パンの研究所「パンラボ」。
誌面では紹介しきれなかったパンのあれこれをご紹介します。
パンのことが知りたくて、でも何も知らない私たちのための、パンのレッスン。
「とかち小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京」イベント開催!
小麦畑の感動がそのまま届く。
「とかち小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京」が、9月28日(日)に青山・国連大学前広場「ファーマーズマーケット」内で開かれる。

■イベント内容詳細
○ヌーヴォーパン解禁即売会 
次世代のトップブーランジェたちのヌーヴォーパンが全国より一堂に集まる夢のパン即売会。ブーランジェの個性と感性が新麦のポテンシャルを存分に引き出し表現します。旬な小麦の味と香りを唯一無二のヌーヴォーパンでお楽しみいただけます。 
1.即売会 第1部 10:00〜13:00(※都外のお店が中心となります。)
2.即売会 第2部 14:00〜17:00(※都内のお店が中心となります。)

参加店舗(敬称略:50音順)
・カタネベーカリー(東京)
・komorebi(東京)
・ブーランジェリーレカン(東京)
・365日(東京)
・シティベーカリー(大阪)
・セテュヌ・ボンニデー(神奈川)
・ダンディゾン(東京)
・Cicoute Bakery(東京)
・テーラ・テール(愛知)
・パーラー江古田(東京)
・パラオア(千葉)
・パンストック(福岡)
・パンデュース(大阪)
・ベッカライ ビオブロート(兵庫)
・ブルージャム(福岡)
・もあ 四季彩館(神奈川)
・ル ルソール(東京)
・ヨシダベーカリー(東京)
・nukumuku(東京)
※都合により販売が中止となる店舗がある場合がございます。予めご了承いただけますようお願い致します。


9月23日に解禁となる、とかち小麦ヌーヴォー。
全国200店舗に及ぶパン屋が参加。
今年の8月にとれたばかりの小麦を使って、思い思いのパンを作り、それぞれの店頭で販売する。
その中でも新進気鋭の若手パン職人が、国産小麦にふさわしい「日本のパン」を提案するイベントというのが「東京イベント」の位置づけである。

そもそも、とかち小麦ヌーヴォーとはなにか。
ボジョレヌーヴォーのように今年の小麦のでき具合をいち早く味わい、収穫のよろこびを分かち合う。
収穫された小麦がこんなに早くパンになることは従来なかった。
製粉された小麦粉は数週間〜数ヶ月に及ぶエイジング=熟成期間がおかれるからだ。
酵素活性を弱めパンを作りやすくすることが目的だが、一方で挽きたての風味は薄れていく。
小麦の香りをそのまま食卓に届けたい。
挽きたての小麦粉でパンを作るという困難な試みにあえて挑戦するのが、今回とかち小麦ヌーヴォーに参加するパン屋である。

国産小麦の時代がやってくる。
パンの原料となる小麦粉は、北米から輸入されたものが普通だった。
製粉会社の努力により、あらかじめ繊細にブレンドされ、パンが作りやすいよう調整がなされている。
それは銘柄や機能によって語られるばかりで、小麦の作り手や、それを生み出す自然に思いが及ぶことはあまりない。
奇妙なねじれだ。
海の向こうから小麦を取り寄せなくても、私たちのすぐそばで小麦は栽培されているのだから。
とかち小麦ヌーヴォー参加店の多くは、北海道に足を運び、十勝の広大な原野に広がる広大な小麦畑を自分の目で見た。
農家と会話をし、彼らの苦労と情熱に共感し、小麦のひと粒さえ無駄にせず、本来の香りを活かしきってパンを作りたいと願っている。

小麦はそれぞれの品種に特徴がある。
土地によっても、栽培方法によっても、風味やふくらみ方も変わる。
今年の小麦の個性をどのように表現するのか。
各シェフによる競い合いを目の当たりにできるのが、とかち小麦ヌーヴォー東京イベント最大の楽しみである。
パンラボblogでは、当日まで参加各店のプロフィールと最新情報を発信していく。

主催のアグリシステムは、北海道・十勝に本拠を置く製粉メーカー。
すべての小麦を契約栽培、農家から直接届けられた原料で小麦粉を作る。
ロッドことにぜんぶナンバリングされ、生産者名だけではなく、栽培方法(肥料や農薬を何回与えたか)まで記録される。
現在望まれる最高の安全・安心システムといえ、一部農家限定の小麦粉も販売している。
フィールドマンが各農家を巡り、高品質な環境保全型農業をともに作りあげていく取り組みを行う。
石臼をゆっくりまわす「石臼方式」、石臼挽きに近い状態に挽ける昔ながらの粉砕型製粉をヒントにした独自の「麦の風方式」による製粉を採用。
えぐみのある表面1層のみを削りとり、栄養価も風味も高いふすまの部分を残した全粒粉を提供することにこだわりを持つ。
それら先端的な取り組みが評価され、多くのパン職人から篤い信頼を得ている。

とかち小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京
■日時 2014年9月28日(日)10時〜16時
■場所 青山ファーマーズマーケット http://farmersmarkets.jp/
      青山・国連大学前広場(港区神宮前5-53-70)

なお、12時半13時より(12時12時半開場)会場内でトークショーが行われる。


小麦でつながるトークショー
出演:杉窪章匡(365日オーナーシェフ)
   岩永歩(ル・シュクレクールオーナーシェフ)
   寺町智彦(小麦農家)
   伊藤英拓(アグリシステム専務)
   池田浩明(パンラボ主宰)
時間:9月28日13時〜14時(開場12時30分)
場所:とかち小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京イベントステージ(青山・国連大学前広場内)
特典:365日、ル・シュクレクールの一般販売されないイベント用のパン、アグリシステムのヌーヴォー小麦ゆめきらり(500円相当)がおみやげにつきます。
定員:先着30名限定
チケット:1000円
販売方法:当日12時半より、会場内のレジで販売いたします。

全国各店舗で開かれるとかち小麦ヌーヴォーの情報はこちらへ

小麦ヌーヴォー comments(0) trackbacks(0)
小麦ヌーヴォートークショーにル・シュクレクール岩永歩シェフ登場
とかち小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京(9月28日@青山・国連大学)、13時からは「小麦でつながるトークショー」が行われる。
生産者、製粉会社、パン屋、そして消費者が緊密に手を取り合うことで、小麦畑の風景を食卓に届けることがテーマになっている「小麦ヌーヴォー」。
その4者を代表し、十勝の小麦農家、365日の杉窪章匡シェフ、アグリシステムの伊藤英拓専務、そしてパンラボ池田浩明がトークを行う。
サプライズゲストとして、大阪の名店ル・シュクレクール岩永歩シェフも登壇。
そのプロローグとして岩永シェフの「小麦ヌーヴォー」への思いを紹介する。

フランスでの修行でパンの魂をつかみ、それを原点としてパンを作る岩永シェフ。
パンにとってもっとも大切な小麦、それを農家からパン職人へ手渡す役割を演じる製粉会社の存在感が日本では低かったことを、問題提起する。

「もともと、日本での、製粉会社とパン屋のつながりの浅さにずっと違和感を感じていました。
店にくるのは背広をきた営業マン。
フランスでは直接、製粉会社のロゴが入った車で粉をもってくるんですよね。
ミキサーの上のクローゼットや、屋根裏のタンクに放りこむ。
フランスでもパン屋の開業にはお金がかかります。
製粉会社でちゃんと研修した人は製粉会社が開業資金の保証をしてくれる。
バネットというブランドも製粉会社が作ったもの。
製粉会社が基準を作って、それを満たしているパン屋にお墨つきを与える。
製粉会社とパン屋の結びつきが強い」

生産者、製粉会社、パン屋がもっと連携しあうことで、おいしい小麦、おいしいパンが生まれるはずだ。
製粉会社が主催し、小麦の、農作物としての側面を訴えるこのイベントで、日本のパン文化は新しい扉を開いたといえるだろう。

「小麦粉も農産物であることがまだまだ認識されていない。
粉袋に入って届いた粉ありき。
粒の状態じゃないので農産物という認識がパン屋さん自身にとっても薄い。
挽きたてうんぬんより、小麦が農産物であることを訴える手段として、このイベントはいいことだと思います。
このパンの向こう側には生産者がいる。
知識としては知っているけど、本当にはわかっていない。
まずは、パンが農産物であることを理解してもらいたくて」

バゲットを齧った瞬間、小麦畑の風景が浮かぶような。
岩永シェフが自分の作りたいバゲットを伝えるときにする言い方である。
素材を見つめ、自然へ思いを馳せることが、パンの感動を作りだす。

さて、今年産のヌーヴォー小麦を岩永シェフはどう評価し、どのようにパンにするのだろう。
「小麦ヌーヴォーの仕組みを理解していなくて、今回1種類しか粉を頼んでいません(笑)。
スムレラ、これいけますね。
びっくりするぐらいの甘みがあって。
僕は好きです。
愛おしい味です。
プチパンを作りたいと思っています。
シンプルに、小麦粉と塩と酵母と水だけ」

「とかち小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京」で、ル・シュクレクールのパンの一般発売は行わない。
岩永シェフが手で持てるだけのパンを持ち込むため数が限られており、たいへん残念ではあるが、イベント参加者の方にしか食べていただくことができない。
ル・シュクレクールのパンを食べながら、生産者、製粉会社、パン職人の熱い思いを聞いてほしい。(池田浩明)

小麦でつながるトークショー
出演:杉窪章匡(365日オーナーシェフ)
   岩永歩(ル・シュクレクールオーナーシェフ)
   寺町智彦(小麦農家)
   伊藤英拓(アグリシステム専務)
   池田浩明(パンラボ主宰)
時間:9月28日13時〜14時(会場12時30分)
場所:とかち小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京イベントステージ(青山・国連大学前広場内)
特典:365日、ル・シュクレクールの一般販売されないイベント用のパン、アグリシステムのヌーヴォー小麦ゆめきらり(500円相当)がおみやげにつきます。
定員:先着30名限定
チケット:1000円
販売方法:当日12時半より、会場内のレジで販売いたします。
小麦ヌーヴォー comments(0) trackbacks(0)
365日杉窪シェフが語る「小麦ヌーヴォー」
9月23日に全国で解禁となった「とかち小麦ヌーヴォー」。
「とかち小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京」は9月28日、青山・国連大学)
この夏とれたばかりの小麦を挽いてすぐパンにする。
全国のパン屋が今年とれた麦の味わいを表現する。
小麦農家と製粉業者、パン屋が緊密な連携をとることではじめて実現した。
それは自然の営みを見つめ、食べ物の本来のありようを見つめ、食卓と小麦畑をつなげるための取り組みである。
ここから新しいパンのおいしさがきっと生まれてくる。

「小麦ヌーヴォー」の提唱者は東京代々木公園「365日」の杉窪章匡(すぎくぼあきまさ)シェフ。
革新的なパン、鋭いコンセプトで、話題をさらいつづける杉窪シェフが、「小麦ヌーヴォー」の意義と可能性を語り尽くす。
(9月23日、自由が丘のパンレッスン教室「クオカスタジオ」でのトークショーにて)

「農家と製粉会社とパン屋が話し合ったら、もっと小麦粉はよくなるんです」
「4年前、ダンディゾンの木村昌之君とはじめて北海道に行ったとき、こんなことやりたいんだよねって車の中で話したのがきっかけでした。
パン屋にとっていちばん大切なのは小麦粉です。
だけど、農家さんと製粉会社、それぞれの思いや考え方と、パン職人のほしいものが一致してなかった。
農家さんは農家さんで小麦を作り、製粉会社は製粉会社で小麦粉にする。
みんながちがう方向を向いてた。
もうちょっと話し合って、こういう挽き方してほしいとか、話し合って小麦粉を作れたらいいのに。
農家さんはなんで自分たちの思いだけで小麦を作ってたか。
自分の作った麦がどんな味なのか確認ができないんです。
パン作りは特殊技能。
家庭でパンを焼いてもその小麦がおいしいかどうかはわからないですよね。
だからパン職人が代わりに焼いて、自分たちが作った小麦の味を知ることができるチャンスを作ったり、『粉のここの部分の香りはどうやって挽いたらもっとよくできますか?』と製粉会社に訊いたらもっと小麦粉はよくなるんです。
でも、どうしたらそうできるようになるのかわからなくて、ずっと考えていました」

(今回の小麦ヌーヴォーにも参加している、十勝・中川さんの小麦畑を訪ねたとき。忙しい合間を縫って中川さんの小麦で作ったパンをおみやげに持参していた。)

「解禁日を決めて全世界で売りだすボジョレヌーヴォー。
これを小麦に活かせないかな」
「そんなとき、ある人からボジョレヌーヴォーの話を聞いたんですね。
フランスって、畑に植えていいぶどうの品種が決められている。
その土壌に適した品種を植えると農薬の量を減らせたり、栽培がしやすいからです。
ボジョレはロマネコンティみたいなグランヴァン(高級ワイン)の栽培地に囲まれているのに、ボジョレだけはガメイというテーブルワイン(日常用のワイン)しかできないといわれる品種しか植えちゃだめということになっている。
自分が農家だったら悔しいですよね。
このガメイでおいしいワインを作ってやれって思って、試行錯誤してできたのがいまのボジョレ。
『こんなおいしいのできた!』ってなったんですけど、最大の欠点はおいしさが1年しかもたないということ。
グランヴァンは10年、20年熟成させてから飲むものなのに、1年しかおいしくないワインなんて誰が買うんだ。
そしたら、『すぐに飲んでもらうことにしたらいいんじゃない?』ってアイデアが出た。
解禁日を決めて、その1日に全世界で売りだす。
そのために、1度に大量のワインを出荷できるよう、ボジョレの地下には完全に機械化された工場があるそうです。
この話を聞いて、職人でありながらビジネス感覚をもっていてすばらしいなと思いました。
僕のお菓子の先輩たちはみんな職人気質で、自分で栗の皮を剥いて、渋皮煮を煮る。
それが当たり前という環境で僕は育ってきたんですが、商売上手ではない。
すごく手間がかかるので、商売としてはうまくいかない。
そういう人たちが報われないのは嫌だな。
ボジョレヌーヴォーの話を聞いたとき、こうならなくちゃいけないんだと思いました。
職人でいつづけるためには、(仕事にふさわしい対価を稼げる)システム作りをしないといけない。
これを小麦に活かせないかな。
『そういうのできないですか?』とアグリシステムさんに言ったら『おもしろそうですね』。
それが3年ぐらい前。
時間はかかったんですけど、小麦ヌーヴォーができるようになりました」


「内麦のよさは味と香り。
それは外国産には真似ができない」
「フランスでお菓子の修行をしていたとき、フランスの小麦粉がすごくよかったんですね。
こういう小麦を日本で使えたらいいなと思いました。
その後、日本でもフランスの小麦を使えるようになったんですけど、舐めてみると、酸化しているように僕には思えました。
日本に船で運ばれてくるとき赤道を2回通過していますよね。
ひょっとしたらその間に酸化してしまうから、複雑味がなくなるのかもしれません。
フランス人は、自国でいちばんいい食材を消費し、それ以外を輸出用にまわす。
小麦粉を作るときは、単一の小麦では補えないので、複数の小麦をブレンドすることによってバランスをとりますが、そのとき余る小麦を輸出用にするんじゃないかと。
内麦のよさは味と香り。
それは外国産には真似ができない。
オーガニック小麦には外国産でも味と香りがあるものもありますが。
もうひとつは安全性です。
外国からくる小麦は船で運ばれてくるので、収穫後に虫が湧かないよう農薬を散布する。
全粒粉は体にいいみたいなことをよく言いますよね。
そういうのを皮まで使ったら逆に体に悪い。
最低でも全粒粉だけは国産小麦にしてほしいですね」

「挽きたてだから香りがこんなに濃い。
僕ら若い世代の職人はそういう小麦でも使いこなせる」
「ベーグルみたいな形をしたパンを作りました。
ゆでてはないんですけど、ベーグルを意識しました(通常、ベーグルは焼成前にゆでる工程がある)。
キタノカオリ全粒粉を7、ゆめぶれんど(ゆめちから、きたほなみ、キタノカオリ)3で配合。
旨味がすごく濃いですね。
挽きたてだから香りがこんなに濃い。
小麦粉が酸化してないからなんですね。
なんでいままで小麦ヌーヴォーのようなことができなかったかというと、挽きたての小麦は製パン性に問題があると言われていた(酵素活性が高くて発酵が阻害されるので、時間をかけて寝かせないとパンにならないと言われてきた)。
僕ら若い世代の職人(ニュージェネレーション)はそういう小麦でも使いこなせる。
そもそもタイマーとマニュアルを使わないので挽きたての小麦でも違和感がないんですよね。
いつもと計量が同じなのにパンが思いどおりにならないとおっしゃる人がいますが、それってなんでかというと、タイマーとマニュアルでやってるからかもしれません。
うちではミキシングしているときタイマーはかけないです。
生地の状態を見て、ステップを踏めばいいので。
ひとつひとつやるべきことをやれば、ヌーヴォー小麦でもむずかしくない。
普段から生地の硬さを見て、感じている。
もっと水が入ったほうがおいしそうかな、とか。
感じながらミキシングをしているので、小麦ヌーヴォーだろうと苦労はないです」

「僕はパンチをしません。
小麦粉の糖を消費して、味がなくなるから」
「(ヌーヴォーゆめきらりで作った食パンを会場にまわして)食パンの耳、びっくりしませんか?
引きがぜんぜんないでしょ。
これは製法によるものです。
一般的な製法はグルテン(タンパク質の一種で弾性があり、パンをふくらませる働きをする)を出しすぎだと僕は思っています。
ミキシングでグルテンを出すのは風船ガムといっしょの理屈です。
噛めば噛むほど味はなくなっていくけど、(伸展性が高くなって)きれいにふくらむようになる。
ミキシングをいっぱいしたほうが大きくふくらむけど、(酸化して)味がなくなっていくのと同じことです。
僕の作るパンはデュヌラルテ時代から小さい小さいと言われるけど、生地のグラムは普通のパン屋さんのパンといっしょです。
同じグラム数なら小さいほうが生地の味がしっかりする。
通常の製法だと、しっかりこねてグルテンを作ったあとバターを入れますが、僕はミキシングの最初からバターを入れます。
僕は普通の作り方に疑問を持っています。
本に書いてあるような、ミキシングをいっぱいしたり、パンチ(ガス抜き)をしたりする作り方は、失敗しないためのものなんじゃないでしょうか。
型くずれはしにくいけど、味が飛んでしまう。
丸くしたときも丸くふくらみやすい。
リスクを減らすための作り方であって、おいしくするための作り方ではないというのが、僕の認識です。
おいしいパンを作るためには、(高速で)ミキシングをしないこと。
365日には長くミキサーをまわすものも、手ごねのものもありますが、グルテンはあまり作らない。
グルテンは味がないものですから。
グルテンを出さないほうが、歯切れがよく、味が残る。
パンチは生地の中に溜まったガスを抜いて、新たな酸素を入れることで、酵母を活性化させる。
酵母の活動が活発になり、小麦粉の中の糖を消費してしまうので、味がなくなる。
だから僕はパンチをしません。
生地は20種類以上ありますが、パンチをするのは3種類だけ。
食パンもパンチをしていません」

「なんで僕は粉の状態で味を見るのか。
小麦粉の色と味と香りの関係性を重視している」

(トークショー冒頭、参加者に3種類の小麦粉がまわされた。
杉窪シェフは小麦粉の状態で必ず味見をし、それをブレンドに役立てる。
パンの味と香りの成分はすでに小麦粉の状態の中にふくまれているのだ)

「小麦粉のテイスティングは、色と味と香りの関係性を重視しているんですね。
赤ワインを例にすれば、薄い色の赤なのか、濃い色の赤なのかで、見つかる香りがちがう。
薄い色はいちごのような香り。
濃い赤はカシスみたいな凝縮している香り。
いちごは、まわりは赤いけど中は白いから、明るい赤に共通した香りがある。
黄色い食べ物には黄色同士、緑色の食べ物には緑色同士の共通した香り、味がある。
それと同じように、小麦粉にも色があります。
わかりやすく4つの色で考える。
白、黄色、茶色、灰色。
この4系統に分かれます。
白は無味無臭。
外国産小麦がそうです。
黄色はキタノカオリ。
乳製品の香りがします。
バターが入っているみたいな味があるバゲットがありますが、あれは黄色ですね。
茶色は全粒粉。
ローストしたような香りがあって、旨味が強いです。
先ほどのベーグルは、キタノカオリの全粒粉なので、黄色と茶色。
甘くて旨味がある。
灰色は穀物系の香り。
ちょっと臭みがあります。
この4系統に分かれる。
北海道は黄色系、九州はグレー系が多い印象です。
それを5段階評価します。
例えば粉を舐めたとき、最初は茶色の3、その後は白の2と評価します。
この場合は時間が経つにつれ、味がなくなっているわけです。
反対に、最初が黄色の3、後が黄色の2なら味が持続している。
これを利用すれば、バゲットを作るときなら、もうちょっと甘いほうがいい、もうちょとふすまを足したほうがいいとか、ブレンドしやすくなります。
いままでは数値(タンパク値や灰分)を重視して、あとは試作でなんとかするやり方。
僕は味と香りを残す製法なので、そうやってやります。
なんで僕は粉の状態で味を見るのか。
水に溶ければ小麦粉の味が薄まるし、ミキシングしたあとならグルテンができるのでさらに味は薄まります。
粉の状態でテイスティングするのがいちばんわかる」


「ひとつの穂が何粒からできていて、どれぐらいの小麦粉ができるのか知ってほしい」
「消費者のいちばん近くに僕らパン屋がいる。
僕たちの仕事は製粉してくれる人、小麦を作ってくれる人がいないと成り立たない。
パン職人にも実際は小麦畑を見たことない人がいっぱいいる。
ひとつの穂が何粒からできていて、どれぐらいの小麦粉ができるのか知ってほしい。
少しでもむだにできないってわかるでしょう。
パンって安い工業製品のように思われるんですけど、そうじゃなくて農産物。
その年によって小麦粉のできはぜんぜんちがう。
それを製粉メーカーさんが工夫して粉にするし、僕らもパンを作る。
それを知ってほしい。
いままで以上にパンの楽しみ方が変わるんじゃないかな。
僕は、小麦にかかわらず、日本にいい食材を増やしていきたい。
そのために農家さんから直接購入したものをうちで販売もしています。
小麦も九州、四国、産地によっていろんな特徴がある。
パン仲間に話をすると、いろんな県の小麦粉でパンが作れるのも楽しみだと言われる。
小麦ヌーヴォーも全国で行えるようになったらいいなと思っています。
解禁日が九州からはじまってだんだん北上する。
そういう活動をすることで、パン屋さん、生産者さん、製粉メーカーさんの最大のイベントになればいいと思います。
今回の「とかち小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京」は、僕が直接交渉していて、選りすぐりのいい店が集まっている。
すごくいいイベントになると思います。

*365日の小麦ヌーヴォー
「ぜんぶで6種類のパンを売り出しています。
角食パン、あんぱん2種類、バターロール、クランベリー。
新作を作るのではなく、普段から販売しているものをヌーヴォー小麦で置き換えています。
そのほうが、普段365日のパンを食べてる人が、新米を食べたときみたいに『おいしいね』と感じられるのではないか。
スムレラ(きたほなみを石臼挽きしたもの)のパンも試作でうまくできたら出します。
今年のスムレラの味を見たとき、すごくよかったんですよね」

ベーグル
このベーグルを食べたとき、「これが新麦の味なんだ」とはっきりわかった。
皮からは焦げた香ばしさではなく、麦そのものが香っている。
味でいうなら、バターのようなコクとして、麦のニュアンスがとろけてくる。
黄色と茶色を帯び、水分をふくんでぬめるような光沢がある中身。
そこからむんむんと鼻からも口からも穀物系の香りが激しくも放たれる。
それは直線的に減っていくのではなく、一度森の深奥のようなさわやかさを通り抜けるのだ。

食パン
ほんの少し耳をちぎって口に入れてみただけで。
いま舌の上でバターがとろけている。
そう思うほどバターが香る。
バターの甘さの中に分ちがたく麦の甘さも溶けこんでいる。
引きがないので、まるで繊維を裂くように耳も中身もちぎりとれる。
だからとてもふさふさして気持ちいいのだ。

新米のように、新そばのように、製粉されたばかりの小麦粉を使い、そこからのインスピレーションをパンにする。
「小麦ヌーヴォー」のコンセプトは本当に表現されうるのだろうか、という一抹の不安を杉窪シェフのパンは完全に打ち砕いた。
素材から受け取る豊かなイマジネーションは、小賢しいテクニックを完全に凌駕する。
とかち小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京が本当に楽しみになった。

(池田浩明)

杉窪シェフ出演!
小麦でつながるトークショー
出演:杉窪章匡(365日オーナーシェフ)
   岩永歩(ル・シュクレクールオーナーシェフ)
   寺町智彦(小麦農家)
   伊藤英拓(アグリシステム専務)
   池田浩明(パンラボ主宰)
  
時間:9月28日13時〜14時(会場12時30分)
場所:とかち小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京イベントステージ(青山・国連大学前広場内)
特典:365日、ル・シュクレクールの一般販売されないイベント用のパン、アグリシステムのヌーヴォー小麦ゆめきらり(500円相当)がおみやげにつきます。
定員:先着30名限定
チケット:1000円
販売方法:当日12時半より、会場内のレジで販売いたします。


小麦ヌーヴォー comments(0) trackbacks(0)
「小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京」出品FILE03 komorebi
9月28日(日)に青山・国連大学前広場で行われる「とかち小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京」
ボジョレヌーヴォーのように、今年とれた麦をいち早くパンにして、みんなで味わう。
錚々たるパン屋が集結し、麦の豊穣をお祝いするお祭りです。

井の頭線・西永福。
この住宅街と公園の駅に、メディアにほとんど登場しない名店が潜んでいた。
komorebi。
そのパンはじわっとやさしい。
どのパンを食べても、ぜんぜん別々の味なのに、パンが溶けていくそのときには、じわっと麦の味が滲みるようで、それがすごくやさしいのだ。
秘密のひとつが、北海道産小麦と、それを使う姿勢にある。

「もうずっと北海道産を使っています。
ライ麦だけはドイツ産も使っていますが、それ以外すべて北海道産。
味わいが自分の好みに合っている。
実際に畑に行くと、すごく環境がいいんですよね。
ここで育ったらそりゃおいしくなるよな、って思いました」

他のどんなファクターよりも、素材そのものの味を重視する齊木俊雄さんがアグリシステムの小麦粉に惚れ込んでいる。
「最初にスムレラがすごく気に入りました。
味、香り。
割合を少し変えただけで味ががらっと変わってくる。
それだけ小麦の個性が出ているということなんですね」

(店頭で販売されている通常のベーグル)

とかち小麦ヌーヴォーのために作る特別なパン。
齊木さんが選んだのはベーグルだ。
「しっかりと小麦の香りがするベーグルです。
オーガニックイースト、オーガニックアガペシロップを使って。
2種類の種も入れて凝った作り方をしています。
どうやったら翌日もおいしいベーグルになるか考えました。
リベイクしたら焼きたてと変わらない。
あたためれば3日目でもおいしい。
キタノカオリとか使ってるんで穀物系の香りがあります」

今年の麦の味を表現するのに、なぜベーグルが適しているのか。
「キタノカオリ、スムレラ、モンスティル、ユメキラリ。
4種類の粉を使っています。
ベーグルは発酵時間が短いし、吸水が低いので酵素活性が低い。
そのために、小麦そのものの味が伝わりやすいパンです。
ベーグルはしっかり噛むパンなので、その部分でも小麦の味を感じてもらえますし。
プレーンなもの、それといつもは出してない、他で食べられないような食材の組み合わせのベーグルも2種類用意しようと思っています」

komorebiで瞠目したのは食パンのおいしさであった。
キャラメルの香りのする耳は、噛んだ瞬間甘く、あとからじわっと麦の香ばしさがじわりと滲んでくる。
中身にはやさしくも官能的な発酵の香り。
噛むと鳴き砂のようにきゅっと鳴る。
それが聞こえてくるのは、弾力とやわらかさを兼ね備え、歯をぽわんと押し返すからに他ならない。
耳たぶの硬さというべきか、赤ちゃんのほっぺたの硬さというべきか。
そして触り心地は羽毛のなめらかさ。
しゅわっと溶けてきて、バターの甘さとともに発酵の香りが本能的な部分に訴えかける。
甘さはじわりじわりとのびてくる。
決して刹那的な速度に至らない。
このやさしさがkomorebiのパンを特徴づけるものなのだ。

この食パンは、齊木さんが北海道との関係を深めるきっかけとなった前田農産(農家限定の小麦を売り出した先駆者)の小麦を使って作られる。
「前田茂雄さんの畑に行ったのは、オープンして1年目でした。
それから毎年北海道には行ってますね。
行くたびにより思い入れが強くなる。
食パンに使っているのが前田さんの春よ恋。
本当においしいレシピができました。
耳がおいしいんですよ。
そのままかじってくれればわかると思います。
春よ恋の特徴は、こしひかりの甘みに似ているところです。
前田さんのは特に味が濃い。
日本人の主食としてのパンに合っている。
春よ恋は乳製品との相性もいいですし。
食パンにはバターと牛乳を入れています。
パン酵母(市販のイースト)だけではなく、酒種から起こした自家製のルヴァンリキッドを入れているので、すごく芳醇な香り。
お米由来なので、酸味が出にくい。
製法は秘密ですが、一次発酵をとっていません」

そして食パンの、あの冴えた甘さの理由をこう語った。
「冷たいバターを細かく刻んで入れています。
冷えてかちかちのバターを入れてミキサーをゆっくりまわす。
素材自体の持ち味を殺してはいけない。
高速でまわすと酸化して、熱を帯びて、素材が劣化する。
刻んで入れると、ミキシングしてまわしてる最中の香りがもうちがうんですよね」

クロワッサン
バターの滲みぶり、半端なし。
透けて見えるほどの薄い皮はまるでうつくしいトンボの羽根のようだ。
その繊細な皮の重なりは、綿飴のようにすぐ溶けて壊れそうな中身を、秘密の場所として包みこんでいる。
中心部のバター感は生っぽくなまめかしく、皮の焦げたバター感は香ばしく主張する、2種類のバター感の2層構造。
それだけバターに蹂躙されながら、後味の香りにはなお麦の声も聞こえてくるのだ。

齊木さんは、なにより「素材」に目を向けパンを作る。
「素材をいかに殺さずに作るかってことですね。
そこをいちばん大切にしてます。
おいしい小麦があるんで、日本の人にそれを知ってもらいたい。
材料にはなるべくお金をかけたい。
材料以外の経費を抑えるために、ショップカードも、ホームページも作っていません。
おいしい材料でおいしいパンを作る」

材料がよければパンがおいしい。
当たり前のことのように思えるが、ぶれず、実直に、これをやり遂げるのはむずかしい。
おいしい小麦を食べることは農家の応援にもなると齊木さんは言う。

「やりがい持ってやってる農家さんがいっぱいいます。
いいものを食べると、おいしいし、健康にもなって、幸せになれる。
TPPもあって農業の未来に不安がありますが、国産小麦のパン作りが全国に広まっていけば、農家さんも生き残っていける。
と同時に、大手のパン屋さんがなかなかできないことなので、小さなリテールでも生き残っていける。
身近でたくさんの人に毎日食べてもらわないと意味がないんで、うちでは価格をなるべく抑えるようにしています。
でもそのためには農業をやってる人も変わらなきゃいけないし、スケールメリットを出せるようにたくさんパンを売って、農家さんを支えられるようにがんばらないと。
パンを食べてもらうことがいちばん役に立てる」

一生懸命小麦を作っている農家の小麦を食べる。
それはおいしさにもつながるだろうし、環境を守ることにもつながるだろう。
そして、いい食材は体にもいい。
すべてはつながっているのだ。

小麦粉は粉袋に入ってパン屋に届く。
そこに、畑で風に揺れる小麦の実りを想像させるものはほとんどない。
いままでパン屋は、農家との結びつきなしに、単なる原料として小麦粉を扱ってきた。
農家限定などの国産小麦が出回りだしたのは近年のことである。

「パン屋で小麦粉はセメント袋みたいな扱いをされている。
その背景を知ろうとする人があまりいなかったと思うんですよね。
もともと料理人だったので、それが不思議だった。
素材を見てない。
セメントをこねてるような機械的なイメージでパンを作っているように、僕は思ってしまった。
小麦はどういう人が作ってるんだろう、どういうふうに育っているんだろう、僕はすごく知りたかった。
国産小麦って、イメージが湧く材料ですね。
『本当においしいんだな。これで麺用なの?』ってホクシン(かっての北海道の主力品種)を食べたときにそう思いました。
北海道産が、外麦といちばんちがうところは味わいの深さ。
国産小麦はもともとパンに合わないと言われていた。
味のことは見ないで、タンパク値や灰分のようなパン適性だけ、数字ばかりにとらわれてたところが、昔のパン作りにはあった。
はるゆたかをはじめとして、いまは品種の種類が増えました。
もっと増えるともっと楽しくなる」

クリームパン
パンを持つことが即、形を損なうことにつながってしまう。
それほどのやわらかさ。
クリームで腹がぱんぱんになった生地の重力に沿ったたわみ。
激しく喉の奥で燃えあがるクリームの夕焼け。
卵のコクを伊達巻きほどの濃厚さで発散しながら。
パンの口溶けよさゆえに量を感じさせない。
気がつくとパンが蒸発していた。
それほど軽やかなのだし、それほど夢中に食べたということだ。

伊予柑のまるぱん
歯切れだけで気持ちいい。
ぽよーんとのびて、ぷつん。
マンガみたいな楽しい引きと弾力。
しっとりした生地から、ミルクと麦を滲ませるなつかしいパンの香りが広がる。
予想外だったのは、噛むとわっと飛びだす、伊予柑ピールの香り。
さわやかな甘さ、つーんとする酸味、苦みまで、味わいの量も種類も豊潤。
断面を見てふたたび首をひねることになる。
まばらに散りばめられたオレンジ色の宝石たちのどこにこんなパワーがあるのかと。

パンとサーフィン。
齊木さんが命を燃やしてきたことだ。
片方が片方を導き、いまがある。

「僕、サーフィンが死ぬほど好きで。
波の上に立った瞬間、世界が変わった。
最初2日間はできなくて、3日目でもうやめようかと思ってたとき、他に代えられないよろこびがあった。
麻薬みたいな。
人生はサーフィン。
台風がくるとどきどきしてきて、アドレナリンが出る。
(サーフィンができる)オーストラリアにワーキングホリデーに行きました。
アルバイトで和食のレストランに入り、そこではじめて食べ物を作った。
お寿司を教えてもらってシェアメイトに作ってあげると、『おいしい』と言ってくれた。
こんなんでおいしいの?
すごくうれしい。
和食をやってると、洋食に興味が湧いて、それからいつのまにかパンを作ってた。
これ、子供の頃ずっとやりたいと思ってたことだな。
いつか店を持ちたいという思いがでてきた。
はじめはサーフィンとパンを両立させられると思ってましたが、すっぱりやめた。
パンに命をかけるぐらいじゃなきゃだめだな」

波とわたりあうこと、素材と格闘すること。
サーフィンとパン、まったくちがうことが、どこか似ている。
サーフィンをやってきたことで培われたなにかが、いまのkomorebiの姿勢につながる。

「サーフィンはひとりで自然と対峙することです。
ストイックになって。
だからサーファーは、他の人がやらないことをやるし、流されたくない。
人や社会に流されたくない。
僕も人がやらないことをやりたい。
パン屋っぽくないんだけど、パンを食べてみたらおいしい。
そんな店にしたいんですよね」

「地元の人が来ないと成り立たない仕事。
だから、最初はメディアにも出なかったし、ホームページも作らない。
おいしいってよろこんでもらって、お客さんのつながりでうちの店が広がっていけばそれでいい。
要はやりがいなんですよね。
パンって糧になるもの。
毎日きているお客さんが小さい子を連れていて、その子がどんどん大きくなっていくのを見る。
パンが血となり肉となり、その人たちの役に立ってるんだな。
やりがい、よろこび。
そういう部分で必要とされる仕事。
やったことの量に比べると、そんなに儲からないと思います。
それでも必要とされているのは生き甲斐になる」

komorebi
京王井の頭線 西永福駅
03-6379-1351
10:00〜19:00
月曜休み(月曜が祝日の場合は火曜休み)

小麦ヌーヴォー comments(2) trackbacks(0)
「小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京」出品FILE02 nukumuku
9月28日(日)に青山・国連大学前広場で行われる「とかち小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京」。
ボジョレヌーヴォーのように、今年とれた麦をいち早くパンにして、みんなで味わう。
錚々たるパン屋が集結し、麦の豊穣をお祝いするお祭りです。

練馬・中村橋にあるおもちゃ箱をひっくり返したようなにぎやかな店。
与儀高志シェフはひとつひとつのアイテムをストイックに練り込み、オンリーワンに高めていく、職人気質の人だ。

ヌクムクに週末だけ登場する特別な食パンがある。
甘い香り、しっとりとなめらかな感触、快感そのものといっていい口溶けは、はじめて食べた瞬間に私をノックアウトした。
「湯種製法、ルヴァンリキッド(液体状の発酵種)、丸1日常温で長時間発酵。
砂糖ではなくメープルシロップを入れてコクを出しています」
とあらゆる製法をぜんぶ繰りだす、アニメの必殺技のような食パン。

その名物パンが、小麦ヌーヴォーバージョンの「コーンブレッド」に変えられ、投入される。
今年とれたばかりの「ゆめブレンド」(ゆめちからなどを配合)を使用、十勝のコーンが練りこまれる。
十勝小麦らしい甘さのある粉から作られる食パン、コーンとの相性はきっとすばらしいものだろう。

与儀さんは今年、小麦のふるさと十勝地方をはじめて訪ねた。
「実際に行ってみて本当によかったです。
十勝って自然に囲まれてすごくいいところです。
住みたいぐらいに。
みなさんにすごくよくしてもらいました。
粉を使うとき、作った人の顔が出てきちゃうんですよ。
そう思うと、無駄にはできない。
パンを作るとき、いままでなかった気持ちが出てきました」
思いを新たに小麦ヌーヴォーへと臨む。

なお、本日23日は「とかち小麦ヌーヴォー」解禁日。
全国197店の店頭に新麦を使ったパンが並ぶ。
nukumukuではシンボル的存在であるクリームパンはじめ3つのアイテムが登場する。

・クリームパン
・コッペパン
・やわらかいテーブルロール

小麦ヌーヴォー comments(0) trackbacks(0)
小麦ヌーヴォー十勝&東京 パンデュース米山雅彦シェフの取り組み
明日、9月23日はとかち小麦ヌーヴォーの解禁日。
北海道帯広市のとかちむら(帯広競馬場内)では、「小麦ヌーヴォー解禁祭りin十勝」が行われる。

その目玉は、大阪パンデュースの米山シェフが講師となる、「種まきからはじまる、親子パン作り」(要予約 9:30〜) 
競馬場内の畑に小麦の種を蒔くところからはじめ、場内にある薪窯で今年の新麦を使ったパンを焼く。
米山シェフのスペシャリテ、旬の野菜をのせたタルティーヌをシェフといっしょに作れる楽しい体験だ。
「僕が仕込んだ生地を使って成形から行います。
とかちむらで野菜を選んで、下処理をしたものを、生地のうえにのせて、北海道のチーズをふって石窯で焼きます」

米山シェフはいち早く国産小麦を使ってパンを作ってきた。
九州や北海道の農家を訪れ、心を通わせた上で、その思いが伝わるように表現する。
多忙な身ながら、わざわざ十勝へ行き、イベントをするのはなぜなのか。
「そこに農家さんがいてるからです。
それを消費者の方に知っていただきたくて。
農家と消費者がいて、そのつなぎ役がパン屋さん。
本州のお客さんが十勝に行って、楽しんでもらえたら、農家さん、現地のパン屋さんが刺激を受ける」

都会の人に小麦畑の風景を見てほしい。
十勝の生産者に自分の小麦をどんな人が食べているか知ってほしい。
十勝のパン屋さんのパンを遠くからきた人にも食べてもらって刺激を受けてほしい。
それが米山さんの思いである。
実際、十勝の小麦畑やパン屋を訪ねる旅は、すばらしい思い出になる。
来年、再来年と、このイベントをつづけていくことで、十勝ヌーヴォーツアーを定着させたいという狙いが込められている。

9月28日(日)、「小麦ヌーヴォー 解禁祭りin東京」にも米山シェフは今年とれた新麦を使ったパンを出品。

・スムレラ(きたほなみなどをブレンド)を使った長時間発酵のブール
・キタノカオリを使った湯種のパン
「キタノカオリの香りにはミルクが合います。
牛乳と、歯切れのことも考えてバターをちょっとだけ入れています」

かって、北海道産ではないけれど、九州産ミナミノカオリを使った長時間発酵のブールを食べたとき、その並々ならぬ香りに心を打たれたことがある。
キタノカオリの湯種のパンはいまからその気持ちいい甘さが想像できて、涎が出てくる。
そして、パンデュースのパンは食感もいかにも私たち日本人の好きなもちもちや歯切れのいい感じに仕上げられる。
大阪からおいしいパンが届くのを待ちたい。


小麦ヌーヴォー comments(0) trackbacks(0)
とかち小麦ヌーヴォー東京イベント出品FILE 01 銀座レカン
9月28日(日)に青山・国連大学前広場で行われる「とかち小麦ヌーヴォー東京イベント」
参加店の思いと、出品される商品を紹介していく。
第1回は、フレンチレストランのシェフブーランジェにしてモンディアル・デュ・パン元日本代表の実力者・銀座レカンの割田健一シェフ。
あくまで計画段階であるが、披露予定の3アイテムを紹介する。

1点目はコーンブレッド。
コーンを練りこんだ、アメリカンな甘いパン。
「粉っぽい感じのコーンブレッドです。
パウンドケーキみたいな生地。
ふわふわしてて、もっちりなコーンブレッドではなく、粉の味がする、重たいパンにしたらおもしろいかなと」

小麦畑ととうもろこし畑が交互に広がる十勝にぴったりな、田舎の風景を思い起こさせるパン。
キタノカオリのような、十勝小麦的な黄金色の甘さにコーンの甘さは相性抜群である。

2点目は十勝のあんこを使ったブレッドマフィン。
3月のイベント『小麦で旅する日本』のために作られ、大好評だった通称「池田マフィン」の「進化バージョン」がついに一般発売されるのだ。

「十勝のあんこ、北海道産のクリームチーズ。
あんことクリームチーズはすごく合いますから。
洋物と和物を合わせたパン。
そういう意味では、日本の食材を外国の人にアピールするのにすごくいい組み合わせ。
食べやすいでしょ。
国産小麦を世界へ広めていくという発想が必要になると思いますし」

「池田マフィン」はキャラメルとバナナを混ぜ込んだ甘いマフィンだった。
これもキタノカオリの黄色い甘さを見事に活かしていた。
さっくりした食感と見事な口溶けのよさは、それまで食べたマフィンにないものだった。

3点目は割田さんがライフワークとするバゲット。
「十勝ヌーボーブレンド(このイベントのために用意された小麦粉)で作ったバゲット。
バゲットに、とれたての麦のフレッシュ感が出せるよう準備します。
もちろん、焼きたてを持って行きます!」


小麦ヌーヴォー comments(0) trackbacks(0)
<< | 2/2 |