パンの研究所「パンラボ」。
painlabo.com
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
ぱんとたまねぎ、林舞さんのワークショップ
こういう仕事をしている手前、
デザインという作業をしてみたりするわけで、
世の中のデザインにはそれなりに目を向けています。

まあ、あわよくばパクろう…否、
オマージュしてやろうという下心があるんですが、
ときどき、
「これだけは、逆立ちしてもマネできねぇ!」
というデザインがあったりします。

「ぱんとたまねぎ」というフリーペーパーを発行している
林舞さんも、そんなデザインをする人です。

パンラボでもお世話になっていて、
以前パンラボとぱんとたまねぎの無料配布用コラボ小冊子を作りました。


おしゃれなこと、この上ないわけですが、特筆すべきは
遊び心のあるこんなイラストだったり(イラストレーターでもあります)。




さらにはデジタルではこの味は出ない、
書体へのこだわりだったり。


こういったものがひとつにまとまり、
なんともい良い空気感のものが出来上がっています。


そんな、ぱんとたまねぎの林舞さんが、
8月25日の「あいおい古本まつり(東京・月島)」で
フリーペーパーのワークショップを行うそうです。

詳しくはコチラ→ ぱんとたまねぎブログ

いいな〜いいな〜。
自分の好きなパンの写真を持って行って、
自分だけのフリーペーパーを作っちゃおう!
という素敵な企画。

ご興味がある方は是非。

【ナカムラ】



ナカムラ comments(1) trackbacks(0)
クロワッサンで朝食を、カニパンでバーベキューを。その1

クロワッサンで朝食を

という映画がシネスイッチ銀座で公開されている。
パン関係の末席に、いや末席どころか大向こうでピーチクパーチクしてるだけの自分だけど、
このタイトルを目にしたら居ても立っても居られなくなり、
映画を観戦してみようと思い立ち、銀座へ向かった。

主演・ジャンヌ・モロー(1928年)

日本でいうと誰に相当するのだろう。
吉永さゆり(1945年)? 黒柳徹子(1933年)?
え? どっちも違う? 特に黒柳徹子は違う? あちゃー!徹子さんは自信あったのに…


パリの高級アパートで寂しく一人で暮らす気難しい老女と
エストニアからその老女の家政婦としてやってくる女性とのヒューマンドラマらしい。
予告に「スーパーのクロワッサンなど食えっか!」的な表現で家政婦を罵倒するシーンがあった。
おそらくきっといい話だ。うむ、間違いない!

あまちゃんだって夏ばっぱと春子の関係は修復不可能と思わせておいて、雪解けしながら進行している。

タランテェーノ最高!
バッドマン、ヒャッホー!
ロバート・ダウニー・ジュニア、イエース!
スティーブ・ブシェミ、最近観てないな〜!

なんつってる自分とは別ステージの、別次元の映画のような気がしないでもないけれど、
ジャンヌ・モローだし、死刑台のエレベーターだし、クロワッサンだしと思ってザギンに、
シネスイッチしに向かったわけだ。

だがシネスイッチに着いてじぇじぇった。
平日の昼間だというのに行列! うは!(平日とはいえ金曜日だったからかな?)
ジャンヌ・モローの行列! 
正確にはジャンヌ世代(アラ・シックス〜アラ・セブン)と思しきマダムの行列でじぇじぇじぇじぇ!
自分が小童に思えるほどだ!

同時に「今から並んでいただいても、お立見になります」とのアナウンス!

単館上映とはいえ、
ちょっと見くびっていた。
一旦退却。

というわけで、まだ未見。

「クロワッサンで朝食を」に興味のある方は時間の余裕を持っての参観が必要と思われます。

たとえば、全席指定だから、早めに席を確保して、
銀座木村屋の2Fで、酒種あんぱんセットとともにカフェるとか(一番近いパン屋)、
話題の食パンベーカリーカフェ「セントル」でサンドイッチるとか(競歩で5分くらい)、
そんなプチ・プランも必要か。









カニぱん・ザ・グレート

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どんくらいグレートかというと、

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ネモベーカリーの根本さんにお願いして作っていただきました。

圧巻でしょう。

カニって大きいほうが嬉しいから。
たらばガニみたいなカニパンに出会いたいと思いまして。

ネモベーカリーの美味しさについては、
サッカロマイセスセレビシエのP194にあるとおりです。

つまり、このタラバガニぱんもひじょうに美味しいわけです。
だからカニパン・ザ・グレートと呼んでみたわけです。

この項、つづく。

「クロワッサンで朝食を」を観たら、
ならばこちとら「たらばカニぱんで朝食っす」と映画に返信してやろうと思っていたのでした。

でもまだ映画を観られていないので、

つづく。



ちなみに、自分はこのザ・グレートの第2弾を8月9日に注文してます。
ムフ。ムフムフ


かし
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サッカロマイセスセレビシエ発売記念イベント“P&B”正式決定
チラリ、チラリと紹介してきた真夏の夜のイベントが正式決定しました。

サッカロマイセスセレビシエ発売記念イベント
P&B(パン&ビール!)

8/9 19時30分〜
場所 B&B
チケット申し込みはこちらで→
定価2000円(ワンドリンク&パン付き)

B&Bは今話題の下北沢にあるビールの飲める書店。
そこでは連日連夜ビールを飲みながらのゴクジョーかつゴキゲンなイベントが開催されていて、
そこにパンラボも招待されたというわけです。いよ!

パンラボ主宰・池田浩明とTOLO PAN TOKYOの田中真司さんが
ビールとパンのマリアージュに挑戦、いや挑戦は失礼だな……マリアージュを披露してくれるそうです。
そこでしか食べられない限定のパンをサッカロし、マイセスしながらセレビシエなひとときをすごしてしまおうという魂胆です(要は食べて飲む!もちろんソフトドリンクもあり)。

ちょっと前にも書きましたけれど、
ムッシュ曰く「田中さんは1000の技を持つ職人」で、
その話だけでも相当面白いのだとか。

ここでしか味わえないパンを食べつつ、そこでしか聞けないパンにまつわる話を聞く。
うむ、楽しみだ。

ちなみに当日サッカロマイセスセレビシエを購入された方には、
堀道広画伯の描いてくれたクロックムッシュ氏のポストカードをもれなくプレゼントだとか。うひょ!

うむ、ますます楽しみだ。

しかも堀道広画伯も潜伏予定だとか。ワオ!

どうぞよろしく。





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う〜なぎ
 
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う〜なぎチョコパン

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うなぎいぬみたいだ。

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炒めるを卒業する日
パンに合うお料理に
料理男子(どう考えてもおっさん)こと、わたくしナカムラが挑戦〜〜〜!
いちおう第二回〜〜〜! パチパチパチ〜〜〜!

教科書となるレシピは愛パン家、渡邉政子さんの
信濃毎日新聞の月刊連載(毎月第三土曜日)「主食はパン」。

トライしたのは連載2回目の「生アスパラのサラダ」でございます。


昔カラオケ屋でバイトしていた時に
中華鍋にハマって(ただのソース焼きそばを作るのにむっちゃ鍋あおってました)、
家でも中華鍋を購入。

とりあえず迷ったらなんでもかんでも「炒める」クセがついている自分。
アスパラも最近まで「アスパラー=炒めもの」というミトコンドリアなみの
思考回路で、とりあえず炒めてました。

2年くらいまえにルクエ的なスチームクッカーを手に入れてからは、
クレイジーソルトをかけて(時にカレー粉などもふりかけつつ)
「蒸す」という技(原始的)にハマり、アスパラはもちろん、
なんでもかんでもやたらと蒸しまくってました。

しかし、今回のレシピのポイントは「焼き」。
そうか〜、焼きか〜。
おいしいイタリアンに行くと野菜を焼いただけのプレートみたいなの
出てくることあるけど、そうか〜、家でも焼くのは簡単だな〜。

というわけで、今回のレシピも極めて簡単。
ベースになるサラダはレタス的なもので、
それに焼いたアスパラの穂先をちらし、
半熟タマゴをあしらいます。

アスパラを焼くためのツールはいろいろ。
コンロに網を乗っけても、普通にオーブンでも、
パンを焼くトースターでもオッケー。
この日はアルミホイルに乗せて、クレイジーソルト(馬鹿の一つ覚え)と
コショウを少々ふりかけ、トースターで焼きました。

半熟タマゴもちっちゃいうつわに少しだけ水を入れて
チンすれば簡単にできちゃうんですね
(タマゴも基本、目玉焼きかオムレツにしちゃう系)。


じゃじゃ〜ん! 盛りつけのセンスがイマイチですが、完成〜!
半熟タマゴ、欲を出して2個同時に作ろうとして、微妙に失敗。


この日は冷凍して保存してあったセントルの食パンと
一緒に頂きました(贅沢!)。


いや〜旨いな〜。


ビックリしたのは焼いたアスパラのお味。
ゆでたり蒸したりするのとは、だいぶ味が変わります。
キュッとしまって、アスパラの味がグッと濃くなる感じ。
食感もシャキシャキでゆでるより旨い。

しかも、アスパラを焼いただけで、
なんか一段上のハイソサイエティーな料理に
なった気がするし!

焼き、恐るべし!

ハッキリ言って「焼き」はゆでるより簡単なので、
この日からパスタにアスパラを入れる時も
焼いて乗っけたりと、色々焼きまくり。
新タマネギとか空豆とかも焼いてみたけどいいですね。
料理が立て込んでるときに、コンロを使わず、
トースターでも焼ける…というのもいいですよね。

なんかこう、料理の腕というか、
料理とか料理法のボキャブラリーが原始人なみなので、
一つ料理を作るたびにすごく上達した気分で楽しいです。


連載ペースとは1ヶ月ズレになってしまってますが、
今度はこれにトライしたい。
「ピーマンのぎゅっと煮」。
タネも取らず、丸ごと煮る!?

そうか〜、今度は「煮る」か〜。
「煮る」は滅多にしないなぁ〜。
「煮る」は高等技術だな〜(どんだけ料理原始人)。

【ナカムラ】

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P関係・貴重は8月9日であ〜る。
ちょっと前に記載したサッカロマイセスセレビシエ発売記念サマー・イベントが
8月9日に正式に決定いたしました。

8月9日金曜日19:30〜
下北沢 B&B(←詳細はこちらで。もうすぐアップ)ワンドリンク付き2000円

パンラボ初のビール付きイベント(ソフトドリンクもありっちゃーあり)
ちょっとした夜会だ。

ムッシュ池田浩明とおいしいビールを飲みながら、
TOLO PAN TOKYOの田中さんのパンとその技に舌鼓を打とうではありませんか!
そんな会……

だとずぶんは解釈しております。

なんせムッシュの話では、
田中さんは100の味、100の技を持つパン職人だとか。
もちろんパンはビールにあうパンで、当日かぎりの限定パン!のはず! うひょ!

サッカロマイセスセレビシエを当日お買い上げの方には
クロックムッシュ氏のポストカードもプレゼントという猛暑っぷり! アチィー!
買おうか買うまいか迷っていた方!
イベントに今まで参加したことはなかったけれど、いつも参加しようかしまいか迷っていた方!
どうぞこの機会に。

以上、ちょっと想像を交えながら先行告知してみました。
月日・時間・場所は正確です。想像ではありません。

正式なものはムッシュの解説付きで早々にアップされることでしょう。






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ムッシュに抗議した話
7月13日 土曜日  

TBSラジオ「土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!」にムッシュが出演した。

この番組のホームページの左肩におひさまぱんが飾られているのを見ると、
あ〜パンが好きな人が番組を作っているのかなぁ〜と思えてくる。
ムッシュに聞いたら、そのとおりだそうで、堀尾さんはカレーパンが好きで、番組のプロデューサーさんはパンが好きなんだとか。
渋谷の本屋でサッカロを見つけてくれて、その上でムッシュを呼んでくれたのだとか。
ありがたいことです。

テーマはカレーパン
なるほど!

最後に堀尾さんがサッカロのあとがきを朗読してくれたそうだ。

P464のあとがき。
3段落目の「私は思った。」につづく箇所。

私たちは,なにかを求めて懸命に生きているけれど、自分がなにを求めているか本当には知らない。それが生きることの苦しさであり、裏返しのよろこびにもなる。〜〜〜〜〜〜

特にこの箇所は響くようで、アマゾンのコメントをつけてくれた方も、この部分を引用してくれている(どなたかわかりませんがありがとうございます)。

にしても、堀尾さんが朗読してくれるなんて、
なんともうらやましい!

っていうか、朗読を聴きたかった!!!!
聴きたかったよ!!!!!!!

そう、お察しのとおり、自分はこの放送を聞き逃してしまった!
なぜならムッシュに出演情報を教えてもらえていなかったからだ。
twitterではお知らせが回っていたようだけど、自分、ブログ系なもんで、おまけにちょっと前夜バタバタしてたりして、ツイッテェングを見逃していた。

「いやぁ〜〜。(朗読してもらえて)とても嬉しかったですよ」

ちょっと! おせぇーてよ!

知ってれば聴いていたのに〜〜〜〜〜という方を代表して、ムッシュに抗議しておきました。
twitterをこまめに見ない自分が悪いんですけど。ワハハー。




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nukumuku(中村橋)
183軒目(東京の200軒を巡る冒険)

パン屋に見えないパン屋。
ポップの洪水。
店の表に「パン」とはどこにも書かれていない。
ピンクとブルーの壁、ストライプのひさし、まるっこいアルファベットのロゴ、アメリカの企業の看板をいくつも掲げた外観。
それは、どう見ても、アイスクリーム屋かハンバーガーショップである。
中に入れば、ネオンサインが輝き、ハンバーグラー、ドナルド・マクドナルド、その他、名前も知らない大勢のキャラクターたちに出迎えられる。

「ファーストフード中心に、アメリカの会社のノベルティグッズをコレクションしています。
好きな感じになっている形や見た目のものを集めていくと、自然とこうなっちゃいましたね。
ここは自分が寝泊まりしてもいいぐらいの空間です。
趣味はパン作り、じゃつまらない。
お店のことも常に考えるし、パンを追求するのも大事なんですけど、それプラスなにかやっていたい。
ずーっと店にいてもぜんぜん苦じゃない。
よくぼーっと眺めて、かみさんに怒られます(笑)」

だが…、と少し不思議に思った。
ことパンにかける手間やクオリティに関するなら、nukumukuのそれはマクドナルドのようななファストフード店とは遠くかけ離れる。
にも関わらず、なぜ与儀高志シェフはnukumukuを、あっけらかんとしたアメリカのポップカルチャーで彩ろうとするのか。

与儀さんは、一旦アパレル会社に勤めたあとパン職人になるという、ちょっと変わった経歴の持ち主である。
「食べるのが好きで、カフェまわったり、パン屋まわったりとかをやっていました。
そっちを一生の仕事にしたい。
パン業界は、専門学校を出た即戦力か、経験者しかなかなか入り込めない。
夜間の専門学校に行きながら、青山のドンクで見習いとして働きました。
運良く、基本がみっちりできるところに入れた。
そのあとはミクニの丸の内。
ケーキも料理もやっているところだったんで、いろんなことを学べる機会がありました。
でも、独立したいと思っていたから、個人店で働いてみたい気持ちがあった」

いまはなき名店、中目黒ナイーフの門を叩く。
「衝撃でした。
なんだこの店は、と。
種類、クオリティ、お店づくり。
やっと働きたい店が見つかった。
本格的に修行しました。
製法のこと、材料のことを、奥深いことまで教わった。
厳しいですよ。
谷上さん(谷上正幸シェフ)は、どんなに時間がなくても、『細かいことをしっかりやれ』と。
それをきっちりやるのはたいへんだったけど、『パン作りとは』という部分を教えてもらいました。
プロとしてのパン屋はこういうものだと、仕事の仕方を教わった。
最初は塗り玉(菓子パンの表面に溶き卵を塗ってつやを出すこと)ひとつでも直されました。
刷毛の使い方、生地の丸め方。
ひと通りできている自信はあったのに。
僕はそこで叩きのめされた。
素人に毛の生えたような人間から、プロとしての仕事ができる人間に、変えさせられた。
朝は早いし、夜は遅いし、厳しいですよ」

ドイツ修行を経て、練馬・氷川台のアンジェリーナへ。
作りたい店のイメージと商品構成が一致していたからだ。
「お店やるんだったら、パンだけじゃなく、お総菜、ケーキ、いろんなものを置いてあるお店にしたい。
入ってみて、びっくりしちゃう感じでした。
朝、お菓子を終わらせて、午後から明日のパンを作る」

nukumukuのようにパンだけではなく、まったく方向性のちがう商品を揃えるには、料理全般に関する知識とともに、厳しい時間管理を要求される。
「いろんな店のいいところを消化して、受け継ぐことができた。
恵まれていると思います。
でも、本当に悩みましたね、当時は。
仕事の仕方、段取り」

ナイーフで培ったものとは、1個のパンに心血を注いで芸術作品のようにクオリティを高めていくことだった。
アンジェリーナで求められたのは、多品種を作りきるための、スピードと要領のよさ。
どうやってそれを両立させるべきか、与儀さんは悩んだ。
自分自身の技術をレベルアップさせ、矛盾に折り合いをつけるポイントを見つけ。
その葛藤が、いまの商品構成を可能にする。
パンだけで120〜130アイテムという数は個人店として極めて多品種である。
その上、お菓子も、専門店として成り立つほどの品揃えを誇る。

「焼菓子、生菓子、ケーキ。
クリスマスはホールケーキも焼くし、季節ごとにメニューも変えています。
惣菜は手が足りないので、中村橋にある隠れ家的なレストラン「ヨシヤ」に作ってもらっています」

頭の中に思い描く理想の店を作るには、それだけではまだ足りなかった。
最後の鍵を、志賀勝栄シェフがかって率いていたペルティエに求めた。

「志賀さんのところにも行っています。
あそこのお店に行ってなければ、今の店はなかったし、大きいのかな。
アンジェリーナを辞めた頃には、すぐにでも独立したいという気持ちあったが、志賀さんのバゲットがアルトファゴス(ペルティエの前に志賀さんがシェフを務めていたベーカリーカフェ)の時代から好きだった。
あれを学びたかった。
ひと口食べたときのうまみ。
その当時そういうバゲットはまだぜんぜんなく、衝撃でした。
他のパンもおいしかったし。
自分も店やるときは、こういうの出したいな」

丸いフランスパン(230円)
フランスパンを「スパイシー」と表現しては不適切だろうか。
長時間発酵に特有の熟成香があって、噛むたび豊潤に甘さが滲みだす。
バゲット生地が「ブール」の形で作られていて、たっぷりと中身を食べることができる。
しっとりとして、食感はやや重く、その分ますます味わいに満ちて、ミネラル感も濃厚である。
皮は硬すぎず、しかし噛むごとに、じゅわじゅわと甘さが分厚く湧きあがって、それがすーっと消えていく。

「長時間発酵なんですけど、志賀さんの製法に習いつつ、自分なりの仕上がりにしています。
モンブラン、カナダ、カイザー、香りの濃いのをブレンドしています。
カレーを作るときにスパイスをブレンドするみたいなものです。
窯伸び、うまみ、吸水。
いちばん理想のバゲットに仕上げるために。
焼き上げるまでの工程で自分がいちばんしっくりくるような配合に。
ミキシングしたときに水を吸わないな、甘みが少ないな。
いままでの経験で、これだったら作れるだろうな、とか」
小さな違和感をブレンドで消して、完成度を高めていく。
理想のバゲット生地は、たくさんの思いを収斂させ、作り上げられる。

ヌクムクの名物はクリームパン。
かってホームページでこのパンがくるくる回っていた。
ドームのような型に粉糖をまぶし、中心にアーモンドを差して、まるでベレー帽。
「ひと目見て、『ヌクムクのパンだな』と思ってもらえるようなシンボル的なものが1個ほしい。
いうなれば、マクドナルドの『m』マーク。
見ただけでおいしそうだなと思うような。
クリームパンって子供から大人まで、みんな好きでしょ。
そういうのも含めて、考えました。
かわいらしくて、一目惚れ!的なのを」

クロワッサンシュークリーム(250円)
これはクリーム好きにとっての楽園である。
クロワッサン生地で作ったシュー(あるいはバンズと呼ぶべきか)に切り込みを入れ、カスタードとホイップクリームが、後入れでフレッシュなままたっぷりと注入されている。
つまり、クリームパンとクロワッサンという、nukumukuの2大人気商品がコラボレーションを果たしている。
秀逸なクロワッサンと秀逸なクリームとの出会いは、こんなにも食べ手をふにゃふにゃにさせる。
生地がクリームを吸い込んだ部分、ぱりぱりととろとろが口の中ではじめて混ざりあう部分、バターの香りとカスタードの香りが触れあってくすぐりあう部分。
まるで味覚中枢を掻き回されるかのように身悶えしてしまう。
しかも普通のクリームパン以上に食べ方=味わい方のバリエーションは豊富である。
かぶりつくのもいいし、ふたを外してたっぷりのクリームをすくいとるのもいい。
クリームだけ舐めてみたり、底のかりかりした部分とクリームにもまた別の相性を認めることもできる。
あるいは直接火の当たっていない生地の白い部分の生々しいバター感とのペアリング。
指や口のまわりについたクリームを舌でなめとったり、我知らず下品になりながら、一心不乱に食べ進んでしまう。

「パン業界は店作りを含めまだまだ発想が乏しいと思います。
僕は固定観念がないほうなんで。
ここにしかないパン、それを作るのがいちばん。
どのパンを見ても、うちの商品だなと思われるのが理想。
自分らしさ。
オリジナリティがあって、かつ、きれいな仕事をしたい。
ケーキ屋さんのケーキみたいな華やかさがあって、あとは誰にでも親しまれるものを。
よそにはないようなパン、印象に残るようなパンを作れたらいいな」

じゃがいもと薫塩ベーコン(310円)
フライドポテトがパンにくっついている。
つまり、炭水化物の上に炭水化物。
だが、考えてもみれば、ハンバーガー(パン)にフライドポテトは、ファストフードの定番である。
ベーコンも合わせ、このトライアングルは鉄壁である。
ポテトの塩気とスパイス感がベーコンへとふりかかり、味わいを増幅させる。
あるいは反対に、このベーコンは実に味が強くて、ポテトとパンに挟撃されてなお、旨味を波及させている。
薄いパンは引きのあるハード系生地で、それだけに噛みしめるたび味わい深い。

店に飾られたノベルティグッズで表現される楽しさと、きちんとした仕事で作られる商品のクオリティの高さ。
どちらが欠けても、与儀さんの思い描くnukumukuにはならない。
クロワッサンシュークリームしかり、じゃがいもと薫塩ベーコンしかり。
ストイシズムにポップさをプラスして、マニアだけでなく、誰もが愛するパンに仕上げる。
それが与儀さんの、パンへの思いではないだろうか。

「楽しく仕事がしたい。
だから、こういうお店にしている。
楽しみながらおいしいものを作りたい。
それがいちばん幸せじゃないですか。
昔は、おいしいもののためにはぴりぴりして仕事するのもしょうがないって思ってました。
いまはみんなで楽しんで、おいしいパンを作れればと。
みんなが楽しくなるためには、ひとりひとりがきっちりやらなければ。
It's fun and delicious.
僕の理想です。
でもそこがむずかしい。
スタッフに気を使って、楽しくやったほうがいいのか。
その辺は自分も成長する課題。
独立した当初は師匠と同じく厳しいの当たり前だと思ってた。
でも、それじゃいまの時代つづかないし、自分も楽しくない。
いまはスタッフと楽しみながらやってます」

nukumuku
西武池袋線 中村橋駅
練馬区貫井1-7-25
03-3825-5404
10:00〜19:00
月曜火曜休

#183

200(西武池袋線) comments(2) trackbacks(0)
ちぃ〜らしぃ〜〜
ちぃ〜〜らしぃ〜〜〜〜♪


と来たら、


ずしぃ〜な〜ら〜ば


とついつい口ずさんでしまう方は、
アラフォー世代でしょうか? 

もしくは
すし太郎世代、それも北島のサブちゃんのすし太郎世代。


すいません。特にここから広がりはありません。


チラシです。




DSC_0311.JPG

とても読み応えのあるツィラシです。

DSC_0313.JPG


遅ればせながらできました。

このブログに来てくれる方々には必要ないかもしれません。なんせセッカロマイセスセレビシエの宣材ですから。うは。
でも、もしパン屋さんや本屋さんでこのティラシを見かけたら、どうぞ温かいリアクションをお願いします。

(1枚もらって、お友達にあげるとか、1枚もらって行きつけの居酒屋やカフェのトイレに貼っていただくとか、1枚もらって気になるあの娘のパソコンのキーボードに立て掛けるとか、1枚もらって気になる男子の家の冷蔵庫に磁石貼りするとか。)


どうぞよろしく。


7月13日 職人たちよ! はたいそう好評なようです。まだ間に合います。
8月9日 P関係・貴重 は来週くらいから正式発表できそうです。
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チャレンジドカップ2013 参加者募集
今年で第6回目となる『チャレンジドカップ』(障がいのある方のパン菓子コンテスト)。
11月の決勝大会に向け、8月1日から応募受付がはじまる。
全国の障がい者施設がパンやお菓子作りに取り組んでいる。
チャレンジドカップはそれを支援するための大会。
参加者が切磋琢磨し、一流シェフによる講評を得ることでレベルアップをはかる。
また優勝チームが「日本一」の称号を得ることで、パンやお菓子が売れるようになれば、障がいのある方が給料をきちんともらえるようになり、経済的に自立ができるようになる。

知的障がい者は仕事をすることに向いていないように思われがちだがそうではない。
ひとつのことを一生懸命、丁寧に行うことに関してなら、健常者以上にすばらしくできる。

上記のポスターの「私には、私の頂点がある」とはこういう意味である。
クープ・デュ・モンドで優勝することや、スターシェフになることが唯一の頂点ではなく、この大会も頂点のひとつなのだということ。

もうひとつ、誰もが自分だけの頂点を持てるということ。
例えば、粉袋から小麦粉をすくってはかりの上にのせ計量するという、なにげないことでさえ、障がいのある方にとってはぎりぎりできるかどうかの大変な作業である。
審査員もギャラリーもはらはらどきどきしながらそのシーンを見つめ、心の中で応援を送りながら、ただ見守る。
それがやり遂げられたとき、安堵とともに深い感動に襲われる。
大事なのは、コンテストで一番になることや、他者との競争に勝つことだけではない。
自分の持てるすべてを発揮して、「私の頂点」をクリアすることがすばらしい。
チャレンジドカップはそのことに気づかせてくれるのだ。

チャレンジドカップ公式ホームページ(応募要綱・開催概要など)




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