パンの研究所「パンラボ」。
painlabo.com
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
食パンをおいしくする『喫茶店』で使える魔法
「食パンをもっとおいしくする99の魔法」の編集作業も佳境に入っている。

そのせいか、最近はとにかく何を食べても食パンにのせたり、挟んだり、巻いたり、ぶっ込んだりしたくなる。

おっと、ぶっ込むは少々乱暴な書き方でございました。
突っ込…いや詰め込むかな。
詰め込んでみたくなってしょうがない。



たとえば、
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スパゲッティ・ミートソースとトースト。
純喫茶巡りの達人・難波里奈さんに強く薦められた東中野喫茶店・ルーブルの「ミートソース」。
純喫茶のスパゲッティとしては最高レベルの美味しさと聞いて、もちろん飛びついた。

ただ前述したように今は食パンの魔法に取り憑かれているので、トーストも同時に注文した。

にしてもミートソースが旨い!
コクがあるとは聞いていたけど、想像よりコクがあっておいしい。
お箸が進む的にフォークのグルグルが高速で進む。

イタリアンではなく日本の純喫茶で育まれたおいしさだ。
つまり、それは日本の食パンにも合う美味しさのはず。パンに合わせる定番はナポリタンだけど、ミートソースだって絶対に美味しいはずだ!

喫茶店の分厚いトースト(4枚切り)に切り込みを入れて、
そこにミートソースをぶっ込…いや詰め込んだ。


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厚い食パンは、切り込みを入れると簡単に即席サンドイッチ、即席ラン◯パックになる。
食パンの魔法「6」の応用だ。

トーストに付いてきたバターを薄く切って、パンの切り込みに入れて、そこにミートソースを投入。

うむ、思ったとおりの美味しさだ。バターがおいしさをいっそう引立てている気がするぞ。

純喫茶だからこそできる食パンの魔法だ。







食パンをもっとおいしくする99の魔法
2月19日発売






 
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明日から銀座三越 カネルブレッド×カフェファソン ペアリングの魔法
 1月20日(水)〜25日(月)まで銀座三越7F 催物会場で行われる「ぎんざでパンとコーヒー」。
新麦コレクションの冬企画として、小麦が主役のベーカリー&カフェをオープンします。

題して、「春を待ちわびて、パンとコーヒー。」
小麦の個性を活かすパンを得意とする新進気鋭の若手「カネルブレッド」と、コーヒー豆の個性を焙煎で研ぎ澄ませる「カフェ・ファソン」がコラボレーション。
オーブンやミキサーを持ち込み、焼きたてのパンを提供。
一方、挽きたての豆から丁寧に淹れたコーヒーもその場で楽しむことができます(豆も販売)。
まさに、期間限定で誕生する最強のベーカリー&カフェです。

いまは冬。
小麦も静かに春を待っています。
あたたかいコーヒーと麦の香り高いパンで元気を出して、新麦の時期を待ちましょう__というコンセプトです。

この催事ではパンとコーヒーのペアリングを楽しむことができます。
カネルブレッドで買ったパンをカフェ・ファソンのカウンターに持ち込んで食べていただけるのです。
(カネルブレッドのパンとコーヒー豆を両方購入していただいた方には、コーヒー一杯を無料でプレゼントします!)

先日、カフェ・ファソンにカネルブレッドのパンを持ち込み、どのパンとどのコーヒーを合わせたらマリーアジュするか、ファソンの岡内賢治さんとラボを行いました。
岡内さんに導かれつつ行うペアリングはあまりに刺激的な体験でした。
ここにないはずの味が頭の中だけに幻灯のように浮び上がる。
私たちは興奮しながら3時間もの時を過ごしました。
そのとき、すごかったおすすめの組み合わせを紹介します。

新麦ブレンド × ブリオッシュ
新麦ブレンドは、岡内さんが新麦コレクションに賛同して作ってくれた、パンによく合うブレンド。
あえてシンプルに研ぎ澄まされて、麦の香ばしさに寄り添ってくれます。
カネルブレッドのブリオッシュは卵を入れないきれいな味わい。
ミルク感とコーヒーが合わさって、カフェオレのような広がり方をします。

ケニア カイナムファクトリーAA × シナモンプッレ
ニカラグア ギジェルモ・モンテネグロ × シナモンプッレ
コーヒーの酸味はよりまろやかになる一方、シナモンのスパイス感がかって感じたことのなかったような新たな展開をみせます。
同じシナモンプッレをニカラグアを合わせたときは、はちみつのような心地よい甘さと黒胡椒のような鋭いスパイス感を同時に感じます。

ケニア カイナムファクトリーAA × 林檎といちじくのジャムパン
ケニアの持つ酸味は、今度は凝縮されて、ぶどうっぽいフルーティさに変貌していきます。

エチオピア・イルガチェフェ ウォテ G1 × あんバターサンド
果実味を豊かに持つイルガチェフェにあんバターサンドを合わせてみると、まるでいちご大福さながらに!
まろやかな甘さの世界が果てしなく広がります。

ファソンブレンド × オリーブのフォカッチャ
塩気と酸味がせめぎ合いおもしろい変化を繰り広げます。

アンブレンド × フィナンシエ
深煎りのアンブレンドのやわらかい苦みがアーモンドの甘さを浮び上がらせてくれます。
それにしても、このフィナンシエ。
滋賀県・廣瀬さんのディンケル小麦がうつくしくお菓子に昇華しています。

アンブレンド × クリームパン
ニカラグア ギジェルモ・モンテネグロ × クリームパン
同じクリームパンが、アンブレンドの場合はチョコレートを感じさせ、苦みと甘さが争い合う一方、ギジェルモ・モンテネグロだとおいしいあんこみたいにやさしい甘さとなります。

ケニア カイナムファクトリーAA × 山葡萄とオレンジ
夏みかんみたいな馴染み深い柑橘感が鼻の奥でふくらみます。

グァテマラ サンタカタリーナ農園 × カンパーニュ
小麦の香ばしさを広げ、甘さを生き生きとさせてくれるのは、この組み合わせでした。

銀座三越でお待ちしております。(池田浩明)



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障がい者によるパン・菓子コンテスト「チャレンジドカップ2015」レポート
障がいをもつ方がパンやお菓子作りに取り組むの施設は全国に多い。
そんな人たちを応援する全国大会「チャレンジドカップ」が、2015年11月28日、横浜の国際フード専門学校で開かれた。
菓子は8チーム、パンは10チームが全国から集結した。

パン部門の大賞に輝いた岩手県一関市の障害者福祉サービス事業所 室蓬館(しっぽうかん)。
審査員の箕輪喜彦さん(ブーランジェリーボヌール/レ・サンクサンス)はこのように評価する。

「今大会はレベルが高くて、味だけで見ると、他にも点数の高いチームはたくさんありました。
でも、チームワークや素材へのこだわりは室蓬館がトップでした。
製パン技術的に高いチームもありましたが、技術のある人がひとりでやっていたり。
室蓬館はみんなで関わってやってました。
チャレンジドカップはチームみんなでやるもの。
肉まんの具まですべて手作りなのもすごかった」

中国の包子(肉まんもその一種)というパンに挑戦。
地元一ノ関特産のかぼちゃ「南部一郎」をペースト状にして生地に練り込み、たけのこやしいたけといった具までその場で調理。
蒸し器から出る湯気が食欲を誘い、心まであたたかくしてくれるようだった。

銀賞は神奈川県 開く会・共働舎の濃厚チーズブレッド、銅賞は神奈川県 麦の丘・にんにくガリコのペペロンベーグルが受賞した。

つづいて菓子部門。
審査にあたったラ・テール洋菓子店の中村逸平グランシェフに、大賞・銀賞・金賞に輝いた3チームの講評をもらった。

大賞は石川県の南陽園 兎夢創家(トムソーヤ)。
なめらかな味のチョコレートチョコレートケーキ が高い評価を受けた。

「ショートケーキというむずかしいお菓子にチャレンジしていたのは、利用者さんに自信をつけさせたいという職員さんの気持ちからでしょう。
このチームには、重度の障がいを持つ人が多い。
ダウン症で足も悪く、聾唖(ろうあ)の方に、職員さんが手話でコミュニケーションをとっていました。
他のチームが早く終わるのを横目に1チームだけ辛抱強く作業をする姿に、感動しました。
チョコレートのスポンジ、デコレーション、ガナッシュも持ち込むのではなく、ぜんぶその場で作っていました」

銀賞は、神奈川のワークステーション amam kitchenのミックスケーキ。
「審査員がみんな絶賛していたのは、それぞれの生徒に合わせて道具やマニュアルを作っていたこと。
このチームがいちばん生徒との距離を近くしてやってる。
絆が感じられました。
片付け、仕事の進め方、すごくきちんとやっていました」

銅賞は沖縄のひまわりファクトリー Bon・Bon ボンボンスマイル、サラダセンス。
「トマトやブロッコリーなど、ひとつひとつ丁寧に下処理して、仕込みをしていました。
アレルギーのお子さんでも食べられる卵や乳製品を使わないお菓子。
沖縄の素材を活かしていて、地産地消の取り組みを行っています」

中村シェフは総評をこのように語る。
「今大会はレベルが高く、特に大賞、銀賞、銅賞、は入れ替わってもいいぐらいでした。
ただ、南陽園は重度の障がい者を職員が粘り強く支えている。
『障がい者の社会参加』というチャレンジドカップの趣旨にいちばん合っていたので、大賞になりました」

「全体的にいえるのは、利用者さんを社会復帰させようという、職員さんの熱意を強く感じたことです。
利用者さんの特長を伸ばすため、職員さんがプライベートの時間を使って、道具を作ったり、こんなふうに指示したらいいんじゃないかと考えたり。
次回からはチームごとの表彰だけでなく、職員さんの努力に対しても表彰をしたほうがいいんじゃないでしょうか」

毎回、障がい者の人たちが、みんなそれぞれの速度で、それぞれの課題を持ちながら、一生懸命パンとお菓子作りに取り組む姿に深い感銘を受ける。
そしてすばらしいのは、職員さんの支える姿勢、さらにはそれをあたたかい目線で見つめるギャラリーや審査員、そしてチャレンジドカップの関係者やボランティアの方々がいるということ。
みんながパンやお菓子作りという絆を通じて結ばれていると思った。
この輪がもっと社会に広がることを祈らずにいられない。(池田浩明)

予約受付中! パンラボの新刊

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1月20〜25日 「カネルブレッド」銀座三越催事に登場!
1月20日(水)〜25日(月)まで銀座三越7F 催物会場
「春を待ちわびて、パンとコーヒー。」
カネルブレッド×カフェ・ファソン
新麦コレクションがプロデュースするベーカリー&カフェ。
栃木県那須黒磯からカネルブレッドが登場、オーブンなど製パン機材が持ち込まれ、その場でパンが焼きだされる。

あの那須SHOZO CAFEで、のちにカネルブレッドのオーナーとなる岡崎哲也さん、シェフとなる平山翔さんは出会った。
当時パティシエをしていた平山さんは、パンへの情熱を抑えきれず、試作をつづけていた。

「そのパンがもうすごくおいしかった」
と岡崎さんは当時のことを思いだす。
平山翔という才能を見いだした岡崎さんは、東北本線・黒磯駅前にカネルブレッドを開店することを思いつく。
焼きたてのパンのぬくもりを提供し、地元の人びとをよろこばせるために。

カネルプッレ
この癖になる食感はなんだろう?
菓子パンのやわらかさを想像しながら噛む。
しなやかにふにっとしつつさくっと痛快な歯切れ。
そこからゆっくりと溶けてくる。
子供の頃、食べ終わるのが惜しくて、ビスケットをしゃぶったことを思いだす。
シナモン,カルダモン。
エッジの効いた香りなのにどこかやさしく。
北欧の伝統を踏襲しながら、日本のなつかしさを潜ませる。

28歳の平山さんが新世代のパン職人である所以。
それは、素材からのインスピレーションを受けてパンを作っていくことにある。
とりわけ国産小麦をごく自然なものとして使いこなす。
そもそものきっかけは、十勝の前田茂雄さんの畑を訪ねたことだった。

「国産小麦でしかできないパンがある。
国産小麦で日本のパンを作りたい。
外国のパンを国産小麦で作るのではなく。
日本人が自分たちのパンを作る時代。
もち食感は日本人に合っていますし。
吸水を多くし、国産小麦を使ったフォカッチャは、特に年配の方ほど好まれます」

ディンケルメロンパン
香ばしいビスケット生地の心に食い込んでくるフレーバーは、滋賀県大地堂のディンケル小麦(スペルト小麦。小麦の原生種)のもの。
噛む快楽があり、しかもぱさつきもないパン生地は甘さがほのかで、口の中で一気に溶けて小さくなり、ビス生地の甘さをうまく中和して、さわやかさへ導く。

食べるのが好きな平山さんが、おいしいものを求めて東京を巡っていたとき。
一軒の店に出会ったことが、パン職人への転身を決定づけた。
吉祥寺、ダンディゾン。
木村昌之さん(ダンディゾン元シェフ)は素質を見抜いてか、店を訪ねた平山さんに、仕事の手を休めて長い間パンの話をした。

「木村さんの話しを聞くだけで学びになる。
聞いたことを、あとから自分で噛み砕いて、参考にしました。
尊敬する方々の背中を追いかけている。
でも、同じことはやっていません」

弱冠28歳。
少しの間、パン屋で働いていた経験はあるが、ほぼ独学というから驚く。
パンの常識に縛られないということがプラスに働いているのだろう。
平山さんのような新しい世代が登場してきたのは、素材中心・国産小麦の使用へと傾いていくパン業界の流れがある。

「木村さんや、片根さん(カタネベーカリー)が一気に、みんな変えてった。
東京の店を見てまわるとすごく刺激を受けました。
見たものを持って帰って、試作をする中で、レシピがシンプルになってった。
材料の点数が極端に減りました」

素材の素。
恐れずにそれと向き合ったとき、きっと素材は新しい魅力を放ち、澄んだ音色を奏ではじめたことだろう。
その作り手自身の感動を、カネルブレッドのパンからは食べ手も感じることができる。

林檎とイチジクのジャムパン
イチジクが放つブラウンの甘さ、フレーバー。
ブランデーの香気がそれを後押しする。
りんごの甘酸っぱさがそこに合わせられ詩的な次元へと昇華されている。
ぷるんとしたパンの食感のおもしろさ。
でも普通の菓子パン生地とはちがっていて、砂糖よりも香ばしさ、小麦の甘さが全面に出ている。
だからこそ、フィリングと合わさって実に味わい深く、一口運ぶたびに趣きを変えるので、パンの魅力にずぶずぶと引き込まれてしまう。
いちじくの種がぱちぱちとはぜることさえ食感のおもしろさとして味方に取り込む。

365日の杉窪章匡さんはもっとも影響を受けた一人だという。
キタノカオリに粉対比100%の水分を入れて作られる、365日「ソンプルサン」。
そのみずみずしくクリアなおいしさは、平山さんに国産小麦で主食になるパンを作ることへの可能性に目覚めさせた。
製法を予測し、油脂をオリーブオイルに変えて、何度も試作を繰り返し、「フォカッチャ」の形に落としこんだ。
もちもち感、ごはんのような食べやすさ。
それはイタリアのパンではなく、日本の麦で作る日本人のためのパンだ。

最後に、以前平山さん自身から送られてきたメッセージを載せたい。
「麦や作物を育てる方へ敬意を表し、食材を扱うこと。
それらを食べる方々を気遣い、寄り添うこと。
日本の四季を感じ、食材の旬を楽しみ、味わうこと。
安心安全という安堵感、驚きや興奮、そして美しさなど。
私たちは『美味しい』の、その先にあるものを大切にし、一つ一つ丁寧にパンを焼いています。
『LOCAL FOOD  & GOOD COMMUNICATION』」

カネルブレッド
JR東北本線 黒磯駅
栃木県那須塩原市本町5-2
0287-74-6825
7:00〜18:00(火休)

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1月30日 片根大輔×入江葵×池田浩明
 「わたしたちの大好きなパンについて語ろう」
カタネベーカリーが作った「日々のパン」。
そして入江葵さん+青山パン祭り by Bread Labの「CRAFT BAKERIES」。
おいしいパンを食べると作った人に話を聞きたくなるように、おもしろい本を読むと書いた人にもっともっと聞いてみたいことが出てくる。
2冊の本のページに書かれたその先を2人に聞いてみたい。

2016/01/30 Sat 19:00〜
片根大輔×入江葵×池田浩明

「わたしたちの大好きなパンについて語ろう」
 
『毎日のパン』(アダチプレス)
『CRAFT BAKERIES』(メディアサーフコミュニケーションズ)刊行記念



前売り券
2000円(ワンドリンク+カタネベーカリーのパン付き)

お申し込みはこちら



2015年末に刊行された2冊のパンの本。
カタネベーカリー『毎日のパン』は作る側から、Bread Lab『CRAFT BAKERIES』は食べる側から、どちらもこれまでにないパン本となりました。
このイベントでは著者のお二人を招き、「パンラボ」こと池田浩明さんを進行役として、パン愛にあふれたトークを展開します。



前半は、入江さんと池田さんが「私の好きなカタネのパン」について片根さんに質問し、カタネベーカリーの秘密に迫ります。


後半は『CRAFT BAKERIES』のサブタイトル「パンの探求 小麦の冒険 発酵の不思議」をめぐって語り合います。


2冊の本に秘められたテーマが明らかになるとともに、2016年の日本のパンを占う一夜となることでしょう。



ご参加の方はカタネベーカリーの長時間発酵のフランスパン、クロワッサン、パン(という名前のパン)をご試食いただけますので、実際に味わいながらお楽しみください。



『毎日のパン』


『CRAFT BAKERIES』

【出演者プロフィール】


片根大輔(かたね・だいすけ)
カタネベーカリー・シェフ。
2002年、代々木上原にオープン。
2007年からはカタネカフェも営業。
ブルーボトルコーヒーへのパンの提 供、ほぼ日の「こわくないくまのパンや」への参加など仕事の幅を広げつつ、朝2時半から生地を仕込む毎日。
2015年11月に『毎日のパ ン』(アダチプレス)を出版。

入江葵(いりえ・あおい)
Bread Labチーフ・ディレクター。
モデルやMCをしながら、青山パン祭りなどパンにまつわるさまざま仕事を行い、2015年12月に『CRAFT BAKERIES: THE STORY OF ARTISAN BREADーーパンの探求 小麦の冒険 発酵の不思議』(メディアサーフコミュニケーションズ)を出版。

池田浩明(いけだ・ひろあき)
ライター、エディター。
パンのことならどこへでも足を運び、何でも掘り下げる「パンラボ」を主宰。
著書『サッカロマイセスセレビシエ』、 編著『パンの雑誌』(ともにガイドワークス)など。
2015年にはカタネベーカリーも参加する「新麦コレクション」(NPO法人申請中)をスター ト。
新麦コレクション http://mugikore.net
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春を待ちわびてパンとコーヒー カネルブレッド+カフェ・ファソン
新麦コレクションの冬企画として、
1月20日(水)〜25日(月)まで銀座三越7F 催物会場で、
小麦が主役のベーカリー&カフェをオープンいたします!
題して、「春を待ちわびて、パンとコーヒー。」

 
カネルブレッド。
みなさん、この店名をぜひ覚えてください。
弱冠28歳の平山翔さんがシェフを務めるパン屋。
素材を重視したパン作りを行う新世代が台頭してきたのです。

フォカッチャや食パンはもとより、メロンパンやあんばたまで。
彼の作るパンからは小麦の声が聞こえてきます。
小麦のフレーバーや食感を、副素材やフィリングと合わせつつ、こんなにうまく引き出すことができる新星が現れたことは事件ではないでしょうか。

今回、栃木県那須黒磯からカネルブレッドが特別に銀座三越に出張。
オーブンやミキサーを入れて、その場で焼きたてのパンを提供。
東京の人たちに、最良の状態でカネルのパンをお披露目いたします。

そして、最高のパートナーに参加いただけることになりました。
中目黒のカフェ・ファソン。
ZOPF、365日、トラスパレンテなど並みいる名店に愛され、豆を提供している自家焙煎の雄。
オーナーの岡内賢治さんもまた、テロワールを表現することにすばらしく長けた方です。
小麦のフレーバーを重視したパンに圧倒的相性を見せる「新麦ブレンド」を引っさげて、登場します。
その場で一杯一杯丁寧にお淹れする他、シングルオリジンの豆も販売。
パンとコーヒーの驚くべきマリアージュをぜひ体験してください。(これについては後日詳報)

この企画は、銀座三越7階 催物会場で行われる「GINZAでパンとコーヒー」展の目玉として行われます。
会場には他にもいろいろなパン屋が出展。
池田も基本的にずっと会場におります。
青山パン祭りチームのパンアイドル・入江葵さんもカネル大ファンとしてサポートしていただきます。
ぜひ遊びにきてください!(池田浩明)
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新麦パーティ報告
あけましておめでとうございます。

おいしくて、安全な小麦がもっと日本中にあふれる未来を目指し、新麦コレクションは今年もっと活動を加速させたいと思っております。
引き続き応援をよろしくお願いします。

たいへん遅くなりましたが、2015年10月17日に、ログロード代官山内「GARDENHOUSECRAFTS」で行われた「新麦パーティ」のご報告です。
新麦の収穫を祝い、小麦がやってきた大地や収穫した農家さんの仕事に思いを馳せ、感謝する収穫祭がこの「新麦パーティ」です。

10:30からスタートした新麦パーティ【販売会】。
朝まで降りつづけた強い雨は予報に反して奇跡的にあがり、なんとかイベントを開催することができました。
とはいえ冷たい風が吹く寒い天候の中、たくさんの方に足をお運びいただき、行列までできたことは、たいへんありがたいことです。

(ソーケシュ製パン+トモエコーヒー)

GARDENHOUSECRAFTS周辺のスペースに白いテントが立てられ、特設ブースにおいしそうなパンが並べられました。

(麦家)

全国各地の新麦の個性をパンとして表現したい。
各店のパンはそんな思いにあふれていました。

(リュミエール・ドゥ・ベー)

第1回10:30〜
カネルブレッド(栃木)、ブルージャム(福岡)、麦家(宮城)、
ソーケシュ製パン(北海道)、リュミエールドゥベー(神奈川)、テーラ・テール(愛知)、パンストック(福岡)


(川越ベーカリー楽楽)

第2回12:30〜 
パーネ・エ・オリオ(東京)、宗像堂(沖縄)、和むぎやろくじゅう(埼玉)、GURUGURUBAKERY(東京)、川越ベーカリー楽楽(埼玉)、TOLOPANTOKYO(東京)、チクテベーカリー(東京)

(和むぎや ろくじゅう)

第3回14:30〜
シェ・ジョルジュ(広島)、ヨシダベーカリー(東京)、komorebi(東京)、コウボパン小さじいち(鳥取)、セテュヌ・ボンニデー(神奈川)、禅ぱん(広島)、ムール・ア・ラ・ムール(神奈川)

販売にあたったのは、ボランティアの人たち。
笑顔で接客、みんなの力を合わせて、このイベントを支えてくれました。

13時からGARDEN HOUSE CRAFTS屋上で行われたのは新麦パーティEATLIVE!。
全国8つの小麦産地から生産者・製粉会社が来場。
8人の人気シェフとチームを組んで、今年の新麦を表現したパンを出展しました。
来場者は8つのブースを巡り、パンを受け取り、直接作り手と触れ合う。
またマイクでは作り手のインタビューを随時行います。
ミュージシャンのように、農家やパン職人が行う、食べるライブなのです。

■江別製粉(北海道) × ブーランジェリーレカン割田健一シェフ
ハルユタカ30周年を記念したバゲット「2015ハルユタカポーリッシュ」。
国産小麦でパンを作ることなどほとんど誰も想像していなかった時代から、地元の小麦をすくいあげ、ブランドとして確立したのは江別製粉でした。
それを記念するパンとして、はるゆたかの個性を最大限に活かすため、副材料の入らないバゲットを選択しました。

そして、ホットワインをイメージ、山梨のカベルネ・ソーヴィニョンとスパイス、銀座のはちみつ、みかんを入れた「春よ恋」。
廣瀬さんのスペルト小麦の粒、チーズ、たまねぎソテー、千葉の加瀬さんのピーナッツを混ぜたリゾットパン「キタノカオリ」。
割田シェフが大きく焼いたパンは来場者の歓声を誘っていました。


■前田農産・前田茂雄(北海道) × ブラフベーカリー 栄徳剛シェフ
自らの味わいを強く主張するより、食感のよさや製パン性で他の小麦や具材を活かすのが、はるきらり。
そのさっくり感や香ばしさを活かすために、栄徳シェフが弾き出した答え。
ブラフベーカリー名物のミルクフランスに仕立てることです。
引きのない不思議な食感は、小麦粉の30%だけ先にローストしてグルテンを死活させるテクニックで作られます。

前田さんはジーンズで作ったかっこいい作業服で来場。
高齢化が進む農業を若い人があこがれるような職業にするための試みです。

■素材舎(三重県) × カタネベーカリー 片根大輔シェフ 
もちもちの食感がおもしろい「桑名もち小麦」。
もちを思わせる和の食感がふさわしいパンはあんぱん。
智子さんがあんを炊き、片根シェフが包あんする。
このイベントのために夫婦で200個以上も作りました。

いま話題のオーブントースター「バルミューダ」がもちこまれあたためられたあんぱんは、表面ぱりっと、中もちっと、あんことろとろという最高の食感。
寒気も手伝って最高のおいしさとなりました。

■前田食品(埼玉) × タルイベーカリー 樽井勇人シェフ
埼玉で作られるハナマンテン。
かっては麺用しかなかった埼玉で、パン用小麦を作るのは年来の悲願でした。
ハナマンテンを作る農家、川越のとなり坂戸市の原さんも来場してくれました。

新麦の名にふさわしく、10日前に挽いた埼玉県産の小麦「国産ふらんす」。
それを使って、樽井勇人シェフが作ったのは伊予かんピールとマカダミアナッツ入りのパンです。


■ぼくらの小麦(山梨・神奈川) × 365日 杉窪章匡シェフ
おいしい空気、寒暖差があり乾燥した気候、きれいな水。
小麦をおいしくする要素がすべて揃ったような山梨県の高原地帯・北杜市で作られた小麦を石臼で挽いた「ぼくらの小麦」。

杉窪シェフは小麦のフレーバーを最大限に表現するため、あえて無発酵でパンを作りました。
数珠のように小さな玉がつながっているのを手でちぎって分けあう形。
生産者、製粉会社、流通業者、パン職人、消費者がつながりあうという新麦コレクションの理念を表現したパンです。
■湘南小麦(神奈川) × ル・ルソール 清水宣光シェフ
おいしさにこだわって作られた小麦を、風味をとばさないよう低速で石臼を挽いて作られる湘南小麦。

清水宣光さんが湘南小麦のパンにアンチョビバターをはさんだのは、湘南→しらす→いわし→アンチョビという連想から。
■大地堂・廣瀬敬一郎(滋賀) × パーラー江古田 原田浩次シェフ
個性の塊のような二人組。
原田浩次さんがディンケル小麦で作ったのは、粒のディンケル小麦を炊いて生地に混ぜ込んだパン。
また、原田さん自身が収穫してきたワイン用のぶどうを種のままちらしたスキャッチャータも販売。

イタリアで秋の風物詩となっているスキャッチャータは収穫祭にふさわしいパンです。
ワインも持ち込まれ、お祭りの雰囲気が漂いました。
■ろのわ・東博己(熊本) × パンデュース 米山雅彦シェフ

米山シェフが「ミナミノカオリ」の全粒粉で作った「 み な み ち ゃ ん の パ ン ケ ー キ 」 は、パンとパンケーキの中間。
全粒粉ならではの野性的な香りを発酵クリームやバターの甘さやミルキーさでバランスさせたもの。
自然の感動を、やわらかくソフィスティケートした形で伝えたいという米山さんの狙いがはまっていました。

千葉県産のピーナッツペーストがベーカリーの圧倒的支持を受けているボッチの加瀬宏行さんがブースを出したり。

世界各地の豆の個性を見事に表現して焙煎するカフェ・ファソンの岡内賢治さんもパンに合うコーヒーを供してくれました。

こんな一幕もありました。
観客として来場していた若い農家・小林祐さん(群馬県すみや農園)。
私は数年前、農業をはじめる前の小林さんに大地堂(滋賀県)の廣瀬敬一郎さんのところで出会ったことがあります。
自分もディンケルを育てたいと廣瀬さんに話を聞きにきていたのです。
あれから3年、小林さんは農園主となりいよいよディンケル小麦を植えることになり、このイベントの中でディンケルの種(つまり小麦の粒です)が手渡されたのです。
来場者みんなに祝福され。
農業は高齢化が進み、離農する人が後を絶ちません。
そんな中、おいしくて安全な小麦を育てる人にもっと出てきてほしい。
新麦コレクションの切なる願いです。

東博己さんも挨拶で言っていたように、イベントに参加した農家さんは、自分の丹誠込めた麦を食べる人を見て、本当によろこんでくれました。

観客のみなさんはどうだったでしょうか。
みなさんの笑顔が会の成功を物語っていたと言うのは、手前味噌でしょうか。

最後になりましたが、ご来場いただいたみなさま、そして運営を手伝ってくれたボランティアのみなさま、ご協力いただいたパン屋さん、その他の業種の方々。
みなさまに厚くお礼を述べたいと思います。

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おせちの魔法
あけましておめでとうございます。

正月である。
世間は紅白を見て、除夜の鐘を聴き、そしておせち料理に意識をぜんぶもっていかれていることだろう。

だが、私の頭の中は常にパンである。
おせち料理を目の前にしてもパンのことを考える。

黒豆。
甘く煮た豆とバターとパンはすごくよく合うものなのだ。
あんバタしかり、ブリオッシュあんぱんしかり。

正月といえば、黒豆をバタートーストにのせずにいられない。

あるいは、なます。
こんなにパンに合いそうにないものなんて他にないんじゃないかとさえ思える。
日本酒の肴か、雑煮の間に食べるぐらいだろうと。

でも、よく考えると、ベトナムのバインミーサンドに入っている。
なますからわざわざ作ってバインミーサンドを家で食べようとはなかなか思わないのだから、すでになますがある正月こそバインミーを自作する千載一遇のチャンスではないか!

家でもできる簡単なバインミーサンドイッチの作り方を、高田馬場はバインミーサンドの総本山「バインミーサンドイッチ」の木坂幸子さんに教えていただいたことがある。
詳しくは『人生で一度は食べたいサンドイッチ』(PHP研究所)という私の著書に譲って、この正月は自己流にアレンジした方法でやってみたい。

トーストした食パンにサワークリーム(なければマヨネーズ)を塗って、なますをのせ、塩ゆでした海老をのせる。
さらにアボカドをのせる。
パクチーがあればいうことないが、うちにはなかったのでコリアンダーのパウダーで代用、そしてピンクペッパーもふりかける。

おせちからのバインミー風サンドイッチ「エビとアボカド」完成。
あれ、バインミーは食パンではなくバゲットで作るものでは?
はい、たしかにその通り。

あえて食パンにしてみた理由。
こんな本を2月19日に発売するからです

もっとも身近なパンである「食パン」でみなさまの食卓をもっと幸せにする一年にしたいと思っております!(池田浩明)


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