パンの研究所「パンラボ」。
painlabo.com
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
待てぇ〜〜〜!
かしわで


一昨日のまさこさんのスレッドを見て、ビックリした。

ゴントラン シュリエに行かれてたからだ。



昨日のこいでぇ〜のスレッドを見て、ふたたびビックリした。

ゴントラン シュリエに行かれてたからだ。


連続ゴントラン!
よくよく読むと、ふたりで打ち合わせしてたことがわかった。


なぜビックリしたのか?
自分もちょうど同じ時期にゴントラン シュリエにイカれてたからだ。



IMG_0514.jpg


IMG_0515.jpg


これでもかってくらいのネギタマが油絵みたいに何層にも塗り重ねられていた。
その上にオリーブとチョビアン。
自分はいわゆるネギタマ・ブレッドが好き。
自分はいわゆるチョビアンが好き。

ひっくり返るくらいに好き。

でもあんまりひっくり返ると、ここではなくツイッターでウザがられるので、
もうやめておこう。
自分がオニオンブレッドとアンチョビが好きなことはもう伝わったはずだ。

オンオニ独特の甘みが押し寄せてくる。これでもかってくらい押し寄せてくる。
いい足りないくらいに押し寄せてくる。
そこにいい感じでアンチョビの塩っけが飛び込んで来る。

南仏あたりで食べられてるパンらしい。
自分は南仏には行ったことないけど、押し寄せるオンニオの大群のおかげで、
わかった! 南仏もうわかったから!! 
そんな気にさせられた。

むろん、なんもわかっちゃいない。
わかっちゃいないことを自覚した上で、わかった気にさせられた。
そんな恐るべしパン。恐るべし大群。

南仏あたりをウリにした食べ物はいっぱいある。
あるけど、現時点での自分の南仏は完全に押し寄せるネギタマだ!

早いとこ答え合わせしてみたいもんだ!


てなことをのんびり書こうと思っていたら、先を越された。

今、慌てて書いてます。


ゴントラン シュリエは打ち合わせにいいでしょうけど、
考え事をするにもちょーどいいことがこれでもかってくらいにわかりました。





これからいろんなイベントや取材をうけるそうです。

まさこジャムの買えるパン屋さんはこちらでどうぞ。


IMG_0458.jpg

きょうはハロウィンなので、もうちょっと踏んでみました。

IMG_0457 2.jpg

神戸屋のカボチャのパイです。


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イチ推し
1.jpg昨日のまさこさんの日記にあったクイニーアマン。

パンが好きだと焼き色の濃淡を気にする。
ゴントラン・シェリエさんの2階はランチ後の時間になると込み具合もほどほどで
ゆっくり話すこともできて丁度よい。
クイニーアマンもくるくるとリボンのように剥がれていき、ぱりぱりと甘く美味しい。



1.jpgアヲハタはジャムだけじゃなくてレバペもおいし〜よ♪」
まさこジャムる話をしていた時にまさこさんから教えてもらったイチ推し。

レバーペーストを自分で買うのは初めて!
甘みのあるなめらかなもので、最初はバゲットにそのまま塗って食べる。
その後、『まさこジャム』で言うところの"No.001 キウイ"をレバペバゲットに上乗せして食べる。

ぬ!

ぬぬう!



1.jpgつるつる加工なのでお皿みたいに使っちゃう。

今回はかいじゅう屋の橋本さんに教えてもらった
桜漬けの部分が大きめでとても良かった。


パンラボ comments(0) trackbacks(0)
ゴントランのみみ
まさこジャムの出版記念イベントの打ち合わせで
はじめて渋谷の「ゴントラン シュリエ」へ行った。
オープンしてから数ヶ月経つのに今頃?
でも「今頃」になってしまった。
ついでに言えば、その日の打ち合わせの前にはじめてヒカリエの「ロブション」にも行ってみた/ハハハ。
はじめて本物のゴントランパンを見て食べてみた。
パンを物色した第一印象/感想は
「白い」だった。
池田さんが手がけたと言うパンフレットに載っかっているパンやペストリーは
どれもこれも私好みの濃い茶色の焼き色なのに、
店に並んでいるクイニィアマンもクロワッサンも焼き色が薄い。
それで「白い」だった。
ついでに言えば形もさまざま。
打ち合わせでは、その白く不揃いだったクイニィアマンをいただいた。
広がったような巻き終わりはやや茶色が濃いめで香ばしくリッチな味わいでおいしかったし、真ん中辺りの白い部分もムニュッとして悪くはなかった。
感想を一言で言えば「おいしかった」となるのだが、
写真のようなしっかり焼き込まれたクイニィアマンもいつか食べてみたい。


お家に持って帰って食べたのはタワー状の栗クリーム入りのモンブラン、トマトのリュスティックとプティくるみカンパ。
このタワー状のモンブランは何ぢゃ? と思ったら、デニッシュペストリーで作ったコロネを立てたものだったので、横にしてまさこスライスでいただいた。
他もまさこスライスで。
どれもこれもおいしかったよ。
でももっと気に入ったのは二日後にまた別な打ち合わせで訪れて買った
「パンのみみ」¥100。
パン・ド・ミの耳を一斤分ほど集めたひと袋。
耳好きな私にはぴったりんこ。
牛乳入りの生地のせいか、ほんのり甘くて香ばしい。
生でもりもりいただいた。
ゴントランのみみ、オススメよ〜♫

               ◎ ○ ◎ まさこぱん ◎ ○ ◎


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渡邉政子さん comments(2) trackbacks(0)
ムッシュイワン(立川)
161軒目(東京の200軒を巡る冒険)

パンを食べつづけていくと、「逆転現象」に出会うことがある。
新しい店に既視感を覚える一方、古い店に食べたことのない新しさを感じる。
ムッシュイワンにあるのはそうした新しさである。
食パンのような、古めかしいパンこそいっそう新しい。
パンから漂う酵母の芳しさ、食感においてはやわらかさと反発がハイレベルに拮抗する。
新しいパン職人が目指しているものが、数百年にわたって守りつづけられる技術の中にあるとしたら。

福田元吉という人がいた。
「ホテル系」と呼ばれる流れの祖となったパン職人である。
いま多くのパン屋が加入するJPB友の会という団体は、もともと福田を囲む親睦会として設立されたものだ。
かって一時代を築いた、パン業界の顔。
年を経て、時代が変遷していく中で、福田の直系の弟子であり、かついまも現役のパン職人である人は、とても少なくなっている。
その代表とも呼ぶべきひとりは、シニフィアン・シニフィエの志賀勝栄シェフ。
もうひとりが、ムッシュイワンの小倉孝樹シェフである。

「福田元吉の師匠がイワン・サゴヤン。
僕がやってきた仕事のルーツはそこまでさかのぼります。
明治の頃、当時の帝国ホテルのオーナー大倉喜七郎が、満州に行ったとき、大和ホテルのメインダイニングで食べたパンがあまりにうまかったそうです。
そのときパンを焼いていたのがサゴヤン。
サゴヤンはロマノフ王朝の宮廷料理人だった。
王朝には芸術や食などすごいものが集まっていたが、日露戦争に負け、衰退していった。
サロヤン一族は世襲でパンを作っていたが、国外追放になり、満州まで逃げてきていた。
ウクライナの小麦とホップス種を使ったパンは抜群にうまかった。
大倉は2年越しで口説いて、彼を日本に呼んで、帝国ホテルにベーカリー部門を作った。
門外不出の技をなかなか教えようとはしなかったけど、日本人の勤勉さに心を開いて、技法や種の作り方を教えていくようになった」

「僕の師匠福田元吉は、昭和のはじめに帝国ホテルに入り、イワン・サゴヤンの元で修行した。
イワンさんは昭和23年になくなりますが、元吉は僕らの前でも『イワンの親父』と呼んで、製法を守り抜いていった。
戦後、福田元吉が帝国ホテルからホテルオークラに転じると、帝国は代替わりでイワンのパンじゃなくなり、オークラのパンが有名になった。
その後、品川のパシフィック東京のベーカー長になると、『パシフィックのパンがうまい』とまた有名になって、ホテルのベーカリーはこぞって福田の子分をチーフとして招請した。
それで、福田は『ホテルパンの父』と呼ばれるようになった」

もともと料理人志望だった小倉シェフはもう40年近く前、パシフィクホテルの厨房で、福田元吉に出会う。
そして、浅草ビューホテルなどのシェフ・ブーランジェを務めながら、福田から受け取った「ホテルパン」を守りつづけようとした。

「オイルショックや不況などの影響で、ホテルの各部門は独立採算制になり、利益を出すことにこだわるようになった。
食材や時間や人件費を削減した。
発酵時間を短縮し、製法を崩したパンを出さざるを得ない。
僕もがんばったんですが、『ホテルパン』がなくなっちゃった。
1次、2次、しっかり発酵熟成を守らなければいけない。
いま長時間発酵が主流になっていますよね。
志賀君の『酵母から考えるパン作り』(長時間発酵を世に広めた本)なんかを読んでも、福田元吉の『ホテルパン』のエッセンスが入っていると思う。
突き詰めていくと、流れてるものが同じなんじゃないでしょうか」

とはいえ、それほど偉大だった福田元吉の仕事を継ぐ者はいま少ないのだという。
福田は亡くなり、年を追うごとに福田の直弟子たちも現場を離れていった。
弟子の中でももっとも若手に属する小倉さんは、パン業界が福田元吉を忘れようとしている現状を嘆く。
「福田の親父を引き継いでいく人たちはだらしがなかった。
師匠が偉大すぎた」

小倉シェフは、福田の仕事を「無形文化財」と呼ぶ。
レシピとして書き残せる以上のなにか。
生地や発酵の見極めという「勘」、丸めなどの「技」は、形のないものだから、職人が現場から去れば消滅するしかない。
数百年にわたって培われた伝統が、ことによったら無に帰することになる。

「スタッフにもよくいいます。
『僕の仕事をまねするのは、コピーじゃないんだ。
福田の親父の仕事の継承なんだよ。
そばにいて見ていないとできないものなんだよ』
たとえば、独学でやる人は、手のさばきが未熟だと思います。
スキーでも、基礎ができている人間はきれいに滑れる。
僕が気にかけているパン屋さん、徳多朗のマダムが僕の講習会にきてくださった。
マダムはこう言ってくれました。
『(小倉さんの)手さばきを見たとき、愛おしそうにパンを触っている。
私はパンになりたいです』」

イギリスパン(315円)
小倉シェフが福田元吉から教わったそのままのホテルパン。
香りの中で酵母とミルクが完全に融合している。
噛んだ瞬間にバターの風味が広がり、塩気がそのあとを追いかけてくる。
抜きつ抜かれつの追いかけ合いがいつまでも止まない。
溶ければ溶けるほど、より甘さを増し、より広がりを増して、変化をつづけて飽きさせない。
食感はふくよかで、ぷよんとした感じもあれば、やわらかくたわんで、快い歯ごたえもある。
シンプルながら豊潤。
それは素材がポテンシャルを十分に発揮しているからにちがいない。
生でも1枚があっという間。
トーストすれば、翌日でも翌々日でもおいしい。

小倉シェフの語る、ホテルパンの特徴はこのようなものだ。
「こねすぎないこと。
アンダーミキシングにして、発酵で育てていく。
ミキサーでこねると発酵が早くなり、失敗も少ない代わり、小麦本来の持ち味を出し切れていません。
酵母は最低限の量。
それに見合う発酵時間をとってあげて、パン酵母が働きやすい時間・空間を作って、めいっぱい働かせる。
1次発酵をうまくできれば、そのあとも管理がしやすい」

「ほとんどの人がオーバーデベロップではないでしょうか。
強めにまわして、ミキシングの段階で生地を作ってしまう。
まわしすぎると発酵が早くなり、若い生地は味もぼける。
菓子パンでもくちゃっとした腰のないものになる。
ミキサーの音って、まわしていると確実に変わっていく。
音を聞いていたら、いま生地がどんな状態なのかわかる。
『こんなに早くバター入れるの?』っていうようなタイミングでも、水と油に分離しない。
そのあと数分しかこねず、あとは休ませるだけなのに、不思議なことにそれで生地ができてしまう」

じゅうぶんな発酵によって酵母自身がおのずからパンを作りあげる。
ミキシングを少なめにして小麦の味を活かすことや、酵母を少なくした長時間発酵は最近の流行であるかのように思われている。
それは現代において「発見された」わけではなかった。
福田元吉において、すでにそうだったのだから。

「丸めも大事なんですよ。
丸めにも法則があって、それを体で覚えてるから。
我流でやると、分割丸めの段階でいい加減になる。
福田元吉のイギリスパンは一般的に見たら塩が多い配合なんですが、それが絶妙の塩加減になる。
塩がなければ、えぐみがでる。
この量でも、塩がききすぎるなんて、きちんと作ればありえない。
昭和50年代は精製塩が主流で、いまよりもっと強い塩でしたが、ホテルの朝食で出していて、しょっぱいといわれたことはありませんでした。
当然なんですね。
一次発酵の丸め、成形の丸め。
その工程をきちんとしてないから、塩が強く出てしまう。
塩がうまく生地の中へ分散しない。
発酵が足りないと、うまく糖分を食べてくれずに残ってしまう。
ちゃんと発酵させて、きちんと丸めて、タイミングをまちがえなければ、味がうまくぱーんと出る。
そこがおもしろい。
プロセスの中で砂糖も塩も分解されていく。
きちんと発酵させ、きちんと生地を作らなくては、配合の妙がわからない。
レシピを見てもわからない部分です」

私はシニフィアン・シニフィエの厨房で志賀勝栄シェフの丸めを見たことがある。
それは小倉シェフと同じく、福田元吉直伝の丸めである。
若き日の志賀さんは、師の元へ通い詰め、それを会得した。
彼はその丸め方を「揉む」と表現していた。
シニフィアン・シニフィエのパン・ド・ミは副材料を入れずリーンであるにもかかわらず、きちんとふくらんでやわらかい。
福田直伝の丸めができなければ、シニフィアン・シニフィエのパン・ド・ミは作ることができないのだと。
いま最先端だと目されるパンの核心部分を支えているのが、実は数百年の時を経て伝承された職人技なのだ。

「1回目の丸めは分割して箱に入れるとき(1次発酵の前)ですが、ちゃんとガスがたまる丸めをしないと、伸びしろにかかわる。
いちばん芳醇な香りのする炭酸ガス、有機物をちゃんと溜まるように丸める。
しっかり丸めてガスが逃げないようにする。
丸めが悪いと、成形のときに元気がない。
伸びしろがない。
気泡膜が広がってはじめて、塩と砂糖が生きてくる。
ちっちゃい気泡だときめが詰まってしまう。
ヴィロンのレトロドールという粉(フランス産小麦)がなぜうまいか?
雑味の味わいですよね。
雑味も塩と同じで、使い方では大失敗になる。
詰まった生地だと、えぐみ、むれが出る。
だから、フランスパンは気泡を大きくする。
他のパンも同じこと。
食パンだって、発酵がきちんととれたものは、窯伸びして、おいしくなる」

Vバタール(260円)
フランスVIRON社の粉を30%、ライ麦を3%ミックス。
硬めの皮の快い崩壊感と、中身のしなやかさのコントラスト。
なにより味わいのトーンが明るく、複雑で、しかし透明感があって。
じわじわと雑味が発してくる。
それは荒々しさであり、豊穣さであるが、静かに発してくるので、奥行きをも感じさせる。
だから、中身の白い味わいの繊細さも同時に聴こえてくるのだ。

多くのパン屋と同様、ムッシュイワンの経営も常に順風満帆ではなかった。
「7年目で思い知らされました。
インストアベーカリーのあるスーパーが近くにできて、客足が落ちた。
それでコンセプトを曲げかけたところがあった。
(ムッシュイワンがテナントとなっている)若葉ケヤキモールの担当者が女性に変わって、こう言われました。
『なにをやってるの!
スーパーを相手にしても仕方がない。
ここにくるお客さまはそんなの関係ない。
10円、20円安いからってパンを買うお客さまじゃないんですよ』
勇気をもらった。
もう1度、僕らしいパンを作ればいい。
ドーナツとかぜんぶやめちゃった。
うちにしかないものを作りつづけよう。
そうなると客が戻ってきた」

ムッシュイワンは立川駅からさらにバスで10分ほどいった郊外のショッピングセンターにある。
都心に比べて、高級なフランスパンを売る立地として好ましいとはいえない。
だからこそ、だと思う。
まわりののどかさから一転、店に入るとパンのいい香りが鼻腔を突き、うつくしいパンが並ぶ光景には、うれしい驚きがあり、ここでしか買えないというありがたさがある。

「コンセプトは守らなくちゃいけない。
『最初の志を曲げて、あんぱん・菓子パン作ったら繁盛店になりました』って、うちはそれできないんですよ。
まわりと同じものを作る必要ない。
ホテルブレッドなんかよその店にはないんですから。
流れてる血筋がちがうし、それをもっと磨かなきゃいけない」

「僕がこの店をはじめたとき、なんでこの名前をつけたか。
イワン、この火だけは消し去りたくない。
『もう福田の時代じゃない』っていう人もいます。
でも、僕は守り通したい。
こんな奴が1人か2人いたっていいじゃないか。
イギリスパンを作りつづけたい。
福田の親父に教わった通り、愛おしんで作れば、必ずおいしいパンができる」

ペイザンサンド(320円)
使用されるのは、極小のイースト量で作るバゲットの老麺(前日の生地)を種にして作り上げるパン・ペイザン。
ぎりぎりまで熟し、凝縮された生地に特有のしなやかな舌触りと繊維感。
その凝縮ぶりは香ばしさを通りこし、渋い旨味にまで到達している。
皮はかりかり、中身はよく火抜けして軽やか。
滲みだしてくる味わいの濃さがものすごいのに、酸味も、えぐみもない。
それは噛むごとにさらに変化し、むしろさわやかになっていく。
おかずとの相性が圧倒的。
ハムのスモーク感、チーズのとろけ、トマトの熟れた感じと次から次に受け止めていく。

伝統を守りつづける店。
しかし、この店のパンにあるのは、古さではなくむしろ新しさではないか。
私がそう告げると、小倉シェフはこう言った。
「保守です。
保守であることが革新」

JR中央線 立川駅
(JR立川駅北口より、若葉町団地行きのバスに乗り、砂川九番で下車)
042-538-7233
10:00〜20:00(土曜日曜祝日 9:00〜20:00)
 


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#161
200(JR中央線) comments(0) trackbacks(0)
ジャムるティー
ほんの1-2週間前にファミマで"チョコ好きのためのチョコクロワッサン"を発見。
以来、これまであまり食べてこなかったチョコクロワッサンというパンをよく食べる。

先日は37都道府県にて店舗展開中の(47ではない)サンマルクカフェにて
チョコクロを食べた。
一緒に頼む飲み物はホットティがおすすめで、
なんならチョコクロは頼まずホットティのみで良い。
この蓋の上のティーバッグが崖の上のポニョ並みに心洗われるマニュアリズムなのである。

店員さんは若干に丸みを帯びて不安定な蓋の上にプティトングを用いて
ティーバッグを置くことに熱心であったからお店のマニュアル手順なのだろうと思う。
マニュアル化された言動(「喜んでー!!」などの掛け声や融通のきかない対応ほか)を
不快に思う向きは分からなくないが、
この時はホットティのツッコミ待ち然とした様子が楽しかった。


チョコの濃厚さと極厚さに執心していて、しかもクロワッサン生地がぱりぱりしていて良いネ。

37都道府県の諸君はぜひ行って、
ホットティ上のアリアを確かめコメンテーターしていただけたら嬉しいです。
当ブログ読者の皆さんは「チェーン店は狭く騒がしく落ち着かず手に負えない」という
麗らかな男女が少なくないかもしれませんがいかがでしょうか。



皆さんのシャキーンぶりも見てみたい。

発売1週間にして、
書店さんのみならず全国のパン屋さんで「まさこジャム」が買えることになりつつある。
せっかくなので渋谷直角さんによる"直角の友達のお店"ばりに
"まさこジャムってるお店"が増えるごとに逐一そのお店をブログに記していくことにしました。

※五十音順

以上、敬礼。

『パンラボ』で反応してくださった方々とはまた別の雑誌やTVなどから
取材の連絡がきていて嬉しいです。
日頃応援してくださってきた方々への感謝の意を込めて、
まさこジャムる企画をいくつか進めています。
ブログで告知しますのでもう少し待っててネ。【D】



パンラボ comments(3) trackbacks(0)
パンと脇差
柏手主水


パンラボに参加して、何年たったか忘れてしまったけれど、
パンは切り方ひとつでずいぶんと味わいが変わるもんだと
最初に食べた頃からず〜〜〜っと、ひたっすら感じていた 。

同じパンでもかいじゅう屋さんの厨房で切ったパンをほおばるのと
余ったパンをもらって、手で千切って、食べるのとではぜんぜん味が違う(気がしていた)。
もちろんかいじゅう屋さんで切られたパンの方が断然おいしい。
いや、もっといえば、
余ったパンを自宅のクソ包丁で切るのと、かいじゅう屋さんのゾーリンゲン(←この表現テキトー。切れる包丁はみんなゾーリンゲンと思い込んでる、おれっち)で切るのとでもぜんぜん違う。

かいじゅう屋さんの包丁は魔法の包丁だ。

まちがいない。

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パン屋さんの試食コーナーで食べたパンって美味しく感じませんか?
少なくとも自分はたいそう美味しく感じてしまうのだけれど、
あれもちゃんとゾーリンゲンで切られてるからではないのか?

だとすると、かいじゅう屋さんの包丁だけが魔法の包丁ではなくて、
パン屋さんの包丁はみんな魔法の包丁ということになってしまう!おっと!

それは困るなぁ。できればかいじゅう屋さんの包丁だけが魔法の包丁であって欲しいのに。

しょうがない。

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とにかく、そんなこんなで、

パンもお刺身のように45度以上包丁を寝かせて切るべし

そこまでの掟はないと思うけど
シンプルなパンほど、一口サイズに切って食べるのはおいしい気がする。
おそらく切り立てがおいしいはず。
バゲットとか食パンのようなものの塊とか、そういうシンプルなものほどおいしい気がする。

むろん千切るお楽しみを否定しない。
ただ千切ってもおいしく感じるのはシチュエーションな気がする。そのときの状況な気がする。誰かと半分こする。みんなで少しずつ分け合う。そういう愉快なシチュエーション。
ちぎりパンはおいしいけど、ちゃんと切り込みも入っている。カニぱんにも切り込みが入っている。ちぎりパンはちぎっておいしくなるようにきっと計算されてるはず。

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と漠然と思うようになっていった。

渡邊政子さんがマイ包丁を小脇に抱え、マイ・カット、マイ・カッティングで
常にパンを食べていると聞いたし、直視もした。
変移抜刀政子斬りも何度も目撃した。

まさこジャムにも切り方のこだわりが紹介されている。

切り方でおいしさが変わるとも書いてある。

やっぱりそうだ!そうなのですね!


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よくよく読むと、何本かの道具を使い分けてることがわかった。

本差、小刀………脇差………。

お侍さんのようだ。

パンのサムライ! 渡邊政子! カッコイイー!!

刺激された自分は(すぐに刺激される。となっ!)、
携えた脇差(のようなもので)、
ヤマザキのマーラーカオを、


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シャキーン!

とする前に、
間違えないように鞘を当てて、


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シャキーン!


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まさこジャムに特別についているしおり型サヤを当てて、
シャキーン!

桜新町あたりの超スペシャルなパン屋さんが褒めてくれたとコイデェーが興奮気味に
教えてくれたパンラボ特製カッティング・メモリ付きの鞘をあてて、シャキーン!



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刀背打ちじゃ! 安心せい! 


マーラーカオをシャキーンする必要はないのかもしれないけど、
切ったら切ったでやっぱりおいしいっす!



パン・トリップ comments(2) trackbacks(0)
パン オ フゥ(五反田)
160軒目(東京の200軒を巡る冒険)

高層ビルの1Fにガラス張りの店舗を構える。
ボノミーというビストロが母体となっていて、レストランスペースが併設されている。
そこでは焼きたてのパンとフランス料理を楽しむことができる。
シェフを務める荻原浩さんは、つい2年前まで、フランスで修行していた。

「この店をはじめたとき、帰ってきたばかりだったので、100%フランスそのままをやろうと思って、この店をはじめました。
製法、材料、ラインナップもハード系中心、ヴィエノワズリーも向こうにあるものをほぼ揃えて。
お客さんの要望があって変えてきてはいますけど、基本はフランスのパン屋さんです。
フランスで学んできた製法は大事にしてやってます。
パン・トラディショナル(フランスパン)はまったく同じやり方です。
長時間発酵、酵母の起し方も同じ」

日本でパティシエとして経験を積み、最初の渡仏では菓子の勉強をした。
なのに荻原シェフは、なぜ途中からパン職人を目指したのか。

「最初にフランスに行ったとき食べたパンがおいしくて。
それまで私はパンを食べなかったんですが、パンに感動したんですよ。
バゲットですよね。
1本買って1ユーロぐらい。
お金がなかったのでそればかり食べてました。
バゲットを買って、切り込みを入れて、スーパーで買ったハムとチーズをはさんで、毎日食べてました。
それぐらい好きだった。
日本に帰ってきても、そのイメージが強くて。
具が主役っていうより、パンが主役であって、シンプルで、フランスでも長年愛されている。
普遍的なおいしさ。
日本の人の口に合わないことはない」

バゲットに、ハムやチーズをはさむ。
堅く、大きすぎて、食べにくいサンドイッチを、口の中を切りそうになりながら食べる。
凝ったドレッシングを作ったり、野菜を入れたりはあまりしない。
それは日本のおにぎりのありかたに極めて似ていると、以前、単行本『パンラボ』でも書いた。
小麦(あるいは米)と具材をただ対峙させる。
それは洋の東西を越えた、主食への信頼なのだろう。
人の味覚は、結局、原点へ戻っていく。
シンプルなものがおいしい。

2階のレストランスペースでランチ(1000円)をいただく。
バゲット、チーズのパン、ドライフルーツのパン、ベーコンのパン、ブリオッシュetc。
籠に盛られたさまざまなパンはおかわり自由。
それと生ハムかチーズかを選択する。

生ハムとパン、サラダとパン。
最低限調理されただけの素材と素材を、1対1で対峙させていく。
焼きたてのパンと生ハムの組み合わせがおいしくないわけがない。
私は息も切らせずむしゃぶりつく。
技を凝らしているのではないだけに、快楽はより本能的なのだ。
荻原シェフのいう「パンが主役」の食事がここにあった。

フランスそのままをコンセプトにするこの店で、バゲットや、ルヴァン(自家製酵母種)を使ったハードパンはもっとも重視しているものだ。

「最初に勤めていたショコラティエの紹介で、そこ出身で独立した人の小さなお店を紹介してもらった(パリ14区、アレジア)。
すんなりそこに入れた。
いろいろ食べ歩いた中で、働いた店がいちばんおいしかったんですね。
クロワッサンも、フランスパンも。
その店のイメージで、バゲットも作っています。
ライ麦から起こした自家製酵母を入れています。
バゲットに自家製酵母を入れていたわけではなかったんですけど、日本で試行錯誤して味の記憶に近づけているうちに、入れるようになりました。
小麦の香りを出すというより、味の奥行きを出すというイメージで。
フランスでは、小麦がいいんで、小麦の香りがストレートに出るパンが多いですね。
日本だと思ったようにできない、味が出ない。
12、3種類は小麦粉を使っていますが、フランスパンにはフランス産の小麦粉、パン・ド・ミのようなパンには日本の小麦粉を使っています」

フランスと日本の小麦粉の差。
輸入される原料の質、挽き方、コストの問題。
フランスと同じものを日常的に原料とするのはむずかしいが、その差は、味の記憶と、技術で埋める。

バゲット・トラディション(290円)
ビスケットのような香ばしいバター感、あるいはゴマの香ばしさが、このバゲットの皮にはある。
ざくざくと大きな音を立てて皮がクラッシュする。
皮の乾きとは対照的に、中身はしっとりむちっとして、迫力ある白い味わいは皮の強さに拮抗し、濃厚で、後味に塩気を感じさせる。
ゴマのように感じさせていたセレアル感が、咀嚼し、時間が経つにつれていっそうせりあがってくる。
このバゲットは実に豊かで、個性が強い。

チョコレートにはデニッシュかブリオッシュ、あんこには菓子パン生地。
そういう組み合わせが当たり前だと思いこんでいた。
しかし、どちらにも風味の強いルヴァン生地がとても合うことは、パン オ フゥで気づいた新しい発見だった。

ムスターシュ
引きの強いハード系生地は、あんぱん界最強の噛み応え。
噛んでも噛んでも味が滲みだし、酵母はおだやかに香りつづける。
小麦の甘さがじょじょに育っていき、やがて、あんこの甘さに追いつく。
やわらかめに煮上げた甘納豆、という加減の栗あんは実にまったり。
そののどかさにおいて、自家製酵母の生地と響き合っている。

荻原さんのパン作りに、フランスという体験はどのように生きているのか。

「(勤務していたパン屋さんの最寄りの)駅前にドミニク・サブロンができて、少しお客さんがそっちに流れましたね。
でも、常連さんは、ずっと気に入ったところでしか買わない。
同じものしか買わない。
新作が出ても手を出さない。
パンのできがよくないときには『今日はよくない』と言うし、翌日よければ『今日はいいね』と言ってくれる。
お客さんが育ててくれた。
その経験がすごく大きいです。
生まれたときから、赤ちゃんの歯がためでバゲットを食べてる、その人たちの意見は参考になりましたね。
お客さんがいいパンを知っている」

単にレシピや製法を知ったのではない。
バゲットを主食として育った人たちの感覚を日本人としての感覚に刷り込ませ、内在させていく経験だった。
また、もの作りの次元においても、フランス人のおおらかさは、日本人の几帳面さと対立関係にある。

「料理人が塩を計らずにぱっと入れるように、フランス人は感覚的。
粉の袋を開けてぱっと見たときに、そのとき頭にひらめいたイメージでなにをするか決めたり。
インスピレーションみたいなもの。
決められた製法や枠の中で作るんではなく、もっと広い視野でものを作る感覚がフランスにはある」

教科書にのっている製法に、日本人は忠実、悪く言えば従順すぎるのかもしれない。
だがそれは、フランスそのもののパンをより学ぼうとした結果なのだ。
もっとおおらかで、もっと感覚的であっていい。
パン オ フゥのバゲットにある突出した個性は、そう語っているようだった。

(池田浩明)

JR山手線 五反田駅
03-5420-5404
7:30〜19:30(日曜9:00〜18:00)

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まさこジャム 本日発売!!

まさこジャム
著者/渡邉政子
協力/池田浩明
デザイン/カレラ 庄子結香


内容詳細はこちら




本日から「まさこジャム」が書店に並びます。


著者は、パンの会を主宰し、1人でパンの新聞を発行し続けた愛パン家の渡邉政子さん。
数えてみたら約11年ぶりの著書でした。
パンが好きだとどうなるのか、
パンを食べ続けるとどうなるのか、
パンを中心に生活をするとどうなるのか。
パンを愛する者の最終形態がジャムを通して提示されています。



世の中の流れを気にすることなく
パンとともに超然と生きるまさこさんの隠者的思考がしたためられているかと思えば、
家族情報や元カレ情報などが脈絡なく突然に登場するジャムっぷり。
(まさこさんは自らの個人情報を強制的に知らせる)


普段使っている器やカトラリーを用いて自らスタイリングし写真撮影するジャムっぷり。
(まさこさんは重複を気にせず、お気に入りの皿やテーブルクロスを何度でも登場させる)


"死ぬまでひとつのパンだけで過ごせと言われたら食べたいパン"をもう決めちゃっていて、
しかもそれを平然とコラムに書いちゃっているジャムっぷり。
(まさこさんはもう迷わない/でもパン屋さんでパンを買う時は気分が悪くなるほど迷う)


「最初と最後によくあるさー"はじめに"とか"おわりに"みたいな文章書きたくなーい」と駄々をこねて
「かしわでさんとかDさんが書いたほうが面白いよー」として編集部を驚かせてやまないジャムっぷり。
(まさこさんは久しぶりの著書でもまるで気負わない/結局"おわりに"だけ書いた)


すべてがジャムになり、まさこさんはジャムでしたが、ようやく出来上がりました。とても嬉しいです。
ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。
足りない情報は池田さんやかしわでさんがニギニギしてくれるかな?【D】




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まさこジャム☆マッシュアップ
かしわで



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「まさこジャムは10月17日発売だよ。」






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まさこさんも大好きな高田馬場のバインミー屋さん。
バインミーといくつかのパンしかないんだけど、自分は馬場で一番美味しいパン屋だと思っています。

写真はエビ・アボガドサンド・パクチー大盛り!


もちろんまさこジャムにもパクチーを隠し味に使う「ジャム」あり。

p88の「ハリラ」というネーミングのまさこジャム。
どんなもんか想像つきますか?
よだれが出そうなほど美味しそうなジャムですよ。

まさこさんは優しいから、パクチーが嫌いな人のための代用をちゃんと書いてくれてるけど、
自分はパクチーが大好きで、やさしくもない!



ゆけーーーい!

パクチーマンよ!

隠し味となって、ひとびとを幸せにしてしまえ!!!




まさこジャムは10月17日発売
アマゾンはこちらからどうぞ。
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まさこジャム*チラリズム
7月から3ヶ月間実家の北山へ帰っていた。
もうすぐ発売になる『まさこジャム』の制作活動のため。
って言うとカッコいいけど、どちらかというと東京は暑いから。
案の定、今年の夏の東京はものすごく暑かったらしいねぇ。
めちゃめちゃ暑い中、みんなまともにパンを食べて元気にしているのか心配になりつつ、
「まぁこはこっちに居られて良かったねぇ」
と言うママの声に深くうなずく日々を送っていた。
8月いっぱいで上京する予定も、結局9月にのびのびになった。

7月と8月の前半はマジメに本の制作に励んでいた。
お料理を作って写真を撮って家族と食べる。
たのしかったしおいしかった。
実家へ帰る前、6月から制作活動に入っていて、初夏の東京でもいくつか料理を作っては写真を撮った。
一番はじめはカメラの画素数とやらが足りずに失敗。


これらがその失敗作。
ここではいいけど本には使えなかった。
それでチラリズム。
これはいかにも「ジャム」だけど、
まさこジャムにはもっといろんなジャムが満載。
明後日には発売になるのでおたのしみに〜♫


               ◎ ○ ◎ まさこぱん ◎ ○ ◎

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渡邉政子さん comments(0) trackbacks(0)
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