パンの研究所「パンラボ」。
painlabo.com
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
ズッキーニフィーバー2013夏
ズッキーニ、
そう、あのパスタによくはいっている
キュウリのようなウリのような、
若干気どった子である(筆者のイメージ)。

しかし、今年の夏、もっとも食べた野菜は…と問われれば、迷わず、
その気どった子「ズッキーニ!」と答えるであろう(2位はナス!)。
それほどフィーバーしたのである、熱かったのである、
ズッキーニが、2013年夏、自分の中で。

事のはじまりは、愛パン家、渡邉政子さんの
信濃毎日新聞の月一連載(毎月第三土曜日)
「主食はパン」のレシピ。


はい〜、料理原始人、ナカムラの作ってみよう政子さんレシピ、第三回でございます。
ウホッ!

今回は「ズッキーニのトマトのせ焼き」。

焼きアスパラのサラダを作って以来、「焼き」に覚醒していたワタクシ。
もうこのレシピを見た瞬間から、焼きたくて、焼きたくて、うずうずしていたわけです。ウホッ!

会社からの帰り、自宅の最寄り駅、終電の時間でもやっている
ピアゴという(大変奇妙なコックさんの像があるお店)小さなスーパーでズッキーニと
ミニトマトを入手。

翌朝、早速作ってみました。


じゃーん!
これまたとっても簡単。
適当な厚み(1.5〜2センチ)に切ったズッキーニを
オリーブオイルをしいた耐熱皿に並べて、
トマトとお好みの具を乗っけて塩(お好みでコショウ)。
あとは焼くだけ。

焼くのはトースターでもオーブンでも大丈夫。
トースターならアルミホイルに乗っけて焼いてもなんとかなるかも。

ソーセージやチーズ、ツナはもちろん、なんとなくしょっぱい物なら
なんでも合いそうです。
塩気が足りなそうな具材なら、粉チーズなんかをかけてもいい感じ。
組み合わせの自由度がとっても高いです。

この日は、チーズと鮭缶(シーチキンがなかった)を乗っけました。
そしてそこに料理原始人お得意の調味料「クレイジーソルト」とコショウ。
ピンクのが鮭缶ですね。


電子レンジのオーブン機能でやってみたら、
ちょっと焼きが甘くて、ズッキーニが固めでしたが、
歯ごたえがよくてとても美味しかったです。
今、思いついたんですが、チーズにはちょっとカレー粉を振ってみても
美味しいかも!!

ズッキーニはあんまり火を入れすぎない方が歯ごたえがよく
美味しい=火入れの手間もそれほどなく、
皮を剥いたりする必要もく、
切るのもたいてい輪切りだし。
「こんなに使いやすい野菜だったとは!!!」と正直驚きました。

もちろん、夏が旬なので、と〜っても美味しい。
そして、田舎に行くとビックリするぐらいお安い!(東京の半分ぐらいかも!)


この日はダンディゾンのニームと一緒に頂きました。

ズッキーニの素晴らしさ(うまい、簡単、安い)にハマって以来、
パスタや炒めものにもズッキーニを使いまくるようになりました。
にんにくにトマトソース、ズッキーニ、ナス、ソーセージがあれば、
夏のパスタは最高です。
このズッキーニ入りのパスタソースを少し残しておいて、
翌日食パンに乗っけてチーズを乗っければ、
メチャクチャ美味しいピザトーストの出来上がり。
朝ご飯もごちそうです。

気どった子とかいってごめんよ、ズッキーニ。

ちなみにこちらも政子さんのレシピ、
別の日にトライしていた「ピーマンのぎゅっと煮」。


これもものすごく簡単で、
丸ごとピーマンを手でぎゅっとつぶして、
お出汁で油揚げと煮るだけ。
最後に鰹節をかけて出来上がりです。


ちょっと油揚げを入れすぎたのはご愛嬌。
タネを取らずにピーマンを食べるなんて初めての
体験でしたが、食べられます、タネ。
煮物なので、冷めてなじんでくるとより美味しくなります。
なので夜作って朝ご飯にとかでもいいですね〜。

それにしても、政子さんのレシピは食材の旬を捉えていて、
作ろう! と思ったら、たいていのスーパーで食材が簡単に手に入るんですよね。

料理法との出会いは、人を進化させますが、
食材との出会いもまた、人を大きく進化させるのだな…という、
もっともらしいことを書いて終わろうかな。ウホッ!

【ナカムラ】



ナカムラ comments(2) trackbacks(0)
トンネルを掘りたくなるバゲット
テーブルに置かれたバゲットをやおらひっつかみ、クープの谷間に親指をひっかけるや、勢いよくばりばりと割り、皮をむく。
なにをするのかと思えば、中身だけほじくって食べだす。
そんな私の姿を見た人から「パン好きの人ってまず中身だけ食べて、それから皮だけ食べてってしますよね」とご指摘を受けた。
まさにそうである。
パンを解体する=深く愛すること、その一歩目は、皮は皮、中身は中身で食べてみることである。

そんな食べ方を無意識にしてしまうような重度のバゲット中毒者たちに捧ぐ、あるいは、そうでない人をもバゲットの奥深き魅力の虜にしてしまうであろうイベントにご招待を受けた。
Baguette Lifeの執筆者である平岩高弘さん主催のイベント「お台場・秋の利きバゲット祭り!」。
共演者は、秀逸なバゲットの作り手であるネモベーカリー&カフェの根本孝幸さん、フードコーディネーターの石井久子さん。
当日は5本のバゲットをご来場のお客さんといっしょに食べる。

そのうち2本を私が選ぶこととなり、確認のため食べてみることにした。(店名はまだ言うまい)
まず皮を破り、中身だけほじくって口にする。
バゲットの皮とは常に饒舌である。
むしろ問題は、中身が語りだすかどうか、である。
このバゲットの白い部分を食べると小麦のささやき声が聞こえた。
もっと聞きたいと思う。
二口、三口、食べるたびに、声は大きく、数も多くなり、やがて大合唱となる。
風に揺れる麦畑の麦の穂がいっせいにおしゃべりをしているふうに、盛んに麦の味わいを発している。

それはいいが、バゲットの中身とはけっこう貴重品である。
皮に比べてすぐ溶け、消失する割に、容積は少ない。
気がつくと鉱脈を掘り尽くし、バゲットトンネルは、先っぽの袋小路まで達していた。(トンネルというにはけっこう上も食べちゃってるが)
ああ、私のクラムよ。
一瞬嘆いてみせ、すぐに立ち直る。
皮のトンネルにソーセージかチーズを詰めて食べると、とてもおいしいのだ。

お台場・秋の利きバゲット祭り! 都内超有名店の利きバゲ数種付
日時 9/15 (日)開場12:00 開演12:30 終了15:00(予定)
前売券1,500円(飲食代別途必要・ビール600円〜ソフトドリンク390円〜など)
当日券500円増し


サッカロマイセスセレビシエ

まさこジャム

パンラボ

- comments(2) trackbacks(0)
見えない酵母を見る仕事 イースト研究者に話を訊く
パンを作りだす酵母たち=サッカロマイセス・セレビシエ。
あの小さな生き物たちの話を聞きにいった。
イーストの研究者たちは、私たちの目に見えない酵母のミクロの姿を日々顕微鏡で見つめている。


酵母の基本知識
まず、基本的な事項を押さえておこう。
イースト、パン酵母、酵母。
呼び方がちがうだけで同じもの(サッカロマイセス・セレビシエ)である。
大きさは数ミクロン(1ミクロン=0.001mm)、体の表面から糖分を取り入れてエネルギーとし、アルコールと二酸化炭素を排出する。(これを「アルコール発酵」という)
酵母が作りだしたアルコールはパンの風味の元となり、二酸化炭素は生地をふくらませる。
つまり、酵母という生き物の営みをうまく利用することでパンは作られるのだ。
酸素がある環境では分裂し、数を増やしていく。
「出芽」というやり方で、まるでたんこぶがむくむくとふくらんでいくようにして分身を生みだす。
酸素がない環境ではアルコールと二酸化炭素を排出する。
これはパンの風味やふくらみの元となる。

イーストはどのように作られるか。
あまたある酵母の中からパンの製造に適した株が選ばれ、無菌状態の試験管で培養される。
その後、培養タンクに移され、糖蜜(サトウキビから砂糖を精製するときにできる余剰物質)を原料にした培養液の中で増殖する。
酵母の活動に適した温度・pHに調整されたタンク内に大量の酸素と培養液が送り込まれ、10数時間で10倍以上にも増殖する。
タンクから出ると遠心分離機で培養液から分離され、洗浄や脱水、成形という過程を経て、商品になる。


酵母は世界からハンティングしてきた
オリエンタル酵母工業株式会社の中島亮一さん、古川周平さん、佐藤彰さんに話を聞いた。

イーストを製造する元となる最初の1個の酵母はどのように選びだされ、育種されるのか。
「オリエンタル酵母では、マイナス80℃の冷凍庫内で数万種類を保管しています。
かってパン種や発酵食品などから分離した、パンの製造をしやすい株を品種改良したエリート株が、パン酵母として商品化されます。
酵母の開発者はいわばブリーダー(動物の繁殖と改良を行う者)なので、すでに持っている酵母を品種改良していくのが、世界的に主流です」

日本初のイースト会社であるオリエンタル酵母が設立されたのは1929年。
世界を渡り歩いて酵母を採取していたのは草創期のことだ。
「現在保存されているのは、たとえば、戦前にヨーロッパへ出張して分離したものとか。
いまだと防疫のための法令に抵触し問題がある部分も、許容されていた時代。
ブリーディング(育種)の技術がまだ発達していなかったこともあって、探して取ってくるのがメインの時代でした。
その頃、数多く集めたものが、いまでもストックされているわけです」

イーストでのパン作りがはじまったのは、19世紀後半以降。
それ以前は、当然だが「自家製酵母」のパンしか存在していない。
ヨーロッパには数千年に渡るパンの伝統がある。
気の遠くなるような時間をかけ、種を継いでいくことで、パンに向く酵母を選別してきたといえる。
顕微鏡こそ使っていないけれど、イースト会社が行っていることと基本は変わらない。

「ヨーロッパでは、古くからパンの文化がはじまっています。
家庭で長年パン種を継いで、その過程でセレクションされ、パンを作ることに特化している酵母。
そういうものを品種改良していくほうが、よりいいものを作りやすい。
弊社がはじまって、古くから海外に行って、種を分離できたもの。
その中から現代のベーカリーが求めるものを選んで、育種していくわけです」

試験管の中に保管された数万種もの酵母。
酵母と一口にいっても、人間ひとりひとりにさまざまな個性があるように、それぞれの酵母の株もすべて異なっている。
その中から、ユーザーのニーズに合った性能のものを選びだし、酵母と酵母を掛け合わせて、いままでにない特徴を持つものを作りだす。

「保管されている菌株には、特徴まで把握しているものもあるし、そうでないものもあります。
家系図のように、どの株とどの株を掛け合わせてできたという記録が何十年分残されている。
それを遡れば、分離元はヨーロッパのパン生地だったりします」

イーストが開発されるまで
新商品はどのように作られるのだろう。
「まずは、ベーカリーのお客様、ホールセールのお客様の求めている品質を実現できるような酵母であることが、我々の着目するところです。
風味ももちろんですが、どうふくらむかが大前提。
それから、イースト臭がない、マイルドなもののほうがいい。
そういうものを選んでいきます。
どんなイーストがいいかは、お客様の製法にもよりますね。

ミキサーボウルの中に小麦粉と水とイーストが投入された時点から、発酵がはじまる。
酵母の種類ごとに、発酵スピードはまちまちである。
いきなり活発に活動を開始するスタートダッシュのきく酵母なのか、時間をかけてじわじわとふくらみ、うま味を出す酵母なのか。
さらには、味も加味される。
おいしいパンを求めて研究は進められる。

「(試験管の中で)液体で発酵させれば、発酵力はわかりますし、そのとき匂いを嗅げば香りもわかります。
けれども、焼いたあとのパンの風味がそれとリンクするかというとそうではない。
焼く前の香りだけで酵母を選ぶ技術がまだない。
パンを焼いて風味を調べます。
匂いを嗅ぐ、味わうという行為、つまり官能による評価です」

味覚の科学はここまで進んだ
バイオテクノロジーの最先端であっても、おいしいという評価は人間しか下すことができない。
だから、イースト会社の研究室では日々パンが焼かれ、食べて味わわれる。

「機械で分析することも行ってはいます。
分析することができても、それをどう評価するかがむずかしい。
こういう傾向のとき、こういう匂いになるとか、こういう食感になるとか。
でも、毎日食べている方の味覚というセンサーには及ばない。
ふるいはかけれるけど、最終的には人間の感覚が頼りです。
パンの風味分析は日々進歩していますが、トータルでこれがおいしいパンの匂い、というのを分析結果から導きだすことはできない。
嗅覚自体はむずかしくありません。
特定の官能基(匂いの元)に反応するだけです。
それが頭の中でどう処理され、イメージされるかは、ひとりひとりで異なります。
ひとつひとつの反応が、頭の中でどのように構築されるか、科学の力はそこにまだ及んでいない」

パンの風味を形作る、多種多様に渡る成分。
それらを完全に言い表せるほど、私たちの科学は進んでいる。
けれども、「おいしい」を法則化することはいまだ実現していない。
成分と成分の組み合わせがなにを意味するのか、なぜ「おいしい」という感覚が脳裏に浮かぶのか。
あたかも積み木で遊ぶ子供のように、さまざまな成分の積み木を一度ばらばらにしてしまうと、もう元には戻すことができないのだ。

「鼻をつまんで食べるとおいしくない。
味覚と嗅覚はリンクしている。
甘い匂いは食べたことがなければわからない。
甘いものを食べて、そのときする匂いから認識している。
単品単品では理解していない。
どっちかがすごく優れている人間はいない。
両方がすぐれていないと感応できない。
食べてるときに口の中から匂っている。
それも嗅いでいる。
内側からくるのか、外側からくるのか。
おいしいパンという記憶はもっとむずかしい」

ワインのテイスティングでは、鼻から感じる香りをアロマと呼び、口の中で感じる香りをフレーバーと呼ぶ。
空気によっても分解され、風に舞う成分がアロマであり、唾液で溶ける水溶性の成分がフレーバーだといえる。
融点が36度前後に存在して体温で溶けるカカオのような成分も存在するだろう。
そうした分解の性質まで加味するなら、風味の分析は極めて難解なものになる。
また、「おいしさ」は記憶とも関わる。
それはかって経験した感動に基づくゆえに、人それぞれでしかありえないのだ。

イースト研究者が語った自家製酵母
「私たちの会社ができたのは1929年。
それ以前の、イーストがなかった時代、一般のパン屋さんはどうやっていたか。
種を継いでパンを作っていました。
杜氏のような人がいて、瓶を腰に吊るしてずっと持ってて、種が駄目になると瓶の中から元種を取り出して、再生させる。
非衛生的で、再現性が乏しい(その道を極めた職人がパン作りを独占していた)。
イースト会社では純粋な状態でイーストを培養する。
パン種の中にはイーストだけじゃなく、いろんな微生物がいます。
理想的な生地の環境では酵母と乳酸菌がメジャーになって、他の微生物をよせつけない。
酵母はアルコール発酵し、乳酸菌は乳酸発酵します。
つまり、酸とアルコール濃度が高いので、他の微生物が寄ってきにくい。
そういう環境を作れば集積(=酵母と乳酸菌だけが集められる)がかかります。
その代わり、うまく作らないと、悪さをする菌が増えてくる可能性はある」

自然状態にはさまざまな菌があふれている。
そこへ小麦粉と水(そして温度や湿気)で「種」という、酵母の生育に適した環境を作りだし、酵母と乳酸菌の共生環境を作り上げていくことが自家製酵母作りである。
酵母と乳酸菌が優勢に一度傾きはじめると、pHが下がり、アルコール濃度も上がることで、さらに酵母と乳酸菌のみが居住できる環境になる。
これが、自家製酵母種の仕組みである。

「いろんな酵母がパン生地(種)の中で増殖する。
過密になった酵母どうしが交雑するかもしれないし、環境に合う様に進化するかもしれない。
ここに乳酸菌が共生し、他の微生物を寄せ付けない安定したパン生地ができあがる。
このパン生地の中で選ばれた酵母と乳酸菌が増殖する。
これには数十年という単位の日数が必要となる」

イースト研究者の目から見ると、自家製酵母作りは私たちが考える以上にむずかしい。
パンに適した酵母を育てるには多くの時間と幸運が必要である。

「自然界はむずかしい。
その中に落ちてる酵母から、パンをふくらませられるものを見つけられる確率はすごく少ない。
見つけたいのはサッカロマイセス・セレビシー(セレビシエ)1種だけ。
自然界に酵母自体が少ない中で、その数400種の中のたった1種を拾う。
たまたま拾ったその1個や2個がパンをふくらませる力のある株かというと、そうではない。
何百拾って、パンをふくらませる力があるものが1個見つかるぐらいの確率」

自然界において、酵母はさまざまな微生物との共生関係にある。
その中から酵母一種のみを取りだして純粋培養することで失われたものもある。
いまイースト会社は、自家製酵母のよさを再発見している。

「オリエンタル酵母は純粋にイーストだけで発足しました。
それは我々の反省点です。
ほかの微生物もパン生地の中にいる。
実は有用なんじゃないか。
風味づけ、味つけという点では、かなり有効。
発酵液や発酵風味液は、そうした発想から作られました。
昔ながらの植え継がれた生地を再構成してあげる。
そういう種の中では酵母と乳酸菌は共生状態にあって、お互いに邪魔しない。
乳酸菌も風味物質を出す」

乳酸菌の甘さ。
それは小麦の味わいや香ばしさと重なり合うことで、ふくよかさや複雑さなど、人にめまいを起こさせるような深さをパンに与えるだろう。
また、その土地その土地で微生物の種類が異なるということも、自家製酵母の魅力である。
世界中にはその土地でしかできないパン(種)が存在する(イタリアのパネトーネやアメリカのサンフランシスコサワーなど)。
世界中のパンをひとつひとつちがう味わいにしているのは酵母の個性なのである。

酵母の個性とはなにか
「人間にもいろいろな特徴がありますよね。
陸上がすごく優れている人のグループ。
勉強ができる人のグループ。
酵母はまずそういうカテゴリーで分けられます。
そのカテゴリーというのは、パン酵母、ワイン酵母、ビール酵母。
すべて、サッカロマイセス・セレビシーであることは変わりません。
その中に、人間と同じようにひとりひとりがいる。
たとえば、この吟醸酒にはこれしか使えないという種類があります。
それは人間にたったひとりの個性があることと同じです。
保管している数万種のうち、個性がしっかりわかっていて、いつでも製品にできるのは100種。
系統もわかっている。
分岐点になる菌種がいる(系統の始祖となる、家長のような存在)。
この系統とこの系統を掛け合わせるとかなりいい、という今までの経験則から予想して掛け合わせます」

イースト研究者という仕事。
白衣を着て研究室の中にいる知的な職業というイメージだが、聞けば聞くほど、ロマンティックなものに思える。
たとえば、いつの日かダービーを勝利するために、血統表を睨んで数百年の名馬の伝統を追いながら配合を決める牧場主のような。
育種という本質において、両者は変わらない。
たとえば、さっきまで食べていたパンをふくらませたイーストのことを想像してみる。
それはかってヨーロッパの伝統あるパン屋の生地中にいたものの子孫かもしれない。
DNAは脈々と受け継がれ、世界のまた別の場所で継がれてきたものと決してありえなかった邂逅を果たし、子孫を産み落とす。
私たちが食べるパンの味わいには、オリジナルの土地で食べられていたパンの味が幾分かはあるのだろう。
パンの一口は一瞬で空間を超え、時を超える。(池田浩明)

サッカロマイセスセレビシエ

まさこジャム

パンラボ

- comments(5) trackbacks(0)
大人の文化祭
行った!

引いた!

聴いた!

引いて、食べた!

聴いて食べた!


レフェクトワールで催されている大人の文化祭に行った。


聴いた!
mu03.JPG

引いた!
mu04.JPG

ムッシュ主催のおとなのくじ引きを引いた!
mu01.JPG

「しゃれ」という本が当たった!
mu05.JPG


mu06.JPG

イベリコ豚の焼きそばパン
あんぱん&メロンパン

焼きそばの麺が太いのがうれしかった。
焼きそばを挟むパンがブリオッシュ生地なのがおいしかった。

追記
あんぱん・メロンパンの後ろにある金魚のポストカードは松沢美緒さんの作品です。金魚が文化祭っぽかったので2枚掬ってみました。
カラスのイラストの袋は京都・二条城のソングバードコーヒー唄鳥珈琲)です。深入りの豆だというので飛びつきました。
右手前はロミ・ユニ(いがらしろみさんの店)のキャラメルのジャムです。

レフェクトワールでは本来ありえないはずのものが他にもいっぱいありましたが
自分は唐揚げが好きでした。紙のカップに入っていて、けっこうしっかり揚げられていて、だけど噛むほどに味があって、文化祭ムードを高揚させてくれた気がします。


取り急ぎ。

本日(8・24)、20時までの開催です。


かし
- comments(2) trackbacks(0)
栃木県益子町「パンドムシャムシャ」
焼き物「益子焼き」で有名な栃木県益子町。

「パンドムシャムシャ」は、益子市街からほど近い、森の中にあります。



帰省した翌日に朝食で食べたのもこちらのパンだったり。
ず〜っと来てみたかった、うちの実家の両親お気に入りのパン屋さんです。


古民家を改造したという店内はとっても懐かしい雰囲気。


訪れたのがお昼前ということもあり、まさに焼きたてのパンが並びます。


一目見た瞬間に、これは絶対に食べたい…と思ったリンツァークーヘン。


素晴らしい焼き色のプチチーズ。


ジャムや地元の卵などもありました。
小さな店内に焼きたてパンの香りが溢れていて、たまりません。

夫婦でパン屋さんとカフェを営んでいます。
パンを焼いているのは奥さん。
カフェは旦那さんがやっています。


それがパンドムシャムシャと同じ敷地内、すぐ向かいにあるカフェ、
「AND COFFEES」です。

こちらも古民家を改造したとても味のある雰囲気です。


玄関からして素敵。


自然の風が吹き抜けます。


自然光と照明が柔らかい雰囲気を作り出しています。


いい、いいなぁ…。


窓の外に見えるのがパンドムシャムシャ。


窓の外には夏の益子の緑が広がります。
四季を十二分に、そして贅沢に楽しめるカフェです。

苦みと豆乳のバランスが絶妙のキリリと冷えた
アイスカフェオレ。


こちらで焙煎もしているというコーヒー。
とても美味しいです。

豆も買うことができますよ。


リンツァークーヘン(ルバーブジャムとブルーベリーの甘いパン)とコーヒーが
絶妙のマッチングをみせるみせる。
お土産に実家に持って帰る用も思わず食べちゃいました。


この床の色。


見事な風合いの机。
時間としっかりとした手入れが作り上げた、まさに骨董品ですね。

本当に落ち着いた時間を過ごせる空間です。



おうちに買って帰ったパンドムシャムシャの食パンにくるみパン。
家族でムシャムシャと美味しくいただきました。

パンドムシャムシャとAND COFFEES、四季を楽しみにまた行きたいと思います。

益子は緑豊かな素敵な街です。
季節ごとの果物、いちごや梨、ぶどう、スイカもおいしい。
とてもリーズナブルな値段でお気に入りの焼き物を探すのも楽しいです。
カフェ文化も少しずつ芽生えていて、こんな素敵なパン屋さんやカフェもあります。
地元の野菜は道の駅やその他、
色んなところで格安で買えます(東京で暮らしてると本当にビックリ価格!)。
実は「ツインリンク茂木」へ行く時には通る街でもあります。
茂木の方に足を伸ばせば那珂川というアユが獲れる川もあります。
那珂川にはキャンプ場もあります。
そうそう、那珂川の「やな」はめっちゃおもしろいです。
以上、地元自慢でした。




おまけ。

実家のお隣り、子供のころにお世話になっていたおばあちゃんは
もう30年もパンを焼いているそうです。
その酵母を見せてもらいました。


すごい。
継ぎ足し継ぎ足しではなく、パンを焼く都度、低温でじっくり育てているそうです。
白神の酵母だそうです。
あ、そういえばサッカロにも載っているロワンモンターニュ@王子でも使っているやつだ。


とっても立派なパンでした。
今度はおばあちゃんのパンも食べさせてもらおうっと。

【ナカムラ】







ナカムラ comments(0) trackbacks(0)
サッカロマイセスセレビシエの使い方
サッカロマイセスセレビシエという本。
正直、ひじょ〜〜〜〜〜〜〜〜に分厚いです。


仕事柄…というよりは、好きだからなんですが、
けっこう活字中毒気味の自分ですら、
一気に読むのは大変です。

なんといっても2段組みの本文(2段組みの本文は
文字量が増えるため大変読み応えがあります)
400ページ以上あるわけですから。

なんだか小説みたいに本文が続くので、
「一気に読んだろう…!」となっちゃうかもしれませんが、
そうなると若干修行っぽくなります。

というわけで、パンラボが推奨したい
サッカロマイセスセレビシエの使い方。


其の一 一日一店ぐらいずつ読む。

寝る前に、ちょっと。
通勤の最中に、ちょっと。
こどもが昼寝してる間に、ちょっと。
ちょっと小腹を満たす感じでいいんです。

其の二 サッカロに載っているお店に行く前に読む。

この本には190軒近くの情報が載ってます。
近所にサッカロに載ってる店がある…なんて人もいるはず。
今日はあそこのパン買いに言っちゃおうかな〜なんて時に
そのお店のところをちょっと読む。
そのお店の、そのパンのバックサイドストーリーを知る。
これ、最高の「言葉のジャム」になります。
サッカロに収録されているけれど本文が掲載されていないお店も、
このパンラボブログで読むことができます。

其の三 新たな出会いのために。

今日は少しだけ自転車で遠出して…とか、
今日は仕事でどこどこに行くから…とか、
まだ行ったことのないパン屋さんと出会うために。
サッカロに載っているパン屋さんなら、
きっと素敵な出会いになるはずです。


というわけで、今回はさっそく其の二の使い方をしてみました。


赴く予定のパン屋さんは書籍サッカロの188軒目、
かいじゅう屋さん。

サッカロのかいじゅう屋さんの回は、
けっこう沁みる回。
十分に沁みた状態で目白に向かいました。


目白駅からほど近い路地裏、古い木造アパートの1Fにかいじゅう屋さんはあります。
このお店のたたずまい、いつ来ても、何度見ても、イイ。
こんなにほっこりするお店は滅多にないよなぁ。
サッカロに書かれている橋本さんのストーリーを知ると、
このお店のたたずまいも、なお味わい深いものになります。

お目当ては、
初めて食べたときの衝撃をいまだに引きずっている丸パン。
それに、一度食べてみたいと思っていたチョコパン。
橋本さんにご挨拶しつつ、さっそくパンを物色する。

この日は丸ぱん、チョコチップパン、山型の食パン、そして一枚目の写真のお菓子を
ゲット(かいじゅう屋さんにくるとカウンターの上に置いてある
お菓子の誘惑に勝てない)


丸ぱん。
毎朝食べたいパンをひとつだけ選べ…と言われたら、
間違いなくかいじゅう屋の丸ぱんと答える。
シンプルにして、究極。
そのまま食べても、何かをはさんでも、本当に美味しい。
そしてなんだか安心できるのである。


そしてチョコチップぱん。
う〜ん、説明するのが難しいけど、名前から想像するような
ジャンキーなパンではないのである。
これまた甘すぎず本当にうまい。
油断していると、1斤ぐらい全部食べちゃいそうな感じ。


そしてとってもかっこいいイギリぱん。


翌朝は丸ぱんとこのイギリスぱんで超贅沢な朝ごはん。
イギリスぱんはトーストして、丸ぱんは軽く暖め、サラダなどを
はさんで食べました。

かいじゅう屋さんのパンはおいしいのだけれど、
同時に、食べるとものすごくホッとする。

人の手で作られたものには、作った人の何かが宿るというけれど、
かいじゅう屋さんのパンには、
パンにとてつもなく真摯に、実直に向き合ってきた橋本さんの
何かが間違いなく宿っている。

サッカロはパンを食べる人のパンに対する理解を発酵させるのを
手助けする…そんな本かもしれない。




後日、漫画家の堀道広さんがかいじゅう屋さんの看板を書く…というので、
見に行ってみた。


作業中の堀さん。


完成したのはパンと2人の女の子。
なんだかほっこりする。
かいじゅう屋さんに行く楽しみがまたひとつ増えた
暑い夏の日でした。

【ナカムラ】






ナカムラ comments(4) trackbacks(0)
日本の夏、イカの夏、色彩の夏 and
世間はどうか知りませんが、
パン好きの女子がどうか知りませんが、
今年の日本の夏はカニが、じゃなくってイカが支配していると自分は感じてます。

ちょっと言い過ぎか?
でも夏休み期間中に上野の博物館で展示されるものといえば、
昔っから恐竜と相場は決まっていたはず。
で、ちびっ子たちが三葉虫のばったもんの化石を買ってもらって、友達に自慢するのが習わしだったはず。
しかし今年はそこにイカが食い込んだ。
(さらにそこに琥珀が加わっていたりして? どうなんだろ? いずれにせよ全部NHKがらみだ)


冬にNHKで深海の巨大生物ダイオウイカが放映されて、
この夏休みにそのスペシャル版を国立博物館で展示するということは、
あきらかにちびっ子をもターゲットにしてるはず。(放映時はちびっ子には少しつらい21時放映だった)親子もろともイカ三昧にするつもりであることは瞭然でしょう!
(ずぶんはまだ博物館に行けてません)


こちらはパンのイカ。
パン屋でもイカを発見したというわけだ。

DSC_0434.JPG

イカスミバンズサンド

黒々しいにもほどがあるスーパーブラックなイカを発見!

DSC_0433.JPG

イカスミパンは取り立てて珍しいものはないけれど、
イカに支配されていると決めつけていることとパンのブラック・インパクトで
思わず手にとってしまったのでした。

でも食べてセ・ボ〜ン。ビジュアルインパクトだけじゃなかった。


バンズの表面にまぶされているのは黒ごまと思いきや違った!
DSC_0441.JPG

DSC_0439.JPG

ブラック・クミン。
これがエキゾチックで、かつ清々しさを醸し出していた。

中身はツナと白いんげん豆のペースト。
DSC_0436.JPG


西欧の方は「豆」を使うのが上手だと前々から感じていたけれど、
その意をさらに強くした。
高田馬場に昔あったベンズカフェのひよこ豆のサンドイッチもおいしかったけれど(イギリス人オーナーの店だった)、
このサンドも秀逸なおいしさだ。

バンズの表面にまぶされているだけと思われたクミンが、口の中で俄然暴れ出して、
どこぞの異国にワープさせるかのような張り切りぶりだ。
ハンバーガーのバンズにこびりついてるゴマが控えめに役立っている(?)のとは対照的にこのバンズについたクミンは相当な張り切りっぶり、暴れん坊っぷり。

イカスミは色づけで頑張っているだけて、味的にはむしろ控えめで、ツナ・豆・クミンのまみえる味が強く印象に残ります。
自分はスパイシーでエキゾチックなものに無条件降伏しがちだから、気持ち表現がオーバーになってるかもしれない。そこを考慮してもおいしいはずです。

ロブションでも感じますけど、ゴントランでもパンの色彩にハッとさせられます。
DSC_0437.JPG

並べるとマカロンみたいだ。
DSC_0445.JPG

左から、イカスミ・ルッコラ・パプリカのバンズのサンドイッチ。

特別フランス人が色彩感覚にすぐれているとかではなくて、日本人にとってその色彩は見慣れていない新鮮なものだからついつい引き込まれてしまう(と思いたい)。

そういえば、堀画伯がかいじゅう屋さんの看板(?)、鉄板(?)に
イラストを描きました。
Twitterにアップされてます。
https://twitter.com/panlabo/status/368996699626164224/photo/1

立ち止まって、しばらくじっと見ていたくなるイラストです。
かわいい? たしかにかわいいです。
でもそれだけじゃない。


近々、ここでもアップされるのではないでしょうか。


10月6日の新宿ロフト・プラスワンで催される予定のパンラボイベントには
ムッシュだけでなくまさこさんも参加してくれます。
やったー! 
まだ書けないけれど他にもスペシャルゲストが彩りみどりのようで、
こちらも色とりどりの楽しい会になりそうです。


カニに支配されているかしわで



パンラボのパンの本はこちらで。
サッカロマイセスセレビシエ

まさこジャム

パンラボ



- comments(0) trackbacks(0)
パン・ミーツ・ジェラート
DSC_0425.JPG

パン・ミーツ・ジェラート


おいしいおいしいイタリアン・ジェラートに
おいしいおいしいパーラー江古田のパンをはさむフェア。

ブオーノに決まってる!
とはいえ、
食べてみないといけません。
というわけで、ムッシュとその仲間たちに誘われるがままに付いていって、噴火してきました。

DSC_0426.JPG


DSC_0428.JPG

ずぶんが選んだ組み合わせはカフェラテ(右)&ピスタチオ(左)。

つーかビックリした。サプライズした。おいしいに決まってるはずなのに大噴火した。
人肌に温かいパンに冷たいジェラートを挟んで食べることが
こんなにも美味しいとはビックリのサプライズのボルケーノだった。

シャリは人肌! 旨い寿司みたいじゃないか!!

「卵を抜いたブリオッシュの生地」はフワッとしてて、ジェラートにあうあう。あうあう。
パンにアイスを挟んで食べる地域がヨーロッパにあるのはテレビで見て知ってました。
でも自分の想像を超えていたのでした。

むか〜〜〜し、むかし。
森永からアイスバーガーというアイスのようなパンのようなアイスのような食べ物が出てたんだけど、
正直、おいしさ雲泥の差です。
と同行した数人(ムッシュ他)に話したけれど、みんなポカ〜〜ン。
アイスバーガーを知りませんでした。

ハンバーガー、プリーズ?
アイス? オア ホット?
アイスバーガー

ってCMがあったやんけ〜、外国人がアイスバーガーって誇らしげに注文してたやんけ〜……と話しても、リアクションうすぅ〜〜〜〜!
参考文献です。→ここから

余計な引用で年の差を感じてしまいました。たは。

ともかく。
ジェラートにもパンにも職人を感じずにはいられませんでした。


メニューにパンラボ・キーホルダーが!!

DSC_0427.JPG

ずぶん、こういうところに小さな幸せを感じる年になっていたようです。オッティモ。

詳しくはムッシュやナカムラタクミが書いてくれることでしょう。

かし


サッカロマイセスセレビシエ


- comments(6) trackbacks(0)
サッカロ発売記念イベントP&B!
8月9日金曜日の夜、
下北沢のビールの飲める本屋さん「B&B」で行われた
サッカロマイセスセレビシエ発売記念イベント
「P&B!」(パン&ビール!)。





この日の主役はなんといっても、
TOLO PAN TOKYOの田中真司シェフである。


パン屋さんにはナイスガイが多い。
池田さんいわく「ダンディゾンの木村シェフはイケメン」らしいし、
自分が実際に会ったことがある
パーラー江古田の原田さんも独特の空気を醸す男前だし、
ル・ルソールの清水シェフやセイジアサクラの朝倉シェフも
格好良かった。

この日の田中シェフも然りである。

なんといっても背が高い。

そして元ボクサーだけに体型も完璧。

デュヌ・ラルテ時代の修行のおかげで家で料理を作るときも
全力で旨いものを作る。

さらに話が面白い(ビールが入ると特に)。

完璧じゃないですか。

しかも度胸もなかなか。
この日のリング、B&Bの満員御礼(約50人)のお客さんを前にしても
物怖じすることなく、幾度も笑いを取っていた。

そのTOLO PAN TOKYOの田中シェフに
この日のためだけに作って頂いた「ビールに合うパン」。


カリッカリでファサッファサな生地にソバの実が入っている
(ソバの実はコリッコリ)。

ちょっとパンでは味わったことのないクリスビーさと
口の中の水分を奪っていくファサッファサな感じが
「うぉい! ビール早よ!」という状態を作り出す。


もう一つのビールに合うパンがこれ。
ちなみに、ちょっとした包み紙や包装にもTOLO PAN TOKYOの
イデオロギーが溢れていて、食べる者をわくわくさせる。


一口サイズのパリファサのパイ生地にベーコンが挟まっている。


実にいい感じに一口におさまるサイズ。
絶妙の塩加減。
ソバの実のパン同様、こちらも口の中の水分を奪い、
次々にビールを誘い込む。
これはおつまみとしてのサイズにまでこだわったパンだ。


このパンを触媒に、ビールが進み、場の雰囲気が発酵し、
ムッシュと田中シェフのエンジンも全開に。

デュヌ・ラルテ時代の話、
TOLO PAN TOKYOの話、
TOLO PAN TOKYOのパンを被災地に配った話、
そして将来の夢。

デュヌ・ラルテという尖ったお店で
時に3日徹夜して培った技術は、
今では池尻大橋のお客さんに向けて発揮されている。

「こんなパンないの〜?」というお客さんの何気ない声に
応えて、新しいパンを作る。
「なるほど、こうきたか〜」となる、
お客さんの想像を少し越えるパンを作る。

池尻大橋に住んでいる、TOLO PAN TOKYOに通える人は、
本当に幸運だと思う。


最後はサインにもこたえながら和気あいあいとお客さんと談笑。

潜伏参加されていた漫画家、堀道広さんもサインにこたえていました。


「サッカロマイセスセレビシエ」に登場するいろいろなお店のシェフ。

みなパンに対して極めて真摯に向き合う求道者のような人ばかり
(修行僧、はたまたサムライ、時に伝説の仙人的な人も)だが、
田中シェフがこの日語った20代の話は、まさにそこに至るための道…
という感じで、本当におもしろかったです。

【ナカムラ】





ナカムラ comments(1) trackbacks(0)
8月24日が待ちきれない!

8月24日のことを考えると心臓がどきどきする。
すごいことが起こりそうな気がする。
すごい人たちに出会えそうな気がする。
ル・プチメック/レフェクトワールのオーナー西山逸成さんが、とんでもないことを企てた。
原宿のレフェクトワールをさまざまな分野のアーティストに開放する試み、「”大人げない”大人の文化祭」

出演・出展予定者は下記の通り。

菊池武夫(デザイナー)
池田圭(映画監督)
GOOD NEIGHBORS' FINE FOODS(フード)
メゾン ロミ・ユニ(焼き菓子)
jan & naomi(ミュージシャン)
background of the music(ミュージシャン)
松井省吾(空中ループ:ミュージシャン)
松雪陽(ミュージシャン)
広沢タダシ(ミュージシャン)
白須今(バイオリニスト)
ソラソレ堂(音響システム)
陶庵(陶芸家)
SONGBIRD DESIGN(デザイン)
吉田翔(日本画家)
内田有美(イラスト)
cloud nine(写真・詩)
松沢美緒(写真)
三木麻郁(美術家)
NATIONAL DEPART(パン)
PPcurry(カレー)
Siphon Graphica(デザイン)
Nanaco(佐藤奈々子)&長田進(ミュージシャン)
木島裕(ヴォーカル)
kenny(サックス)
TOMZUIN H with 石川高(笙演奏家)
RÉFECTOIRE(フード)

なんと世界のタケオキクチ本人が降臨したり、映画監督・池田圭さんがこの日のために、三姉妹のピクニックをテーマにした映像を撮りおろしたり、ステージでは、空中ループの松井省吾さん、スティングや椎名林檎とも共演している白須今さん、GREAT3のjanさんもライブパフォーマンス。
また、Nanaco(佐藤奈々子)&長田進さんは「le petit mec」という曲を披露するそうです。

レフェクトワールは通常営業を休止、プチメック創業以来封印しつづけてきた日本の伝統パン「焼きそばパン」「メロンパン」「あんぱん」を1日だけ特別に販売して、お祭りっぽさを盛り上げる。

私もこのすごいメンバーの末席に入れていただいた。
ナショナルデパートの秀島さんや、PPcurryさんらと並びで屋台スペースに出展。
作り手たちと会話をしながら買物をすることができる。
ご披露するのは「大人の古本クジ」。
1回200円でヒモを引っ張ると、その先にくっついている本をゲットできる。
1等賞は1500円相当の『サッカロマイセスセレビシエ』。
ハズレは古本屋の100円コーナーや神保町のガレージセールをまわってゲットした古本。
といっても、どっちが当たりだかハズレだかわからない。
井上靖やヘミングウェイや横尾忠則といった私が敬愛する文豪、エッセイの名手たちの本、しかも装丁やデザインに「むむむー」とうならされたものしか選んでいない。

そもそも「大人の文化祭」は、こういうやりとりからはじまったそうだ。
「なんか楽しいことやりたいですよね」
「儲けとか度外視でミュージシャンとかアーティストの友だちノーギャラで出てもらってイベントやりましょうよ」
「それいいですね。なんか高校の文化祭みたいなノリで」
私はこれを聞いてすごく共感した。
なにかをはじめるとき、その起点は「楽しい」であってほしい。
それなのに、まわりにあふれているモノや情報には「思惑」や「惰性」がくっつきすぎている気がする。
ところが、「大人の文化祭」は「楽しい」の純度が100%なのである。
西山さんはこの数ヶ月、入場料も出展料も取らない「大人の文化祭」の準備に掛かりきりだ。
商売にならなくてもいいのか、ちょっと心配になったが、西山さんはこう言った。
「お客さんに楽しさを感じてもらえたら、それは絶対にいつか返ってくるんです。
その証拠に、プチメック最初に開いてからの15年間、僕、ずっとそれでやってきて、ここまできたんですから」

サッカロマイセスセレビシエ(東京の200軒を巡る冒険の単行本)
- comments(0) trackbacks(0)
| 1/2 | >>