うことで糖分が細かく分解されてストレートな糖分じゃなくなっている。
それで体になじむのかな、という気もしている。
フランスのイーストを使って、ゆっくりゆっくり3日間熟成させる。
生地のおいしいパン。
つい食べすぎちゃうんで、自分は食べないようにしています」

あんずあんぱん(160円)
白あんとあんずという甘さと酸味の組み合わせがはまる。
だが、魔力的なのはフィリングだけではない。
食べれば食べるほど、このパンのすごさがわかってくる。
水分が多く、ぐにゃぐにゃにやわらかい。
にもかかわらず、ぽよよんと弾力がある。
甘くない、白焼きの生っぽい生地が、白あんとよく合って、豆の濃厚さに対して、自家製酵母のちょっとくせのある香りが、不思議な相性を獲得している。
包んでいるようで、包んでいないような、成形しない形。
成形しきれず流れるほどしっとりとしているから、口溶けよく、あんこといっしょに溶けるのだ。

いろいろ聞いているうちに、どのようなきっかけでパン職人になったかという話になった。
それは情熱のやってくる根源を指し示すものだった。

「10代の頃、線路にのっかった人生は絶対いやだった。
でもなにをやったらいいのかわからない。
暗くて、他人と話しもできないし。
毎日悶々としてました。
大学のときたまたまパン屋で販売のバイトをすることになった。
ある日、シェフも、セカンドも、職人が全員やめて、パンを作れなくなり、僕に白羽の矢が立った。
言われた通りやるだけだったのに楽しかった。
いきなり、クープを入れることになったんだけど、なぜかできた。
なんにもできなかった僕が。
技術も美術も2以下しか取ったことなかったのに。
1週間後、パンの先生がきて、『パン作りはじめてどれぐらい?』と聞かれた。
『1週間です』と答えると、すごく驚いて『パンを作るために生まれてきたみたいだ』と。
興奮して眠れなかった。
翌日、親に内緒で大学に退学届を出した。
やっと自分を表現できるものに出会えたというよろこび。
パンを作るのが楽しくて仕方ない。
そのときも、朝6時から夜の11時まで働いて、厨房の中を走り回っていた。
どれだけ仕事の時間が長くても、あの暗黒時代に比べたら、なんにもつらくない」

カロンのパンとは神林シェフの自己表現である。
それはカロンに限らないのかもしれない。
特に変わったところのない、ありふれたパンであってさえ、「表現」なのだ。
たった1個のパンのために、たくさんの汗が流され、たくさんの時間と労力と思考が費やされている限り。
パン職人が、なぜあれほどまでに、朝から晩まで懸命に働くのかを、神林さんの話から教えてもらった。

ラ ブランジュリ カロン
JR中央線 八王子駅
八王子駅・日野駅からバス大和田坂上下車
042-682-3757
八王子市高倉町64-6(BAGEL高倉店内)
10:00〜20:00

#158
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ブレッド・オン・ザ・ブック 東京アートブックフェア
かしわで

今日あした(22日、23日)、信濃町駅から徒歩5、6分の
外苑キャンパスで開催されている
東京アートブックフェア(the tokyo art book fair)に行ってまいりました。

もちろん「パンと本をセットで売る」パンラボのくわだてを観察するために。

にしても自分、知りませんでした。
外苑にキャンパスがあるなんて。

キャ〜ンパスって言ったらあんた! 
若い男女がおしゃべりをしたり、寝転がったり、口をとんがらして、つばを撒き散らかして、語り合ったりする場所でしょう。
若い男が仲良しグループ内のしっかり者の女子に「今日の代返たのむよ!」とか言ったりして、
言われた女子も「んも〜〜! 女のあたしにさせないでよ〜!」とか言いつつも、ぱ〜っと男が駆けてくのをみて、「まったくしょうがないんだから…」………

そんなエチュードが日々繰り返される場所でしょう。
(え? 古い? 今はもっとスマート?)

とにかくそういうキャ〜ンパスが外苑にあるなんてと思いながら、
歩くこと数分で、こんな看板が。

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京都造形芸術大学・東北芸術工科大学
「外苑キャンパス」
という案内。

その先を少し歩くと、左手に、すぐさま、わかりやすく、フェアー会場が!


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パンラボの出店はどこかな?

あった! すぐさまあった! (入ってまっすぐ。水色縞模様のテント内)


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ムッシュやコイデェ〜らがお客さんとキャンパスっぽい楽しいおしゃべりを交わしながら、
本とパンをさばいている!

さしずめムッシュはゼミの先生、コイデェ〜はゼミ生徒、いや先生の横に必ずついてる若い大学職員といったところか?

とにかくいい感じがすぐさま伝わってきたぞ!


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古本の上にパンがチョコン。


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いいでしょ。この光景。

狭いスペースながらも空想が広がるような…そんな気がしましたよ。

もちろんパンラボ&パンラボキーホルダーも売られてます。


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今日、土曜日のパンは、「ブーランジェリー ロブ」さんのパン。
どのパンもめちゃくちゃ美味しそうで、選ぶのに苦労しました。
(好きな本と好きなパンを選べる。本とパンはセットで700円〜1000円)。

本は自分が読みたい! と思うものを選べばいいけど、
パンは食べたいと思うものが多すぎて悩ましかった。

明日(日曜)も11:00〜18:00まで開催されるので、
(明日はサンカントサンクさんパンとのコラボのようです)
どうぞお立ちよりを。


パンの上にホン。

ブレッド オン ザ ブック。

とてもアーティーでした。


パン・トリップ comments(3) trackbacks(0)
ブーランジェリー ロブ(恵比寿)
159軒目(東京の200軒を巡る冒険)
シンプルな内装、シンプルなパン。
バゲットやカンパーニュ、チャバタといった食事パン、デニッシュやタルトといったベーシックなペストリーばかりが並ぶ店内はうつくしい。
渋谷川沿いの路地。
花房幸子さんがここに小さな店を構えて1ヶ月あまり。
ナイフを持ち、窯入れ直前のバゲット生地に相対し、一瞬深呼吸するように手を止めてから、思い切ったようにクープを入れはじめる。
10年以上のキャリアがあっても、それでもクープを入れるたびに、悩む。
「窯伸びすると形が変わるのでむずかしいですね。
バランスを考えて、前もって計算して、こうやったらきれいになるだろう、もっとこうすればよかった、毎日それの繰り返しです。
見た目も楽しんで、食べても楽しんでもらえればいいですね。
タルトも色とりどりに並べたり」
シンプルなパンなのに、ではない。
シンプルなパンだから、作り手のセンスは現れ出る。
見た目しかり、微妙な甘さの感覚にも。
ローブのパンはどれも甘さ控えめだが、物足りなくはない。
甘さを空気のようにまとわせている。
クロワッサン(180円)
バターと香ばしさがバランスよく入り混じるこの香りがクロワッサンの醍醐味だと再確認する。
噛むと、なめらかに沈んでいく。
そしてかさかさと音を立てすぐに崩れる。
ウェルメイドなクロワッサンの基準をすべて満たす。
個性は強くきかせた塩にある。
塩に導きかれ、淡い甘さが引き立てられる。
がゆえに、余韻の印象はいっそう強まり、甘さではなく、香ばしい空気が口の中に満ちている。
「クロワッサンの塩は、ぎりぎりの加減です。
オープン前に手伝いにきてくれた根本さん(ネモ ベーカリー&カフェ)が、塩を足してくれた。
ちょっと味がぼやけていたので。
これ以上多いと、人によっては味が濃いと思うだろうし、これ以上少ないと、食べ飽きちゃう」
確かに、パン好きの間では名高いネモ ベーカリーのクロワッサンに似てはいて、そこに女性らしい軽やかさという新しい個性がさりげなく付け加えられている。
「オーバカナルの頃から根本さんの下でずっとやってきました。
根本さんに会ってなかったら、パン職人はつづけてなかった。
何回やめようかと思ったかわかりません。
職人になりたかったわけではなく、バゲットとクロワッサンが作れるようになりたかっただけなので(笑)」
花房さんは、竹下通りの角にあった往事のオーバカナルに惹かれ、パン職人になった。
そして、根本シェフの独立とともに、ネモベーカリーに入った。
「根本さんは、すごく厳しかった。
その代わり、私が失敗してもできるまでフォローしてくれる。
いまでも覚えているのは、ぺーぺーのとき教わった、カスタードの炊きかた。
できなくて、残ってやっていました。
力がないから、火の加減とか、勝手にやりやすいようにやってた。
「おまえ、できないのに変えてんじゃねーよ」。
職人的な手順もちゃんとやってかないとできない。
ルセットを見ただけじゃわからない、細かいところが大事だと、根本さんには教わった」
10年以上の修行期間を経て、やっと表現できる個性がある。
レシピや材料が大きく変わっているのではなく、心地よい甘さが引き出されていたり、繊細な食感があったり。
それがロブの魅力である。
バゲット(260円)
漂う甘い酵母の香り。
それがパンを噛むと、かりっと快い音とともに、香ばしさに塗り変えられ、やがて塩気によって持ち上げられる甘さがやってくる。
塩気はさっぱりと乾き、うまみともしょっぱさとも感じられながら後を引き、すばらしい印象とともに口から鼻孔まで満たす。
パンが溶けたあとも、消え残った小麦の甘さ、香ばしさ、酵母の香りが少しずつ残って、渾然一体となる。
小麦、香ばしさ、発酵の香り、どれにも傾かないバランスが爽快である。
バゲットのやさしい甘さは国産小麦ならではのものだ。
それは花房シェフの作り出すパンの個性とも似合っている。
「春よ恋の全粒粉を使っています。
そのおかげじゃないでしょうかね。
香りがいいんです。
北海道に遊びに行って紹介してもらった農家さんに、おみやげにもらった。
それで作ったらすごくおいしくて。
絶対作りたいなって思いました。
自家製酵母をベースにして、一晩冷蔵発酵。
イーストはちょっとだけ」
菓子パンや総菜パンではなく、シンプルなパンを基本に据える。
パンのあるべき姿を追い求める志があるからだ。
「パンはお菓子だって思われている。
それを食事パンにもっていきたい。
ハードパンを食べやすくしたい。
晩ごはんに食べていただけるように」
生ハムとルッコラのサンドイッチ(400円)
ローズマリーが甘い。
このチャバタをそう感じさせるのは、生地の甘さとの巧みなバランスによってだ。
たくさんの水分を吸った中身のやわらかさと、鎧のような、かさかさした皮とのコントラストが意表を突く。
オイルによって引き出された甘さが、ローズマリーとオリーブの香りが加わって、上品でさわやかなものになっている。
塩気が痛快で、肉から肉味がとろけ、スモークの香りに色気がある生ハムが、このチャバタにのっかっただけでなにもいうことはない。
唾を飲み込むたびに、喉に肉汁が滴ってあっという。
チャバタの表面を走る線がストライプになっていて、いかにもイタリアの街角で売られているようなそっけなさだった。
「イタリア人だったらこれぐらい適当に作ってるんじゃないかな。
生地を縮めて伸ばしてばんとなって、こんな感じなのかな。
本で読んだり、見たり、想像で。
いまはyoutubeでもいろいろ見れますし」
製法を尋ねると、花房シェフは「適当に」という言葉を何度も使う。
「こんなので取材になりますかね?」と心配しながら、「適当に」と言う。
水加減、発酵時間、ミキシング。
繊細な「適当」がロブの味を作る。
「とくに発酵の加減は大事にしていますね。
完璧にできた日、1度もない。
お客さんにせかされても、発酵は取ります(笑)。
妥協しちゃうと、焼き上がって「あーあ」となっちゃうので、時間に余裕がある限りは生地がちゃんと発酵するまで待つようにしています」
「自分でやったら本当にむずかしいな」
悩みながら、自分の店を持ったよろこびを実感する日々だ。
「いまはお客さんとの距離が近いので、お客さに尋ねられても説明しやすい。
お客さんと話ができるのがいちばん楽しいですね。
子供が「おいしい」と言ってくれたり」
「大震災のあとで、私が作ったパンを友達が東北に持ってってくれたり。
自己満足なんですが、役に立てたな。
怒られて涙流したのがやっと報われたな。
私、泣き虫なんで」
(池田浩明)
JR山手線 恵比寿駅
03-6721-6822
8:30〜19:30
日曜休み
*ブーランジェリーロブ+パンラボ
200(JR山手線) comments(2) trackbacks(1)
パンの漫画50 『平和』

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パンの漫画1 『パンと金持ち』
パンの漫画2 『クロワッサン』
パンの漫画3 『朝にパン』
パンの漫画4 『こがす』
パンの漫画5 『ガレット』
パンの漫画6 『罪悪感』
パンの漫画7 『ながら食べ』
パンの漫画8 『買いすぎる』
パンの漫画9 『先祖とフォカッチャ』
パンの漫画10 『VIRONで朝食1』
パンの漫画11 『VIRONで朝食2』
パンの漫画12 『こんがり』
パンの漫画13 『緊張』
パンの漫画14 『花巻』
パンの漫画15 『禁止令』
パンの漫画16 『シベリア』
パンの漫画17 『風紀』
パンの漫画18 『張り込み』
パンの漫画19 『タイミング』
パンの漫画20 『パン』
パンの漫画21 『張り込み2』
パンの漫画22 『太田原くん』
パンの漫画23 『映画館』
パンの漫画24 『見栄』
パンの漫画25 『公開パンラボ』
パンの漫画26 『話し』
パンの漫画27 『護送』
パンの漫画28 『漫画家フード』
パンの漫画29 『発売します』
パンの漫画30 『無題』
パンの漫画31 『張り込み』
 
パンの漫画32 『あるパン屋にまつわる物語』
パンの漫画33 『喫茶店』

パンの漫画34 『ハニートースト』
パンの漫画35 『3色パン』

パンの漫画36 『グルテン』

パンの漫画37 『新築祝い』
パンの漫画38 『お土産』

パンの漫画39 『朝の散歩』

パンの漫画 comments(0) trackbacks(0)
まさこジャム表紙出来
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まさこジャム

著者/渡邉政子
協力/池田浩明
デザイン/カレラ 庄子結香


365日パンのみを食べて生きるまさこの50のジャムの本。
パンラボ監修者として連載当初から深い関わりを持ちながら
決して表舞台には出てこようとしなかったあの女性こと渡邉政子さんが
満を持してジャムの本をつくりました。

まさこジャム/まさこライフ/まさこグッズ/まさこコミュニケーション/
まさこテイスティング/まさこスライス/まさこリベイク/まさこセレクト/
まさこストック…ほか、
パンをおいしく食べるために必要なすべてを完全書き下ろしで収録。
まさこさんのありのままを記録するために、
まさこさんが普段食べている器で普段食べている状態で普段使う言葉ですべてが表現されています。

"この世界のうつくしいもの、おいしいものをすべてジャムに変え、パンに塗って食べたい。
今度、渡邉政子さんにお願いしてみよう。" と言ったパンラボ著者・池田浩明氏
まさこ生誕地に飛び自らまさこジャムを検証した渾身のレポート
"まさこジャムセッション"も特別収録。

365日パンのみを食べて生きる人の生活を知ることが本書の目的ですが、
パンを輝かせ、パンをおいしくさせるためのエッセンス(20数年熟成分)を
これでもかと盛り込みました。
"パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン"を続けていると、
いろいろ大変。
これまでに見たことのないこれからも見ることのない新しいジャムの本を参考書代わりに、
解き放たれてみるのはいかがでしょうか。


定価は1500円、
サイズはA5、144頁。
『パンラボ』より500円高いですが、夢にまで見た4色カラーです。
初版刷りにのみささやかな特典がありますので、お買い逃しのありませんように。
Amazonで予約受付を開始しました。→

【D】



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目の前に広がる世界が、すべてジャムになる 

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やってはいけない2 (でもやる)
1.jpg肉の万世のヒレかつサンド。
牛マークのシールを3つ使って、箱の隙間を閉じるとは心意気が違う。


4.jpg牛マークのシールのおかげか、これでもかというほどしっとりしていたパン。
写真が少しぼやけているね。


3.jpg4つ入りは箱が手のひらサイズなので不安になるが、
食べると充分にボリューミーであることが分かる仕組み。


2.jpg桃太郎ブレンドを合わせてみた。

カツサンドとトマトジュース。
しかしこれは"やってはいけない"例ではない。(むしろ大変好ましい組み合わせ)





MJ-amazon.jpgやってはいけないのはこれ↑



やってはいけないのはこれ↑↑




発売1か月前にして未だ表紙画像をUPしないという外道ぶりは目に余る振る舞いと言えるでしょう。
しかしながら出来るだけ早く多くの方々に認知されたいという気持ちで
本の概要のみをUP。
とりあえず嘲笑の意味を込めて、
まさこジャムの概要見てみてください→(ここを押忍といいね!)【D】




10/17 『まさこジャム』発売なくせに表紙見られないとかありえなくなーい?

10/10〜パンラボ講座開講とか12月までの予定いまから確定させるの無理くなーい?

パンラボ単行本とかもう持ってるんスけどー☆



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(軽井沢行ってきました)

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パンの持ち込み
IMG_5955.JPGパンの持ち込みがあった。

『パンラボ』発売以来、プァンレターが届くたびに何度となく絶頂に達しているわけですが…
(ピクンッ)
今回「パンを食べていただきたい」という連絡があり
なんとなななんとお店の方がパンを持って編集部に来てくださった。
(ピックーーーンッ)


IMG_5954.JPGベッカライシュタインメッツ田園調布さんのシュタインメッツブロート。

頭2個分ほどもある大きなパン。
わざわざ編集部に来ていただくのは申し訳ないので送付を希望しましたが、
「その日に焼いたパンを食べていただきたい」ということで直接受け取るという
ピックンピックンな展開に。


IMG_5948.JPGご教示いただいた通りにそのままの状態で食べた。

ライサワー種のパンということですが、生地にたっぷり吸水させているためか
とってもジューシー。
皮もソフトで薄く、中がもっちもちで、とても食べやすい。

パンに使用されているシュタンメッツ粉というものが、
小麦やライ麦の粒を水洗いし一番外側の皮のみはがして粉にしているからか。
よく分かりませんが、やけにジューシーだった。


IMG_5952.JPG横から見ると面白い形。

編集部にパンラボ関係者が来ることはほぼ無いので、
御礼もそこそこに最近気になるパン屋さんの話や移転したお店の話など
あれこれおしゃべりして楽しかった…。

「どう思います? どう思います?」と問うて「えっ! いや、ああ…(急に見せられても…)」
みたいな御反応をいただいちゃったりして。
(ピクンッピクンッピクンッ…)

こんな日が来ようとは夢にも思いませんでしたので、嬉しかったです。【D】


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パンの漫画49 『裏』
pan49-1.jpgpan49-2.jpgpan49-3.jpgpan49-4.jpg





パンの漫画1 『パンと金持ち』
パンの漫画2 『クロワッサン』
パンの漫画3 『朝にパン』
パンの漫画4 『こがす』
パンの漫画5 『ガレット』
パンの漫画6 『罪悪感』
パンの漫画7 『ながら食べ』
パンの漫画8 『買いすぎる』
パンの漫画9 『先祖とフォカッチャ』
パンの漫画10 『VIRONで朝食1』
パンの漫画11 『VIRONで朝食2』
パンの漫画12 『こんがり』
パンの漫画13 『緊張』
パンの漫画14 『花巻』
パンの漫画15 『禁止令』
パンの漫画16 『シベリア』
パンの漫画17 『風紀』
パンの漫画18 『張り込み』
パンの漫画19 『タイミング』
パンの漫画20 『パン』
パンの漫画21 『張り込み2』
パンの漫画22 『太田原くん』
パンの漫画23 『映画館』
パンの漫画24 『見栄』
パンの漫画25 『公開パンラボ』
パンの漫画26 『話し』
パンの漫画27 『護送』
パンの漫画28 『漫画家フード』
パンの漫画29 『発売します』
パンの漫画30 『無題』
パンの漫画31 『張り込み』
 
パンの漫画32 『あるパン屋にまつわる物語』
パンの漫画33 『喫茶店』

パンの漫画34 『ハニートースト』
パンの漫画35 『3色パン』

パンの漫画36 『グルテン』

パンの漫画37 『新築祝い』
パンの漫画38 『お土産』

パンの漫画39 『朝の散歩』
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