パンの研究所「パンラボ」。
painlabo.com
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
夜のパン祭り

遠い地平線が消えて、ふかぶかとした夜の闇に心を休める時、
はるか雲海の上を音もなく流れ去る気流は、たゆみない宇宙の営みを告げています。

ジェットストリーーーーーム

皆様の夜間飛行のお供をするパイロットは私、チョーホウ・柏手です。


ちょこくろ.jpg


チョコクロです。

みんな大好き、サンマルク・カフェのチョコクロです。

でも何かが違う。

マスターは言った。

「少し遊んでみました」

え? チョコクロで遊ぶ!? 大の大人が!?
こんな時間に!?(22時すぎ)

マスターは言った。

「こんな時間だから遊ぶんですよ」

私は手に取って、パンを顔にくっつけてみた。
まさこさん直伝のパン呼吸ってやつだ。

ス〜〜ハッ!!?

ワオ!!!!!!!

カールスモーキー!!!!!

マスターは言った。

「チョコクロを軽くスモークしてみました」

スモーク。つまり燻すってやつだ。

マスターはさらに言った。

「ラフロイグのハイボールと合わせてみてください」

IMG_1100.jpg

ラフロイグ。
スコットランドはアイラ島のシングルモルト・スコッチウィスキー。
そのハイボール。

チョコクロをほおばる。
スモーキーな香りがクロワッサンとチョコに溶け込んでいる。
みんな大好きチョコクロが、
夜のチョコクロに変わっている。

そして一口、ハイボール。

口の中に残留してるスモーキーなチョコクロの豊潤をラフロイグの独特な芳醇(スモーキー)で…………

ジェットストリーーーーーム!!!

NOOOOO!!!!!!!
ただ進む。ハイボールが進む!!!
止まらなくなる。

誰か止めて〜〜〜〜〜!!!!

マスターはニヤっとした。

「バーですから、おつまみはあくまでもお酒をおいしくさせてくれないと」
「でも本当にハイボールに合うでしょう。」

スコッチに燻したチョコクロ!
なんたる高揚!
なんたる遊び心!
これぞフェスだ!

夜のパン祭りだ!

22時からのスコッチ&ブレッド。


3杯ほどおかわりをして、
最後にマスターに尋ねた。

もっと夜のパン祭りしたいんですけど……


(ニヤリ)
「別のパンでも遊んでみますか?」


遊ばせてください。

「用意しときますよ」


つづく。




パン・トリップ comments(2) trackbacks(0)
カンパーニュとはうなぎのたれのようなもの
唐突ですが、池田さんが

真っ赤なダウンの先輩ことナカムラです。
パンラボをお手伝いさせていただくことになりました。
よろしくお願いします。

まずは修行と言ったらなんですが、
パンラボというものを体験してみようじゃないか…というわけで、
この講座を見学させていただくことに。

さて、この日のパンは「カンパーニュ」。





名だたる名店の4種類のカンパーニュを参加者の方々にまじって、
眺め、嗅ぎ、噛み締め、池田さんの語りに耳を傾ける。


カンパーニュの自家製酵母の種はそれぞれのお店が時を継いで育てている。

まさしくうなぎのたれ(パンよりも好きな物があるとするなら、それはうなぎである)や、
蔵本が作る日本酒のようなものである。

酵母を仕込む部屋に菌が満ちてその店のパンは次第に美味しさを増す。

いわゆる「もやしもん」の世界。

などなど。

パンとはかくも奥深きものであったか。

なんて感銘を受けたりもしたけれど、
「おいおい、このやたらと美味しいダンディゾンて店、
うちから自転車で行ける距離じゃないか、じゅるり」
といったようなパン欲の方が頭の大部分を占めていた気がする。

1時間半のパンラボはあっという間に終わっていた。

全3回のうち今回が2回目ですが、
3回目からでも参加可能だそうです。

次回は3月13日。
テコナベーグルワークスの高橋雅子さんが
スペシャルゲストとしていらっしゃるとか。

……ベーグルも大好きです。

【ナカムラ】

ナカムラ comments(7) trackbacks(0)
旅ベーグル(千駄木)
175軒目(東京の200軒を巡る冒険)

ランプをこすると、中から魔神が現れ、夢をかなえてくれるように。
ひと口齧れば、遠い外国へ連れて行ってくれる。
そんなベーグルがあったとしたら。

旅ベーグルのデュカ(200円)はそれにもっとも近い。
漂いだすクミンの香りを嗅ぐと、熱く、熟んだ中東の空気へ連想がつながっていく。
市場に満ちるミントの香り、水パイプの香り、ラム肉の焼けた匂いが入り混じったような。
つれて、迷路のような町を行き交う、カラフルな民族衣装を着た大勢の人びとや、たくさんの果物や野菜が売られたバザールのことが想像されてくる。

「このベーグルを作ったのは、デュカ(中東のスパイスミックス)をおみやげにいただいたのがきっかけです。
現地の人は、オリーブオイルにデュカを入れて、パンをつけて食べるらしいんですよ。
それを単純にベーグルの中に混ぜただけ。
そしたら僕の好みの味だったので、これはいいやと。
いろんな国のベーグルを妄想で作ってます。
たとえば、北欧の漁師がポケットに入れてそうなベーグルとか。
北欧のクッキーってシナモンとかキャラウェイシードとかオレンジピールとか入ってるし、ライ麦もとれるよな、と作ったのが「北欧」というベーグル。
北欧なんて行ったことないのに想像して」

旅ベーグルの松村純也さんの、印象に残った旅の思い出。
「旅は好きですね。
カリフォルニアではいつもアクメブレッドの向かいのモーテルに泊まります。
朝、アクメブレッドでパンを買って、ホテルでコーヒーを入れて、食べる。
アクメのパンは本当にうまいですよ。
旅行者として行っても、わりと受け入れてくれるところがあって。
日本からわざわざきたのがうれしいみたいで、覚えててくれて、『よくきてくれたね』。
地元の人と並んで食べる。
そこでまるで暮らしてるような気分になる。
それが楽しくて。
実際、そういうのがやりたいなと思って、ベーグル屋をはじめたんで」

朝。
新鮮な空気に心が引き締まるような感じや、風景をうつくしいものに変える混じりけのない光線は、ふとした弾みに旅人だったときの感触を思い起こさせないでもない。
松村さんにとって朝は大事なものだ。
それは世界中のあらゆる朝とつながっていて、また地元の人びとに深く寄り添える時間帯でもある。

「朝のお客さんはほとんど地元の人です。
だいたいみんなつっかけでくる。
遠くから夜行バスできて、そのままうちにきてくれる人もいるし。
中には、いつもお昼過ぎにきてくれる人なんかだと、朝きたときはノーメークなんでわからない(笑)。
お昼ごはん用に、会社に行く途中で買ってってくれたり。
朝、店を開ける時間だけは守っています。
味ではうちよりおいしい店いっぱいあるかもしれませんが、そういうところ(日常)で必要とされるほうがいいかな。
自分も、朝買ったパンをその日の昼食べてまたがんばろうと思うことがありますし」

プレイン(150円)
ぽわんとした弾力がやさしい。
にゅるにゅると溶けていく。
クリーミーに、濃厚に。
かわいらしい甘さ、クリーム色を感じさせるなつかしいような小麦の味わい。
発酵の香り、ほんの少しの足りない感じや、全粒粉による野性も混ぜ合わされている。

市販の天然酵母(白神こだま酵母)を使いながら、そこに合わせたのが国産小麦だけではなく、北アメリカの強力粉なのは、ニューヨークで発展したこのパンにふさわしいことだと思う。
スペルト小麦(小麦の原生種)も加えられているせいか、味わいの豊かさ、底力も感じられる。

散歩の町として知られる、「谷・根・千」。
根津と千駄木のあいだ、古くは川だったという曲がりくねった道、「蛇道」に旅ベーグルはある。
木造の建物がつづく路地にある小さな白い店舗。
松村さんがこの場所を見た瞬間からアイデアが広がり出した。

「会社勤めをしていて、もういいんじゃないかって。
自分でなにかをやりたいな。
もともとここらへんに住んでいたんですが、散歩中にこの物件が空いているのを見つけた。
なにかをやるとしたら、朝ごはんを出せるのがいいね、と思った。
でも、パン屋になるには、いろいろなパンを焼けなきゃいけない。
修行することとか設備とか考えたら、現実的にむずかしい。
旅先でベーグルは食べていたんですが、当時ベーグル屋はまだ日本でそこまで広まってなかった。
マルイチベーグルさんがおいしいのは知っていたんですが、離れているからちょうどよかったです(笑)。
ああいうのとはちがって、もうちょっとやわらかいのにしよう。
かといってなにもできるわけじゃないし」

(店内の壁でイラストレーター落合恵さんの展覧会が開かれていた)

ベーグル屋になるために、まずはじめたこと。
ベーグル屋で修行することでも、パン教室に通うことでもなかった。
いきなり宣言した。

「とにかく『僕はベーグル屋になる』と言いました。
自分でブログを作って、自作したベーグルの写真を毎日アップしてた。
ベーグルを作ったことなかったので、最初はとにかくまずかったですね(笑)。
それでパンを作ってる人のブログを見て、おいしそうだと思ったらコメント欄に『おいしそうですね。教えてほしいんですけど』と書いた。
そしたら、やっぱりほめてもらうとうれしいじゃないですか。
訊いたことなんでも説明してくれる。
50人ぐらい、会ったことのない知り合いができて。
ベーグル屋を開くって、みんな冗談だと思っていたんでしょうね。
『物件、借ります』ってブログで書いたら、びっくりしながらもよろこんでくれて、すごく興味を示してくれた。
みんな自分のブログで、『私が教えた子が』と紹介してくれて、その日はすごいアクセス数だった。
開店した日もものすごくお客さんがきてくれた。
ラッキーなはじまりでした。
ブログで知り合いになった人もきてくれて、『ニャン平太です』とか『いちごちゃんです』って感じで店に入ってくる(笑)。
はかりをもらったり、みなさんにいろんなことをしていただきました」

見えないつながりを見つけだし、束ねる。
作る技術がなかったことを逆手に取る。
ウィキペディアのように善意を寄せ集め、プロジェクトに仕立てた。
それがより活きるのは、根津・千駄木という、コミュニティがいまだ色濃く残る地域に、寄り添っているからだ。

「ここらへんはお年寄りの方が半分ぐらい。
最初は普通に作ってたら、『硬いよ』と言われた。
『すいません。うちのは硬いんですよ』
それで通すこともできたんですけど、やわらかくしていきました。
『古いの出してるでしょ。そんな商売しちゃ駄目』
と言われたこともある。
すごくショックで。
やわらかくなる方法を模索していきました。
焼き時間、茹で時間を調整して、できるようになりました。
『もっとごはんみたいなの焼いて』
と言う人がいて、大根の葉っぱを入れたのを作った。
大根が好きな人がいて、『葉っぱが余るのよね』ともってきてくれる(笑)。
こっそりクミンを入れたら、『ちょっと刺激的なの入ってたわよ』とよろこんでくれました」

私は、ベーグルは、おしゃれで、いま流行な食べ物だと思っていた。
それは、旅ベーグルにも、ベーグルそのものにとっても失礼なことだった。
この食事パンはおそらく数百年以上の歴史を持つ。
食卓や、あるいは持ち運びやすい携帯食として、日常生活に根ざしてきたはずなのである。
観光客や散歩者のためではなく、地域の朝ごはんとして位置づけたのは、むしろベーグルという食べ物本来の姿だった。

「僕自身、修行もしてないし、経験がないもんですから、それを逆にいいように考えて。
ポリシーはあるけど、我は出さないようにしよう。
お客さんのおいしいと思うものにしようと。
我を通す人が職人。
僕はおいしいと言ってもらえるように、自分をどんどん変えていこう。
もっと融通がきくお店でいたい。
親密なお客さんが多いですね。
同じ町内だし、そういう人に『運動会に20個持ってきてよ』とか言われたら、行くしかないですよね」

修行をしていない、職人ではないと、謙遜しながら、ベーグル一本にかける心意気は半端ではない。
「集中して、気持ちをこめて。
愛をこめて。
僕は酵母を抱きしめて寝てるんで(笑)」

大根の葉&白ごま&クミン
なつかしさと新しさが微妙にまとわりあう。
酵母の香り、大根の香り、クミンの香り、ゴマの香ばしさがバランスよく。
すっとしていながら、あたたかく、馴染み深い。
土着でありながら、エキゾチック。
大根の葉っぱという、もっともよそ行きでない食べ物が、異国の装いのもとに登場する不思議。
だからこそ、旅なのだと思う。
世界の果てまで行っても、そこにも本質的には私たちとそうは変わらない人生がやはりあることを確認することが、旅の目的かもしれないのだから。
松村さんが、バークレーではアクメブレッドでいつも朝食を食べるように。

「ベーグルはつかみどころのない食べ物。
茹でて焼いたらベーグルだと僕は思っています。
いろんな形があっていい」

中東で生まれたベーグルはニューヨークへ旅をした。
ここ千駄木にたどりついて下町のおばあさんの口に合うようにアレンジされても、ベーグルであることは少しも変わらない。
ある意味、おしゃれなベーグル以上に、ベーグルらしくなっていることに驚く。
大事なことは誰かに食べられて、おいしいと言ってもらうことなのだから。

東京メトロ千代田線 千駄木駅/根津駅
03-5814-3772
7:00〜売切れ次第、12:30〜売切れ次第閉店
月曜火曜金曜休み(祝日営業)



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#175
200(東京メトロ千代田線) comments(0) trackbacks(0)
つつみのことわり
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ザギン! 

ギンギン!

今週から始まった山口さんの個展"つつみのことわり伊勢貞丈「包之記」の研究"行ってきた。


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会場レイアウトを手がけた家具デザイナー小泉誠さんとのトークショー
折形研究所のはじまりの話や竹を使った道具の話は特に面白く聞き入った。


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ここでいう"つつみ"とも"ことわり"とも微妙に関係は無いが、
こんなことになったクリームパンを発見。


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思わず手に取ってまじまじと見る。

「クリームパンが…つつまれている…(なんか四角いものに)」

見た瞬間に誰もがそう思うはずの誰もが手にする理由となるはずの四角い部分についての言及を
あえて避けたかのようにパンの名前は"カスタードクリームのパン"と凡庸。

「いえいえ、そんなたいしたことでもないんですよ。バニラシード入りのカスタードクリームを
包み、ケーキ生地をかぶせて焼き上げたクリームパンでしかありませんから、タハハ」
という声がどこからともなく聞こえてクル…。


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メーカーによっては"クリーム的なものがテラはみ出しパン"
などとふざけてもおかしくないビジュアル。

ファミリーマートのこだわりパン工房シリーズはほっこり方向だからそんなことしないんだね。
味は名前に誠実にカスタードクリームのパンだった。【D】


パンラボ comments(0) trackbacks(0)
パンの漫画51 『シュトーレン』

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パンの漫画1 『パンと金持ち』
パンの漫画2 『クロワッサン』
パンの漫画3 『朝にパン』
パンの漫画4 『こがす』
パンの漫画5 『ガレット』
パンの漫画6 『罪悪感』
パンの漫画7 『ながら食べ』
パンの漫画8 『買いすぎる』
パンの漫画9 『先祖とフォカッチャ』
パンの漫画10 『VIRONで朝食1』
パンの漫画11 『VIRONで朝食2』
パンの漫画12 『こんがり』
パンの漫画13 『緊張』
パンの漫画14 『花巻』
パンの漫画15 『禁止令』
パンの漫画16 『シベリア』
パンの漫画17 『風紀』
パンの漫画18 『張り込み』
パンの漫画19 『タイミング』
パンの漫画20 『パン』
パンの漫画21 『張り込み2』
パンの漫画22 『太田原くん』
パンの漫画23 『映画館』
パンの漫画24 『見栄』
パンの漫画25 『公開パンラボ』
パンの漫画26 『話し』
パンの漫画27 『護送』
パンの漫画28 『漫画家フード』
パンの漫画29 『発売します』
パンの漫画30 『無題』
パンの漫画31 『張り込み』

パンの漫画32 『あるパン屋にまつわる物語』
パンの漫画33 『喫茶店』

パンの漫画34 『ハニートースト』
パンの漫画35 『3色パン』

パンの漫画36 『グルテン』

パンの漫画37 『新築祝い』
パンの漫画38 『お土産』

パンの漫画39 『朝の散歩』

堀さん深夜ラジオ出演したらしい
パンの漫画 comments(1) trackbacks(0)
200軒をめぐらなかった冒険
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200軒をめぐる冒険と題し、
首都圏を中心に美味しいパン屋さんをめぐっている人物:池田浩明さん。

遊具をパンと見立てて「パンの中に住む男やってみよう!」と一人でやっている写真。
左奥のベンチに座る2人の少年が「え…」という顔してすごい見てた。


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実は荻窪駅前のビルの屋上。

200軒をめぐる冒険に対して、
1軒もめぐっていない漫画家の堀道広さんとともに"200軒をめぐらなかった冒険"をした。

美味しいパン屋さんでパンを買うとすぐ食べたくなる
しかし都会には人の目が多く、心置きなく買い食いをする場所が少ない
公園以外で、もっとあるはずだ! 探そう!

という意図で、パンを食べる場所について考えるという企画である。
今回は中央線沿線を中心に動いた。


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池田さんと堀さんとが集う取材は約1年ぶり。

前回は単行本『パンラボ』にも収録されている"境界線上のパン屋"だったね。
境界線上のパン屋(前編)→
境界線上のパン屋(後編)→

取材以外でも何度も会っているにもかかわらずリスペクトのし合いが過ぎて、
いつもどこかよそよそしい2人(この距離感…この距離感…)。

分かったこと:
・堀さんは池田さんのパンについての文章を書写した紙を持ち歩くくらいリスペクトが凄い


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なのに井の頭公園のボートに乗る展開。

堀さんが漕ぎ手となり、池の中央部を目指して漕ぐ。
(池田さんは無言)
しばらくして堀さんが「漕いでいると食べられませんね」と大事なことに気づき、
漕ぐのを止めて皆でパンを食べた。
寒すぎたせいか誰も「美味しい」などパンについての感想を口に出すこと無く、
心の中に留めていたようだった。

分かったこと:
・ボートは最大3人乗れる
・堀さんはボートを漕ぐのが上手い
・池の上は寒く、中央部はより寒い


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荻窪の商店街での2人。


"200軒をめぐらなかった冒険"で訪ねた4軒のパン屋さんと4つの場所は
(アカウントを持たない人でも見られるヨ)

誌面では堀さん視点のイラストと、池田さん視点の文章が合わさった
ボディ感のあるラグジュアリーなページ構成となっています。必見。
【D】




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(全国のコンビニエンスストアでどうぞ)
パンラボ comments(4) trackbacks(0)
唐辛子のせ
南青山にあるL'ASというレストラン。

料理に添えられていたフランス産七味唐辛子を
パンの上にもぱらぱらふって食べてみたら美味しかった。

唐辛子パンはあまり見たことが無いけど
チョコレートと合いそう(適当)。
【D】


パンラボ comments(0) trackbacks(0)
しげくに屋55ベーカリー(武蔵境)
174軒目(東京の200軒を巡る冒険)

パンを成形しながら、青木哲夫さんが呟く。
「外から見られながらやるのおもしろいな」
しげくに屋は角地にあって、作業台は路地に開いた窓に面している。
道ゆく人が作業を見やり、青木さんも見送る。
知っている人がいれば挨拶を交わす。
パン職人として、地域の人たちとつながっている感覚を、こんなにリアルに得られるパン屋は意外と珍しいのではないだろうか。

「1回は差別化しようと思って、ベーグルとハード系のみにしたけど、お客さんに『あんぱんないの?』ってよく訊かれるもんで、町の普通のパン屋さんにまたなってましたね。
自家炊きのあんこやクリームを使ったパンだから、よろこんでもらっていたんでしょうね」

商店街のなつかしいパン屋のようなたたずまい。
いま流行のパンへの憧れもあるし、作り方も知っている。
それでもあんぱんやクリームパンを作るし、フランス産小麦のバゲットも、自家製酵母のパンも、ベーグルも置いている。
ブーランジュリーで、ベーグル屋で、町パン屋。
不思議な折衷ぶりが、しげくに屋の魅力である。

「大学卒業後、手に職をつけたくてパン屋に勤め、休みの日にはパン屋巡りをしていました。
たまプラーザ、パンペルデュのクロワッサンを食べたときは衝撃でしたよね。
どうやったらこんなにおいしいクロワッサン作れるんだろう。
パンペルデュの淺野正己さん・井出則一さん(デュヌラルテなどをプロデュース)は尊敬する人です。
その後、パンペルデュに募集が出たとき、応募しました。
面接でクロワッサンの作り方を聞いて、『こんなにバター使っていいのか?』と思い、『普通の食パン、あんぱん作りたいんで』って、お断りさせてもらいました。
そのとき断らないで、やってればよかったって考えたこともあったけど、あのクロワッサンの記憶がずっと頭にあったから、ここまでやってこれたのかな。
バターが120%のブリオサンや。
アルトファゴスの志賀さんのパンも衝撃を受けました。
そういうの食べて、どうやって作るのか、考えるのが楽しい」

青木哲夫さんの記憶に残るパンがある。
現実にどうだったかは確かめようがなく、時が経つごとに記憶はすばらしいものになり、永遠に追いつけない神聖なものとなる。
それが、目標となり、夢となって、職人仕事を支えている。
町パン屋としてあんぱんを作りながら、一方で淺野・井出・志賀といったパンの革新者も視野に置く。
行き過ぎないが、平凡じゃない。
それが、しげくに屋の独特さである。

フランス産小麦の熟成レトロバゲット(300円)
皮の食感がすばらしかった。
乾いた落ち葉を踏むような、ざっという音がして、皮が一度にばりばりと砕け散る。
強く焼かれているせいで、皮は苦みを含んでいて、水分は完全に飛んで、強い甘さになっている。
中身も軽やか。
溶け際に残す、皮の強さにやや隠れがちであるが、バターに似たさわやかな甘さが印象的である。

「気泡がぼこぼこで、水分が多くて、甘みがあって、香りがあってっていう、いまどきのバゲットを以前は作っていたんですけど、疑問が湧いてきた。
それでいいのかなって。
いまはスタンダードなバゲットになりました。
パンを作っていて、いろんな疑問が出てくる。
たとえば、長時間発酵って本当にうまいのかな?
いくつもあって。
答えを探して、疑問をひとつひとつ潰して、解決していってる途中です」

自家製酵母パン ミルクフランス(210円)
引きがなく、ざっくりした歯切れで、ばりばり割れる。
ソフトフランスでもバゲットでもなく、全粒粉入りのハードパンを持ってきているところがユニーク。
自家製の練乳入りミルククリームは、ココナッツアイスクリームにそっくりなところに萌える。
硬めに作られたそれは、たっぷりと盛り上げて塗られ、濃厚な甘さに口の中がひりひりするのに、食べれば食べるほど、もっと欲しくなる。
よく焼けたパンの乾きにクリームが滲み、強い甘さがリーンなパンにかえって好相性。

店に並ぶパンのうちベーグル率の高さにそそられる。
ちょっとしたベーグル専門店並みの品揃え。
「むっちり」と「もっちり」という2種の基本生地。
アールグレイやホワイトチョコやドライレモンや塩豆など、ツボを突く具材が混ぜ込まれている。

「ベーグラーの方に受けそうなものを作れたらいいな。
そう思ってベーグル専門店なんかでいろんなもの食べても、うーん、自分には合わない。
自分が食べれて、自分がおいしいなと思うベーグル作ろうとしたのがはじまりです。
うちはパン屋なんでちゃんと発酵したのを作ろうか。
最初はイーストだけで作ったり、自家製酵母だけで作ったり、ストレート法で作ったりいろいろ試してみました。
いまは3日間かけて作ってます。
ベーグルは口の中に残りがち。
それがいやだから生地を2日置いてみたら、口溶けがいいし、香りもよくなった。
中種1日、翌日本捏ね、成形してからまた1日置いています。
最終的には茹でて焼くんで、そこで自家製酵母だけだと酸味が出る。
ごく少量、市販の酵母もプラスしてそうならないように。
うちはパン屋のベーグルです」

ベーグル専門店はベーグルを食べるぞ、という気合い、あるいは心構えで行く。
しげくに屋のベーグルは普通にお腹が空いてパンを食べる気持ちで食べられる。
よく熟して、きちんと味わいがある。
ベーグルの世界観を共有しているからおいしいのではなく、普通においしい。

もっちりベーグル 赤えんどうの塩豆(260円)
ベーグルと本格ハード系の中間という独自の境地は、男のベーグル。
皮はよく焼けてハード。
中身の引きも強く、簡単には噛み切らせてもらえず、硬い芯を噛みしめねばならない。
噛むごとに様相は変わってくる。
小麦のそれよりもよりうっすらとほのかな、米の甘さを滲みださせるせいで、噛みごたえ、歯にくっつく感じ、皮の香ばしさとあいまって、かき餅と錯覚させる。(「もっちりベーグル」は米粉入り)
そして、これは豆パンの新展開でもある。
塩豆だけをシンプルに入れて。
塩気は生地に働いて、先述のうっすらとした甘さを、濃厚さへと急旋回させる。

青木哲夫さんは被災地でパンを売っている。
パンになにができるか、自分になにができるのかを問う、挑戦であり、冒険である。

「うちは(移動販売用の)車があるから、その車で被災地にパンを売りに行っています。
石巻のものを売る支援を行っているボランティアさんと話をした際、被災地は店がないと聞いて。
そういうところを回ろうかな。
2ヶ月に、3ヶ月に1回が精一杯ですが。
『来てくれてありがとう』と言ってもらえる。
これも支援のひとつの形かなと思えるようになりました。
安く売るわけでも、ボランティアをするわけでもないですが。
それを承知で買ってくれる人がいる」
 
行ってみなくてはわからない。
なにが望まれているのか、なにが必要とされているのか。
被災地の人と同じ目線に立ちたい。
その場に立つからこそ、見えてくるものが、わかってくることがある。

「『たいへんね』と言われるんじゃなくて、隣の町からパン売りにきたよぐらいの気持ちで受け入れてもらえればいいんですけど。
そのほうが相手にとっても、自分も、気持ちが楽だし。
被災地に行きはじめていちばん最初に出会った、石巻のお味噌屋さん『山形屋商店』には必ず寄ります。
いまは他のお味噌屋さんに自社ブランドの製品を作ってもらってるみたいなんですけど、工場を立て直すには大きな資金が必要なので、なかなか立ち上がることができない。
うちの車の空いたスペースに山形屋商店さんの味噌やしょうゆも置いて、売っています。
山形屋さんも昔は車で売ってたそうで、車に味噌積んでたら、それを見た人がすぐに『あ、山形屋さんだ』と。
味噌は10キロ根こそぎ売れたが、パンは1斤しか売れませんでした(笑)。
『味噌売れましたよ』って言ったら、
『すごいねー』って笑って、やる気を出してくれました。
被災地だと売れないので東京を回っているそうですが、地元でもこれだけ需要があるんだと、改めてわかったと言ってましたね」
 
自分が必ず役に立てるなどとは到底思えず、半信半疑で行く。
行ってみれば、出会いは必ずあるものだ。
予期せぬことが起こり、会話が生まれ、心が通じ合う。

「最初は仮設だけまわっていたんですけど、それだと差別になるので、復興市場も出させてもらったり。
売るのに必死でそんなに話もできませんでしたが、だんだん話せるようになってきました。
なにができるのかといったら、なにもできない。
ただ、話を聞くしかない。
たわいもないことで、わいわいがやがや。
それが少しでもプラスになるのなら」

青木さんはボランティアとしてパンを配っているのではなく、パンを売っている。
儲けは出ないが、利益があれば、その分お菓子などを寄付する。

「『パン、ただじゃないんだ』って言われることもあります。
ボランティアさんによると、
『これからのことを考えると、お金を出して買うものだと自覚する、そこからはじめないといけない。売りに来てくれることも大切』だと。
子供なんかみんなもらえるものだと思っている。
これから先、ずっともらいつづけるわけにはいかないですからね。
『ありがとうございました』とみんなに言われる。
自分が本当は言うほうなのに。
ありがたいし、申し訳ないし」

「ありがとう」がありがたい。
それは、被災地に行った者の実感としてある。
役に立てるかどうかは、常に手探りである。
「ありがとう」と言ってもらえるかどうか、それが道しるべなのだ。
自分自身からも「ありがとう」という言葉が自然に口をついている。
与えるよりもっと多くを、被災地で得ていると思う。
 
「車の扉を開けたら、いっぱいにパンがあるようにもっていきます。
『うわーっ』て、買ってくれる。
昼まではお店の分を作って、それから8時ぐらいまでまたパンを焼いて、そこから包装、それから車で高速を走らせて持っていきます。
以前はスタッフに販売をやってもらって、自分は作るだけで脇から見ていましたけど、自分が売らないとだめですね。
自分が話したいし。
作るだけじゃなくて、お客さんの口に入るまで。
楽しいですね。
走って戻ってきて、『おいしかったからまたください』って買ってくれる人がいたり。
予約をしてくれたり、わざわざ隣の仮設からきてくれたり。
『遅い! パンが少ない!』って怒ってたおばちゃんが、『来てくれてありがとう』と言ってくれた。
1回目は『すいませーん』だけだったのが、2回目は『前に来てたでしょ』、3回目には会話ができてたり。
ありがたいことですね。
パンを通して話ができたらおもしろい」

パンの力。
言葉の力、笑顔の力、やさしさの力。
臭い、恥ずかしい、ダサイと思っていた価値が、あの場所では必要とされている。
それを体験し、確認することは、被災地に行った者にとって日常を生きる勇気となるのだ。
被災地で生まれた、人とのつながりをうれしそうに語る青木さんの表情が、それを物語っていた。

JR中央線・西武多摩川線 武蔵境駅
0422-34-1281
10:00〜19:00
日曜水曜休み

青山Farmer's Marketに毎週土日出店
・表参道駅近くの246COMMONでも販売

#174



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goes to j-wave!



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六本木ヒルズのj-waveです。

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レディーー

ゴーーーー!!!

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ムッシュ meets Mr.別所哲也

本日、朝8時30分頃から生放送ではじまったパントーク。
別所さんが朝からハイテンションであることは
日頃よりTOKYO MORNING RADIOリスナーである自分(柏手)にはごく自然だけれども、
今日はいつも以上にハイテンションに思えた。

スタッフの方の話では別所さんはパンが大好きで、
今日の企画「朝のパン祭り」にノリノリだったのだとか。

おっとー!
ならば今日のムッシュとのトークはとても面白いのではないか?
と直感的に思った。

理由は、主宰池田浩明も喋りの波に乗るとテンション振り切り系だからだ。

案の定,主宰はのっけから、
ダンディゾンのバゲットにひっくり返った話をひっくり返るようなテンションでまくしたてた。(最近食べたパンの話を振られて)
それは、皮が甘い。中も甘い。起承転結のあるバゲットだった! 
で、ひっくり返った!!!!!!!!!!!!! と池田。

パンに起承転結!!!!!!!? ワオ!!!!!!!!!!!! と別所さん。

テンションは完全にシンクロ!!!!!

イエーーーーー!!!!!!!


二人して、パンを頬張る光景。

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別所さんオススメのパリパリしたパン(長野ベーカリーの明太フランス)や、
サクサクしたパンなどを頬張り、
小山薫堂さんオススメのチャイナ・メロンパンを頬張りつつ、
リスナー・オススメのZopfのパンの素晴らしさや、
シニフィアン・シニフィエのパンの気高さなどを別所さんに紹介するムッシュ。

短い時間でしたが、パン好き男二人の会話は濃密で、
噛み締めるほど味わい深いハード系のパンを食べているかのようなトークだった気がします。

最後にパンとは? の質問に、
コミュニケーションと応えるムッシュが印象的でした。


そういえば、東京のパン屋さんはJ-WAVEリスナーが多いという話をしてなかった気がします。次回にぜひ(次回があるといいね)。

パンラボ本はもちろん別所さんに貰っていただきました。







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TOKYO MORNING RADIOに主宰が生出演!!
かしわで


明日(木曜日)、朝8時30分頃から、
ムッシュがJ−WAVEに生出演します!!

番組名はTOKYO MORNING RADIO!! 

司会進行、いやナビゲーターは別所哲也ーーーー!!わーーーー!!

この番組は朝6時〜9時までの放送ですが、
出演コーナーはMORNING LOUNGE!!
それがだいたい8時30分頃!!

なぜ!! いちいち「!!」で書いてしまっているのか!?
それは自分が毎朝聴いてる番組だからーー!!わーーーー!!
(だいたい8時20分〜9時まで聴く派!!理由はその時間が起床時間だから!!)

自分が毎朝聴いてる番組に知り合いが出演する!!うひょー!!

何を話すのだあろう!?

パンの話に決まってるかぁーー!!

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